出版物原水禁ニュース
2006.10 号 

北朝鮮ミサイル発射後の世界
孤立深める日本外交の危うさ

日米の圧力で北朝鮮核問題は解決しない

米・強硬派とだけ連携した日本

今年7月5日の北朝鮮によるミサイル発射のあと、日本政府はボルトン・米国連大使の積極的な支援を受け、国連安保理で、国連憲章第7条に基づく制裁を含む非難決議の早期成立をめざしました。一方中国は、日本の非難決議案に強く反対し、ロシアも中国と同調しました。

しかし、米国は国連での強硬姿勢の一方で、ブッシュ米大統領が、ミサイル問題の外交的解決をめざすと表明(7月6日)し、ヒル国務次官補が中国、韓国、日本を訪問。とくに中国と非公式6ヵ国協議開催で合意し、中国も武大偉外務次官を7月10日に北朝鮮に派遣しました。この段階で日本の制裁案採択は不可能となったのですが、日本は閣僚の間から「先制」攻撃論(敵地攻撃)ととれる発言が出るなど強硬姿勢を崩しませんでした。

結局、7月15日に国連憲章第7条への言及を削除した非難決議案が英仏から提案され、採択されました。

こうした経過から、米国政府内には国防総省を中心のネオコン派と国務省など現実派の二つのチャンネルがあり、ブッシュ大統領は時に応じてどちらかに乗っているという姿が見えてきます。

ミサイル発射で孤立したのはどこか

今回のミサイル発射で、北朝鮮は一層国際的孤立を深めましたが、一方日本も米・ネオコン派とだけ連携した結果、日本外交の危うさを内外に示し、国際的にも孤立したのです。8月15日の小泉首相の靖国神社参拝は、日本の孤立外交の仕上げというべきものです。

韓国政府は北朝鮮のミサイル発射後も北朝鮮との対話ルートを閉ざしませんでした。コメ・肥料の追加支援は中止しましたが、7月11?12日の南北閣僚級会談を予定通りは済州島で開催し(結果は決裂)、8月上旬、北朝鮮政府が7月の水害被害への支援要請を公式に行ってきたことに対して、100億ウォン(約10億円)の緊急援助とコメ15万トンを送ることを明らかにしました。

中国はロシアと共に独自の非難決議案を提案しましたが、ミサイル発射後も6ヵ国協議再開への働きかけを一貫して続けています。

北朝鮮核問題の解決の方向は見えるのか

現在のところ米国は、北朝鮮の核計画を放棄せよという圧力をかけ続ける以外の策は待っていません。

6ヵ国協議についても、中国、韓国の努力にまかせるだけで、状況を打開させる行動はとろうとしません。

 2005年9月19日の共同声明は、北朝鮮の核計画放棄に大きな展望を開くものでした。しかし北朝鮮の要求する軽水炉建設については、今後の協議にゆだねることになりました。しかしブッシュ大統領は共同声明のすぐ後に、北朝鮮がNPTに復帰した後も、北朝鮮の原子炉は認めないと断言したのです。

 北朝鮮の核問題はイランの核問題にも大きく影響します。そして米朝会談の開催がその鍵を握るのです。北朝鮮の核問題が解決の方向へ向かえば、イランの核問題もいい方向へ向かうでしょう。しかし米国は北朝鮮に6ヵ国協議復帰が困難な状況を作っているのです。

 膠着した状況を切り開くために、北朝鮮がとった行動がミサイル発射だったのです。私たちは軍事行動によるメッセージには、いかなる点でも反対ですが、じゃあ日本政府は6ヵ国協議再開のために、どのような状況を作ろうとしたのかを問わなければなりません。

日本政府の政策のなさに恐怖を感じる

米国は北朝鮮が経済的困窮から国家的破綻することを求めていて、日本政府は米国の政策を支持しているかに見えます。しかし国境を接する中韓が、北朝鮮の国家的破綻を見過ごすことはないのです。

そしてこのまま時間が経過すれば、北朝鮮に残されたメッセージは核実験だけとなります。しかし北朝鮮の核兵器保有がはっきりと明らかになれば、日本でも核兵器保有をという声はにわかに高まるでしょうし、アジア全体を緊張させ、混乱することは明らかです。

私たちは北朝鮮の核開発断念を最優先にしなければならないのです。経済制裁や、軍事的圧力では北朝鮮の核開発を止めることは不可能です。朝鮮戦争以降、北朝鮮は米国の軍事的脅威に曝されてきたのです。北朝鮮核問題の解決は、まず米国が外交的解決への意志を持つこと。そして9月19日声明の誠実な実行です。

北朝鮮のミサイル発射を日本国家の危機かのように、政府もマスコミも宣伝し、また国民も同じように危機感を抱いて、経済制裁に拍手を送る。このような日本の姿に、私たちは恐怖を感じなければなりません。

米国の世界戦略としての在日米軍再編。その中心となるミサイル防衛=MD。しかしミサイル防衛はほとんど役に立たないのです。

(W)