出版物原水禁ニュース
2006.2 号 

地球温暖化防止へモントリオール会議開く

2013年以降の枠組みへ道筋

平田仁子(気候ネットワーク常任運営委員)

 昨年の11月28日〜12月10日、カナダのモントリオールで、温暖化防止の国際会議が開催されまた。モントリオール会議は、気候変動枠組条約第11回締約国会議(COP11)であるのと同時に、昨年2月に京都議定書が発効したことを受けて議定書を批准した国々で構成する最初の京都議定書締約国会合(COPMOP1)でもありました。会議では、大きく2つの重要なことが話し合われました。

京都議定書の運用ルールが採択される

 ひとつは、京都議定書の運用ルールを採択するという手続きです。議定書を実施するためには、排出量の登録制度や京都メカニズムのルールなどに関する細かいルールが必要であり、97年の京都会議後の交渉を経て2001年に「マラケシュ合意」として成立していました。これを、議定書締約国によって正式に採択することが必要になっていたのです。

モントリオール会議では、この運用ルールについて予定通り採択に至りました。これをもって京都議定書実施のための基盤が完全に整備されたことになります。

アメリカや途上国を含む本格交渉へ

 二つ目の議題は、2013年以降の取り組みについて議論を始めることでした。京都議定書の現在の目標は2008〜2012年の間に達成するものとして設定されています。モントリオール会議は、その後どうするのかという課題について話し合う最初の会合だったのです。

 2013年以降の取り組みの交渉は、京都議定書を作るときよりも難しくなることが予測されます。なぜなら、世界全体の温室効果ガス排出量を減らしていくためには、京都議定書に背を向けたままのアメリカを引き戻さなければなりませんし、今後は主要な途上国にも行動を求めなければならないからです。世界各国は、この難しい課題について今後の数年で集中的に交渉を進めなければなりません。

今回の会議では、その難しい交渉に先駆け、交渉のプロセスを設定することに成功しました。第一に、京都議定書の削減義務を負う先進国が第2約束期間の削減目標を設定するための交渉プロセスに合意しました。さらに、アメリカや途上国を含む長期的な取り組みのための対話を始めることも決まりました。

これらは、これから本格交渉を進める上で極めて重要なことだと言えます。

さらなる削減への努力が求められている

 モントリオール会議は久々に大きな成果をあげたと言えます。長い交渉の末、京都議定書がようやく本格始動したことを記念したことに加え、2013年以降の取り組みが、京都議定書の上にさらに積み上げていくものとして交渉される道筋を作ることができたからです。

 一部で京都議定書つぶしの動きが加速し、国内でも「不平等条約だ」「効果がない」などとした京都議定書の否定論が産業界や一部の有識者の間で蔓延していることを考えると、京都議定書を延長し更なる削減を積み重ねるという本来なら当然であるはずのことは、必ずしも共有されたものではありませんでした。その中で、第2約束期間へ続く道を拓いたということは、ことさら重要なことであったのです。

 日本などの先進国にとって今回の会議が意味することは、残された期間で京都議定書をしっかり守ること、そして、2013年以降には更に大きな削減に向けて努力を積み重ねるべきことだと言えるでしょう。

 モントリオール会議を終えて、今後重要になるのは、今回の合意に基づいて次期枠組みの内容に関する具体的な交渉を前に進めることです。その意味でこの会議は、次のステップの「始まり」の会議であり、これから世界全体での削減に向けて真剣な交渉を進めていかなければなりません。そのためには、現ブッシュ政権の動きに迎合することなく、先進国が率先してさらなる温室効果ガスの削減をしていくための合意を図る努力が必要です。

2013年以降の次のステップを考えるとき、私たちに残された時間は想像よりはるかに短いことをあらためて思い起こす必要があると言えます。