出版物原水禁ニュース
2006.10 号 

高レベル廃棄物に狙われる各地の自治体
高知の動きをめぐって

1.狙われる高知県

 原子力発電環境整備機構(原環機構)が公募する高レベル放射性廃棄物の最終処分施設をめぐり、高知県内の津野町や東洋町で候補地応募を求める動きが出てきています。

津野町では、9月4日に誘致派の町民有志が議会に陳情書を提出。これに対し、反対派も同日、陳情書を提出し、町行財政改革特別委員会(大地勝義委員長)に付託され、12日に開かれた同特別委では、「慎重に議論を深めるべきだ」として継続審査となりました。これまで津野町議会は、昨年末ごろ原環機構から施設などの説明を受け、その後一部議員や町民が六ケ所村を視察していました。今月も同機構が一部町民に対し説明会を開くなど活発な動きを水面下で行ってきました。現在、隣接する須崎市や棒原市の首長は、反対表明をしており、橋本高知県知事も東洋町の誘致の動きを含め否定的考えを示していますが、完全に否定されておらず今後の推移を注視する必要があります。

高レベル放射性廃棄物の処分に関する各国の動向

どこの国でも処分地はなかなか決まらない
国名処分候補地処分地決定
アメリカユッカマウンテン02.7 正式決定。裁判やデータ捏造発覚などで許認可申請は遅延。
カナダ選定計画中止
スイス選定未着手
スウェーデン選定中
ドイツゴアレーベン(調査中断)
日本選定未着手
フィンランドオルキルオト01.5 国会で承認。04年に地下研究施設建設に着手。
フランス選定未着手
ベルギーモル

*原子力市民年鑑2006から

東洋町では、8月上旬に町執行部と町議会が原子力発電環境整備機構の職員を招き勉強会を開き、説明を受けていました。東洋町には、1万トン級の船が接岸できる岸壁があり、隣接の室戸市長も「推移を見守る」と、反対の姿勢を明確に示していません。津野町のように山間部に位置し、周辺の自治体が反対しているのと違った状況にあり注意が必要です。

これまでも県内では、佐賀町(現黒潮町)で2003年9月に誘致が表面化しましたが、2004年7月に議会で請願を不採択しました。過去にも核燃料サイクル開発機構(核燃機構)が公開した全国25ヵ所の処分場候補地の中で、高知県内では「大野見村鈴ヶ森付近」、「窪川町北西部」、「西土佐村の中半付近」、「佐賀町西部」、「宿毛市京法の西方」、「中村市と三原村の境界」、「土佐清水市今の山付近」の7カ所が上げられていました。水面化で高知県は狙われていました。

2.高レベル放射性廃棄物処分とは

 高レベル放射性廃棄物は、原発の使用済み核燃料を再処理してできる極めて放射性の強い廃液です。その廃液と耐熱ガラスを混ぜてステンレス容器で固めこんでガラス固化体にしたものです。ガラス固化体1本には、セシウム137の放射能で比較すると広島型原爆で放出された量の100倍の放射能が含まれ、そばに立っているだけで1分間に200シーベルトという強烈な放射能を浴びるほど危険なものです。それを30〜50年間程度冷却のための貯蔵した後、地下300メートルより深い場所に約4万本を埋設し約50年間かけて処理する計画です。計画では2030年頃の処分場の操業開始を目標としています。

 最終処分施設選定は、資料を基に過去の地震や火山活動などをデータで調べる文献調査やボーリングで地層の状況などを調べる概要調査、地下施設を設けての精密調査─など3段階の調査を約20年間かけて行うことになっています。文献調査段階で年間最大2.1億円、概要調査段階で年20億円(総限度額70億円)の電源立地地域対策交付金が、応募自治体や隣接自治体や県に交付されることになっています。しかし、原環機構の2002年12月から候補地公募に対して、いまだ全国で正式応募した自治体はないのが現実です。政府は文献調査段階の交付金をさらに増額する方針を打ち出していいます。金額をつり上げ、財政が逼迫する地方自治体を絡め取ろうとしています。

3.高レベル放射性廃棄物処分場阻止にむけて

今後も、交付金をつり上げ各地で誘致の動きを刺激することが予想されています。そのことは、経済的に弱い自治体に、核のゴミを押しつけることになるだけです。さらに次々と誘致の声を上げさせることによって、推進側としての「本命」の地域が手を挙げやすくなることに注意する必要があります。

もぐら叩きのようではありますが、私たちは、初期の時点で彼らの動きを止めることがいま重要です。