出版物原水禁ニュース
2006.8 号 

原子力空母母港化容認の市長発言は撤回を!

6月3日の全国集会
6月3日の全国集会

市長が容認を表明

6月14日に行われた横須賀市市議会全員協議会において、これまで原子力空母配備に反対を表明していた蒲谷亮一横須賀市長が「原子力空母の容認はやむを得ない」と容認を表明しました。それを受け日米両政府は、翌15日、配備に不可欠な米軍横須賀基地の12号バース(埠頭[ふとう]浚渫しゅんせつ工事に合意しました。また松沢成文神奈川県知事が、原子力防災体制の充実を外務省に求めていく方針を明らかにするなど、受け入れに向けた動きが始まりつつあります。

2005年10月28日の日米両政府による「横須賀母港化」決定以降、横須賀市民だけでなく、全国各地から反対の声が強まりました。しかし、政府による横須賀市への説得工作が行われ、その結果、横須賀市長は安全性への不安を解消する十分な分析や説明もせず、拙速に容認を表明しました。

「100%の安全性」と情報の非開示

4月17日、米国は、外務省に、『米国の原子力軍艦の安全性に関するファクト・シート』を提出し、外務省は横須賀市及び神奈川県に提出し、それに対して横須賀市は、ファクト・シートに対する公開質問書を、駐日米国大使及び外務大臣宛に送付しました。6月12日に行われた市長と麻生太郎外相との会談で、外相は横須賀市長から提出されていた「質問書」に対して、「100%安全ということは世の中には存在しないが、ほぼ100%といって差し支えない」と述べています。

しかし回答内容を検証すると「安全性は確保されていることを確信している政府判断を見直す必要はない」と繰り返すのみで、新たな科学的根拠が示されたわけではなく、安全性が保証されたとは到底いえません。また米国側は過去50年間無事故であると主張していますが、実際には何十件もの原子炉事故がおこっていることが確認されています。

(原子力空母配備の危険性については、6月12日に発表された原子力資料情報室による報告書『米軍原子力空母・原子炉事故の危険性と情報の非開示─「合衆国原子力軍艦の安全性に関するファクトシート」に対する反論書』でも明らかになっています。)

さらに、アメリカの原子炉研究者ゴードン・トンプソンさんからも、原子力空母の危険性に関する実態調査が報告されています。

米国は原子力空母の詳細を、軍事機密として公開していません。必要な情報が米側から提供されていないため、万が一事故が起こった際には自治体の対応を困難にし、被害を拡大させることが予測できます。加えて、情報の非開示は事故の責任をあいまいにすることにもなります。

また、日米両政府は通常型空母の可能性はないと主張していますが、米国議会では通常型継続のための工事費予算が計上されており、この点でも事実とちがうことがわかっています。

運動のこれから

現在、横須賀基地を母港としている通常型空母「キティホーク」に比べ、08年配備予定の原子力空母「ジョージ・ワシントン」は50センチほどきっ水が深いため、配備には接岸が予定されている12号バース(ふ頭)の海底を約2メートル掘り、水深を15メートルにする工事が必要になります。空母が接岸する海底の地形や土質などを調べる工事の事前調査費だけでも約7,300万円に上り、その費用は日本側が全額負担することで日米政府は合意しています。この工事費用は、今年の予算に計上されていませんでした。しかし、政府は今年度の「思いやり予算」のうちの米軍座間基地の道路整備費でまかなうことを決めました。

私たちは、市長の容認発言を早急に撤回させ、しゅんせつ工事に拒否をすべきとの要請を引き続き行っていきます。