出版物原水禁ニュース
2006.7 号 

被爆61周年原水禁世界大会
ヒバク体験を共有し、核廃絶・脱原発社会への新たな一歩を

広島、長崎のヒバクを原点として

 昨年のNPT(核不拡散)条約再検討会議がなんの合意も得られぬまま1年が経過しましたが、核をめぐる状況は一層厳しさを増しています。今年はまたチェルノブイリ原発事故20周年の年でもあります。私たちは放射能被害の深刻さを改めて認識するとともに、61年前の広島、長崎への原爆投下による被害についても、再認識し、ヒバクシャへの支援、国際的な連帯を強めていかなければなりません。

被爆61周年原水禁世界大会は、福岡の国際会議を皮切りに、広島、長崎で連合との合同集会、さらに独自の分科会などを開催します。海外代表の参加も確定し、活発な討論が期待されています。大会を前に、私たちが当面している課題について考えて見ましょう。

6ヵ国協議の再開こそ東北アジアの平和の道

朝鮮民主主義人民共和国(以下北朝鮮)の核問題をめぐる6ヵ国協議は、中断、再開、中断という状況が続いていて、現在、偽ドル問題をめぐる米朝の対立で、再開のメドが立たない状況です。

しかし米国に北朝鮮の核問題を早期に解決する意思があるなら、すぐにでも米朝会談を開き、さらに6ヵ国協議を再開することは可能です。

昨年9月13日に再開され、19日に発表された6ヵ国協議の「共同声明」は、朝鮮半島の非核化へ向けて、大きな期待を抱かせる内容でした。

「共同声明」は、(1) 北朝鮮は一切の核兵器と核開発計画を放棄し、NPT(核拡散防止条約)に復帰し、IAEA(国際原子力機関)の査察を受け入れる。一方北朝鮮の求める原子力平和利用について、適当な時期に軽水炉提供で議論する。(2) 米国は朝鮮半島で核兵器を持たず、北朝鮮を核兵器や通常兵器で攻撃、侵略する意図はない。米朝は相互の主権を尊重し、平和的共存、関係正常化の措置をとる──と述べています。

この共同声明の方向で協議が進んでいけば、朝鮮半島の非核化は現実のものとなり、私たちはさらに日本を含めた東北アジアの非核地帯化構想を日本政府に迫ることが出来たでしょう。しかしタイミングを図るかのように、偽ドル問題が出てきて、6ヵ国協議は中断してしまいました。

米国はどこまで北朝鮮を追いつめるつもりなのでしょう?いま現在は、あくまで北朝鮮を力で屈服させるという、まさにネオコン戦略の姿しか見えてこないのです。このような強硬策は、北朝鮮をして核実験に踏み込ませる危険が高いといえます。

そのような最悪の状況を回避するために、私たちは対話を基本とした方向、つまり6ヵ国協議の再開、そのための米朝協議を求めます。拉致問題の解決は、あくまで6ヵ国協議とは切り離されるべきです。

NPT(核不拡散)条約崩壊の危機

今年3月2日、米・ブッシュ米大統領は、現在インドの22基ある原子炉(建設中を含む)の内、14基を民生用としてIAEAの査察を受け入れることを条件に、原子力発電などの米国の技術を提供することを、インド・シン首相と合意しました。

つまり米国は、現在運転中の高速増殖炉2基(処理能力不明)を不問とし、その炉からのプルトニュウム取り出しを容認し、核兵器増強政策を認めたのです。

米国は1974年にインドが最初の核実験を行った際、原子力法(NNPA)を制定し、NPT未加盟国への核技術協力を禁じてきましたが、ブッシュ大統領は原子力法を改正してでも、NPT未加盟のインドとの協力関係を作ろうというのです。米国はこれまでイスラエルの核兵器について沈黙してきましたが、今度はインドの核兵器を容認しようとしているのです。

しかしこのような米国の二重基準こそが、世界に不信感を与え、核拡散を助長しているのです。私たちはこのような米国の姿勢に反対していかなければなりません。

米軍再編とミサイル防衛

在日米軍再編は、米軍が「不安定の弧」と呼ぶ中東から東北アジアにいたる地域に対しての抑止力を強化すること、とりわけイランと北朝鮮、中国をにらんだものであることはいうまでもありません。そして日本は、将来アジアに対してどのような位置を占めようとするのかなど、なんの戦略もなしに、在日米軍再編に協力することを、この5月30日に閣議決定しました。

米軍再編の全体を明らかにし、現在、沖縄、岩国、神奈川、そのほか全国で広がっている運動を支持し、広げていくことは、今年の大会の大きなテーマですが、とくに日米両国が急いでいるミサイル防衛(MD)について、その実態を明らかにし、反対運動を広げなければなりません。

日米合意では、今年の夏までに青森の航空自衛隊・車力分屯基地に米軍の早期警戒レーダー「Xバンドレーダー」を設置することになっています。このレーダーの情報は日本と共有されることになっていますが、目的は米本土防衛のためのもので、横須賀基地に配備される迎撃ミサイル「スタンダード・ミサイル3」を搭載した米巡洋艦と連携するものです。

しかし「Xバンドレーダー」は電波の強さなどから、どのような影響(人体への影響、電波障害)が出るかは明らかではありません。さらに現在のミサイル防衛は、飛んでくる弾道ミサイルにほとんど役立たないことが明らかとなっています。米国は、昨年秋、北朝鮮による中距離弾道ミサイル攻撃などを想定した机上演習を実施しましたが、そうした想定にそって、役に立たないミサイル防衛を配備しようとしているのです。

脱原発・脱プルトニウム社会をめざして

現在すでに大量のプルトニウムを保有し、ウラン濃縮施設を運転している日本は、これまで核兵器開発がいつでも可能な国=潜在的核兵器国と見られてきましたが、さらに六ヶ所村に年間処理能力800トン(東海村再処理施設は20トン)という超大型の再処理工場を建設し、今年3月31日に試運転に入りました。

一方で、余剰プルトニウムを持たないことを国際公約している日本は、六ヶ所再処理工場から分離するプルトニウムを、原発でウランとの混合燃料として使うプルサーマル計画を1月6日に公表しましたが、当面、九州電力・玄海原発3号炉、四国電力・伊方原発3号炉などで計画が進もうとしています。

しかし、再処理工場、プルサーマル計画とも、最大の問題は、放射能の環境への漏れ出しであり、生物への深刻な影響です。プルトニウムは半減期2万4千年という、超寿命のアルファ線を出す危険な物質です。

東海大地震が近いといわれる中、浜岡原発のすべての運転停止を求める運動もさらに広がりを見せています。一方、中国電力・上関原発の建設をめぐる動きは緊迫しています。私たちはプルトニウム利用の危険を広く訴え、プルトニウム利用の停止から脱原発社会をめざさなければなりません。