出版物原水禁ニュース
2006.2 号 

核問題についてのいくつかの考察(1)
日本をめぐる情勢

──孤立深める日本が怖い──

核兵器保有国と日本

現在、核兵器保有国はNPT(核不拡散条約)で核兵器国として認められている米、英、仏、ロ、中5カ国と、自ら核保有国と宣言したインド、パキスタン。さらに存在は未公表ですが、世界から保有国と見られているイスラエルの8ヵ国が存在します。それ以外に「核保有国」と宣言しましたが、保有については未確認の北朝鮮が存在します。イランは進めようとしているウラン濃縮が核兵器保有を目指すものと疑われています。

一方、43t以上もの大量のプルトニュウムを保有し、ウラン濃縮施設を運転している日本は、これまで核兵器開発がいつでも可能な国=潜在的核兵器国と見られてきました。さらに六ヶ所村に大型の再処理工場を建設していることによって、実際に核兵器開発へ進むのではないかとの強い懸念が国際的に表明され、その懸念は国内でも強まっています。

6ヵ国協議・共同声明(05.9.19)で、北朝鮮の核放棄の方針が確認され、今後の長い交渉が始まろうとするときに、それを壊すような愚は、日本もとらないでしょう。そして日本は、六ヶ所再処理工場から分離するプルトニュウムの利用計画を1月6日に公表しました(実際に進むかは別として)。

しかし、いくら日本がプルトニウム利用の計画を立てたからといって、問題が解決するものではありません。最近の日本の国際的孤立がますます深まっていく状況をみていると、長い将来にわたって、日本が核武装政策を取らないと言い切ることもできないのです。

ただヒロシマ、ナガサキの体験をもつ日本では、核武装するかどうかの決定だけは、日本国民(日本に生活するすべての人々という広い意味で)が行うと確信しています。それでも状況は年々悪くなっています。

本稿の目的は、どのような状況が日本を核武装へ歩ませるのか?さらに核兵器とはどのようにして製造されるのか?核兵器保有には何が求められるのかなど、いくつかについて読者とともに考えることにあります。

まず6ヵ国協議について考えよう

米国は北朝鮮に対して硬軟両様の政策を取り続けています。ブッシュ政権は、早くに核兵器・通常兵器の敷居をなくす政策を明らかにしていますが、すでに核兵器・通常兵器の一体的に攻撃可能な統合司令部を05年1月にネブラスカ州内の戦略軍内に創設(宇宙・地球規模攻撃のための統合機能部隊司令部・JFCCSGS)し、05年秋には北朝鮮による中距離弾道ミサイル攻撃などを想定した机上演習を実施したとのことです(05年12月30日、共同)。

ですからこうした状況のなかで「6カ国協議・共同声明」が、「米国が北朝鮮を核兵器や通常兵器で攻撃しない」ことを約束した意味は大きいのです。

しかし具体的な道筋を討議する会議で、まず核放棄をと求める米国と、軽水炉計画との同時討議を求める北朝鮮との対立が解けず、協議再開の見通しはまだ立っていません。基本的な方向は変わらないとしても、北朝鮮が具体的に核放棄へ動き出すにはまだまだ長い時間が必要でしょう。

こうしたなか、長らく中断されていた日朝協議が05年12月24日、25日と開催され、(1) 国交正常化交渉、(2) 拉致問題など懸案、(3) 核、ミサイルなどの安全保障問題の平行協議を06年1月末までに開始することで合意しました。おそらく日朝交渉も長い時間が必要と思われますが、この間に反北朝鮮感情がふくれあがり、反中、反韓感情と一緒になって、民族主義が一層高まっていく恐れがあります。

日本が孤立を深めていくと、その先になにがある?

日本は米国寄りの立場を一層強めていて、とくにそれは軍事面で顕著ですが、その一方で、アジアでの孤立は見るも無惨な状態となっています。日本の安全からは、どれほど軍事的に強化しようとも、アジアで孤立していては、未来への展望を持つことはできません。

米国では大統領の交代は政策の変化をもたらします。靖国参拝こだわり続けると、米国からも見放されます。

05年夏に靖国神社を見学した米議会の知日派のスタッフは、「見学してショックをうけた。」「行くまでは日本の歴史問題は中国や韓国の被害者意識と内政操作の産物と思っていた。行ってみてそこに示されている戦争観に違和感を抱いた。これでは中韓の国民が日本の首相参拝に憤るのもムリはないと思った」と語っています(週間朝日・05年12月30日号、舟橋洋一の世界ブリーフイング)。

小泉後も靖国参拝を続ける政治家が首相となった場合、おそらく世界からの孤立は深刻なものになる危険があります。孤立する日本政府とそれを支える日本の民族主義。その先には何が待っているのでしょう。

(W)