出版物原水禁ニュース
2006.5 号 

主文:被告は、志賀原子力発電所2号原子炉を運転してはならない

志賀原発2号機営業運転差し止め訴訟原告団代表 堂下 健一 

3月24日午前10時過ぎ、金沢地裁井戸裁判長は、主文と判決要旨を読み上げました。私は原告・弁護団席で聞いていましたが、一瞬何を言ったか理解できませんでした。だが、傍聴席のざわめきと誰ともなく勝ったという声を聞き裁判に勝ったとわかりました。メモを取る手が震え字になりません。判決要旨も、採用されなかった論点を先に述べていましたので、その時は勝利の実感がわきませんでした。

判決要旨の朗読が終わり、弁護団のみなさんと握手を交わしたとき、ようやく勝ったという実感がわきました。地裁の玄関で弁護士と2人で「勝訴」の旗を高々と掲げたとき、1号機訴訟から18年、ようやく私たちの原発を止めて欲しいという訴えが認められ、喜びもひとしおでした。

1号機訴訟で98年9月、高裁金沢支部の判決で、「原発は負の遺産」とし、「原発の推進、廃止は人類が選択すべし」と指摘。また、泊原発訴訟では札幌地裁が「人類の未来を考えると原発中止という選択肢もある」と踏み込んだ判決を下しています。そして、今回営業運転開始後9日目に運転中止を言い渡した画期的な判決でした。

この判決は、全国の皆さんに限りない勇気と自信をもたらしたことでしょう。

ずばり勝訴の要因は耐震問題でした。昨年9月の結審後、地震をめぐって更に1回審理を入れるという異例の展開で裁判は締めくくられました。裁判長の度重なる催促にも関わらず、北陸電力はまともな反証ができないまま判決を迎え、結果は耐震問題で原発の安全性の論証をできなかったことで運転中止という判決が下されたのです。

国の耐震指針はマグニチュード6.5となっていますが、現実に起きている地震(宮城沖地震、鳥取県西部沖地震など)は想定をはるかに超えています。この整合性が説明できていないこと。また、志賀原発近くに邑知潟断層帯があり、発生する地震の規模はマグニチュード7.6と国が発表しています。この新しい知見の前に古い耐震基準は突き崩されたのです。これまでの耐震基準は何だったのか、全国の原発に対して見直しを迫ることは必至です。また、迫るべきです。

判決文は明快に、国が定めた耐震指針を否定し、地震で原発事故が起こり、原告らが被ばくする可能性があると指摘しています。

だが、判決で原告の主張もかなり却下されています。「スリーマイル原発、チェルノブイリ原発で事故が生じたからといって志賀原発で事故が起きるとはいえない。ABWRの危険性に対する立証が不十分である。MOXについては、プルサーマルの実施が不確定なので具体的な危険があるとはいえない」などがあげられます。原告としては、今後の課題としなければならない点です。

さて、本件訴訟は名古屋高裁金沢支部に舞台を移します。今後は国と全国の電力会社を相手に、耐震問題を争点に総力戦となろうかと思います。判決にもありましたが、地震の前には、多重防護など何の役にも立たない。そして、被害は全国各地に及ぶと明記されていました。悪夢が現実にならない前に全ての原発を止めようではありませんか。

原告団は引き続き、全国の皆さんと連帯しながら高裁の法廷内外で闘っていきます。

また、今回の判決でプルサーマルの申し入れが若干延期となりました。だが、北陸電力はあきらめたわけではありませんので、プルサーマルについてもあわせて闘っていきます。