出版物原水禁ニュース
2006.2 号 

宇宙の軍事化へ乗り出す日本
ますます広がるミサイル防衛の危険

次世代迎撃ミサイル共同開発の行く末は?

次世代海上配備迎撃ミサイルを共同開発

 昨年12月24日、日本政府は06年度予算案を閣議決定しましたが、閣議前に開いた安全保障会議で、ミサイル防衛(MD)海上配備の次世代迎撃ミサイルを、米国と共同開発することを決定、予算として30億円の盛り込みも決定しました。

 すでに政府は07年から11年にかけて、PAC−3(パトリオットミサイル=地対空ミサイル)を18基、SM−3(スタンダードミサイル・ブロック1=海上発射ミサイル)を、4隻のイージス艦に搭載する準備を進めています。

06年から共同開発される次世代迎撃ミサイルは、現在搭載準備が進められているSM−3とはまったく別の迎撃ミサイルで、現在のSM−3以上に多くの問題を含んでいます。

共同開発についての記者会見で、安部官房長官は米国への武器輸出を可能とするため、「対米武器技術供与に関する交換公文」を改定する方向を明らかにしました。これまで武器輸出3原則と統一見解によって、武器輸出全体を禁じてきた日本ですが、それも共同開発を名目に破られようとしています。

現在の迎撃ミサアイル

イージス艦から発射するSM−3は、標的に大気圏外で直接衝突し破壊する2段ロケットと弾頭(推進ロケット付き)部分を持つ3段ロケットのミサイルです。

第1段階のロケット(ブースターという)推力で、全体が発射され、数秒後に燃え尽きたブースターは切り離され、2段目のロケットミサイルが点火・噴射し、上昇を続けます。この間、ロケットは相手ミサイルの飛行位置を推定しながら上昇を続けます。これは地上から誘導されます。

大気圏外に到着すると、弾頭部分を保護しているノーズコーン(円錐形の覆い)がはずれ、2段目のロケットも切り離されます。最後に弾頭部分のロケットが点火され、さらに速度を上げて目標に近づきます。

弾頭の先端には赤外線シーカーが装備されていて、目標を捉え、衝突する──という仕組みになっています。目標の破壊は、運動エネルギー(衝突した際のお互いのスピードによるエネルギー)が利用されます。

新開発の次世代迎撃ミサイル

06年から日米で共同開発される次世代SM−3(ブロック2)は、3段ロケットの仕組みは同じです。ただ現行のブロック1の弾頭は直径13.5インチ=34.3センチですが、ブロック2は直径21インチ=53.3センチと大きくなり、2段目のロケットも大型化されます。充填される固体燃料も増え、飛行距離も伸びます。赤外線シーカーも2つの波長の赤外線を出し、目標探知能力も大きくなります。

次世代ミサイル開発の問題点

◎武器輸出3原則の解禁

次世代迎撃ミサイル開発は先に述べたように、米国とのミサイル防衛に限定しているものの、武器輸出に道を開こうとしています。安部官房長官は迎撃ミサイルが3原則で禁じている「国際紛争の恐れのある国」に米国が売却する場合、米国は日本と事前に協議することになっていると述べましたが、拒否するとはいっていません。

◎集団的自衛権へ入り込むだけでなく、最初に日本が標的になる

次世代SM−3の飛行距離が伸びれば、当然、日本だけでなく、米国を標的とするミサイルも迎撃することが可能となります。

迎撃ミサイル配備とともに、レーダーが配備されますが、防衛庁は多くのレーダーは日本海側に配備されるといっています。これらを考えるとき、将来、米朝間、米中間が軍事的に緊張し、仮にミサイルが発射される事態となった場合、第一に攻撃されるのは日本なのです。このような説明は国民には一切ありませんし、また国会で行われてもいません。

◎不確かな技術、膨大な費用

次世代迎撃ミサイルは技術的に信頼できるのでしょうか? 現在配備中の迎撃ミサイルが、実験に失敗していることは周知のことです。弾頭が大きくなり、目標補足力が大きくなっても、おとりのミサイルが複数の場合など、ほとんど無力といえます。さらに将来、開発から配備にまで費用がどれほど必要かなど、多くが明らかにされないまま、共同開発が始まるのです。

(W)