出版物原水禁ニュース
2006.3 号 

核問題についてのいくつかの考察(2)

日本と米国、姿勢の揺れ
─明確な日本非核の立場がいま必要─危険な米のGNEP構想

米エネルギー省は2007会計年度(2006年10月?2007年9月)予算として総額236億ドルを要求していますが、2月6日「グローバル・ニュークリア・エナジー・パートナーシップ」(GNEP)構想を発表し、その予算として2億5000万ドルを計上すると発表しました。

ボドマン・米エネルギー省長官によると、この構想はブッシュ大統領の04年2月に発表した核拡散防止政策の一環で、濃縮・再処理技術を放棄した発展途上国への核燃料の提供・回収サービスなどを柱とし、核兵器への転用が困難な再処理技術の国際共同開発を目指すというものです。すでに日本、ロシア、フランス、英国、中国に概要を説明しているとも語りました。

日本は見通しのない米提案に介入するな!

新聞報道では、今年1月20日に米エネルギー省のセル副長官らが来日し、日本の外務、文部科学、経済産業各省と内閣府の担当者らが、米国の構想について説明を受け、日本側はウラン濃縮や使用済み核燃料の再処理については、青森県六ヶ所村の施設は国内需給向けで、海外には供給できないと説明した上で、高速増殖炉「もんじゅ」など高速炉の研究や先進的な再処理技術開発での貢献の可能性を伝えたとのことです。

日本が大量のプルトニウムを抱えるなか、六ヶ所再処理施設の建設で、一層大量のプルトニウムを保有することへの批判が、内外に強まっている時期での米国の協力要請は、大きな支援と感じたことでしょう。

しかし、GNEP構想は、今後10年以上もかけて再処理やウラン濃縮の国際管理体制を作ろうというもので、どれほど実現性があるのかは不明な上、米国が中心になるといっても、膨大な費用をどうするのか? さらに核兵器5ヵ国、印パ、イスラエルなどの核保有国の核に触れない管理体制に多くの支持を集めることは不可能でしょう。

米国の再処理事業は1977年のカーター大統領のときに、核拡散への懸念、経済性という二つの問題のために商業炉の再処理を行わないことを決断したのです。すでに民主党をはじめ共和党の慎重派などが、今後の膨大な費用への懸念から予算案否決へ動き始めています。米国のピース・アクションなど平和団体も反対運動を展開するでしょう。私たちも米国の運動団体とともに、放射能被害反対、核軍縮の立場から反対していかなければなりません。

日本核武装論とそれを拒否する国民感情

ところで日本は核武装しようと思えば、いつでもできる能力を持っています。それでも核武装に踏み出さなかったのは、第1にヒロシマ・ナガサキの悲惨な体験あるといえます。日本の被爆体験を継承することはますます重要になっています。

第2として、日本の核保有に米国が強く反対している、米国は日本が核保有をしない見返りに、核の傘を提供している、という意見があります。

たしかにこれまで、日本政府のトップが核武装を考えたことがあります。1961年当時の池田勇人首相、中国が最初の核実験を行った(64年10月)直後の佐藤栄作首相などがそうです。しかし、これらはきわめて個人的な考えで、この考えが公にされ、広く議論されたことはありません。それでもこうした考えが米国に伝えられるたび、米国は強く憂慮し、反対の姿勢を示してきました。その見返りが核の傘の提供でした。

ところが日本国内の一部には、根強く独自核武装論が残っているのも事実です。これは外務省の一部や政治家の一部に存在します。一つの例にNPT条約があります。68年7月に署名され、70年3月に発行したNPT(核不拡散)条約を日本が批准したのは76年5月で、世界で97番目でした。当時、米国は日本の批准を強く求めていましたが、日本には核武装のフリーハンドを維持すべきだとする政治家の強い抵抗があったのです。

米の日本核武装反対は一貫していない

一方、これまで日本の核兵器保有に反対してきた米国の姿勢は必ずしも一貫していません。

74年5月、インドが最初の核実験を行ったとき、その反対を議論している際に、補佐官の一人がインドの核武装を容認すれば、日本も核保有するといったとき、ニクソン大統領が「別にかまわないじゃないか」といった話は有名です。ブッシュ政権になってからは、米国の中国カードとして日本の核武装論が、一部政治家やコラムニストによって語られています。

こうしたなか日本核武装の不必要性を、日本の防衛庁に属する人たちが論じています。(次号に続く)

(W)