出版物原水禁ニュース
2006.7 号 

つがる市にXバンドレーダー配備せまる

米軍Xバンドレーダーが配備される、つがる市の空自車力分屯基地にはすでに機材の一部搬入が始まったが、本体の搬入は6月15日となるもようだ。三沢基地から八戸港より船で輸送するという。車力基地では先月から、レーダーを設置する土台づくり、既設フェンス内にさらに百メートル四方のフェンスを張るなど、百人規模の米軍人・技術者の受け入れの準備がすすめられている。

アンテナユニット
今月中に航空自衛隊車力分屯基地
に配備されるXバンドレーダー
(アンテナユニット)
写真─デーリー東北新聞より】

6日には補給中継基地にされた三沢基地で初めて、報道関係者と三沢市側にXバンドレーダーを公開。米陸軍対空ミサイル防衛部長タウン大佐の説明では、電源装置のほかに、Xバンドレーダーは、いずれも大型トレーラー用コンテナ大の、電波を出すパネルが配置されているアンテナユニット、情報解析コンピューターなどのエレクトロニクスユニット、レーダー操作者が乗るサポートユニット、冷却ユニット、通信ユニットの五つで構成される。

在日米軍再編の最終報告にも明記された、Xバンドレーダー配備に車力基地を米側に提供することを決めた5月12日の閣議決定から、この夏の運用開始に向けて着々と準備が進められている。一方、機材の一部がトレーラーで搬入された地元のつがる市には連絡もなく、何が搬入されたか分からない状態で、不安な市民感情に応える義務がある市側に「連絡があってもいいのでは」と、つがる市の助役も語っている。

ここにも六ヶ所の再処理工場と同じく、国策として決めたことは地元の意向お構いなしといった国の基本姿勢が現れていると言える。ミサイル防衛の根幹・レーダー情報の日米共有で集団的自衛権に踏み込む戦略的融合がいよいよ進む。米国の核戦略に巻き込まれる前に、Xバンドレーダー配備の撤回とミサイル防衛計画の中止をねばり強く求めていかなければならない。

青森県へのXバンドレーダー配備の撤回を求める声明

「米軍施設への抵抗が少なく、機密の保全も図りやすい土地」と米軍の文書に書かれた青森県に、早期警戒レーダー「Xバンドレーダー」設置の地元受け入れが3月末に決められ、既に機材の一部搬入が始まっている。日本は、米国の推進するミサイル防衛(MD)システムの導入を2003年末に閣議決定し、2006年度末の配備開始を目指している。

 XバンドレーダーはMD構想の中で、米国土向けミサイルを迎撃するための重要な目の役割を担うものであり、「日本防衛と極東の平和維持」を施設提供の前提とする日米安保条約にさえ違反するものである。その航空自衛隊車力分屯基地への配備を、地元つがる市と青森県とが受け入れたのは、正式要請のあった3月3日から1か月も経っておらず、十分な議論はなされていない。軍事機密をたてに、国は説明責任を果たさず、レーダーの強力な電磁波でどのような悪影響があるのかも分からないままだ。

 米軍の世界戦略に組み込まれる在日米軍再編とミサイル防衛 ―「飛んでくる鉄砲の弾を弾丸で撃ち落とすようなもの」で、迎撃できるのかの技術的信頼性もないが、MDは日本の安全保障政策の原則を大きく変える。現在の自衛隊法は迎撃対象を「現に日本に飛来する弾道ミサイル等」に表向き限定するが、日本へか米軍拠点に飛来するのか識別が事実上不可能なミサイルを撃ち落とした場合、集団的自衛権の行使に当たる。日本は今、米国の「ミサイル防衛」という名の巨大な軍事システム構築の格好の実験場とされつつある。

 私たちは、武器輸出禁止三原則、宇宙の平和利用原則、集団的自衛権の不行使原則、文民統制など憲法9条のもとで形づくられてきた原則の多くを失うことと引き換えに進められる「軍事的公共事業」―MD導入によって得られるものが、三菱重工やロッキード・マーチンなど日米軍需産業への莫大な利益提供でしかないことに、怒りを禁じ得ない。

 この3月、十分な議論もないまま、「国策」によって無駄で価値がないだけでなく、世界の核拡散を助長するプルトニウムを取り出す再処理工場が稼動を始め、放射能の環境放出が始められた青森県に、さらにもう一つ「国策」により無価値で危険な施設を押し付けるのは、国政の無策を示すものでしかない。青森を、東北アジアの緊張を高め、住民をむしろ危険にさらすことになるMDの拠点とすることは許されない。

 私たちは、Xバンドレーダー配備の撤回とミサイル防衛計画自体の中止を強く求める。私たちの安全は、兵器の増強ではなく、周辺諸国との信頼関係を構築する外交の力、開かれた議論を伴った言葉の力と、軍縮によってこそもたらされると確信する。

2006年5月3日

原水爆禁止日本国民会議
原水爆禁止青森県民会議
核とミサイル防衛にNO!キャンペーン