出版物原水禁ニュース
2006.11 号 

北朝鮮とイランの核問題(1)
北朝鮮の核実験をどう考えるか

日本に必要な冷静な対応

核実験はどのような種類か

10月9日、北朝鮮は地下核実験を行ったと発表しました。私たちはこの暴挙に強く抗議します。米朝は50年間対立状態にありましたが、とくにブッシュ政権誕生後は北朝鮮に強い圧力を加えてきました。これに対して北朝鮮は核兵器保有を確実なものとすることによって対応しようとしています。これほど最悪な選択はありません。これまで幾度か状況を大きく転換する機会がありましたが、ブッシュ政権、北朝鮮ともその機会を拒絶し、東北アジアに混乱と緊張、さらには軍事的紛争という事態すら招きかねない状況を作り出しました。私たちは北朝鮮の核保有を絶対に許すことはできませんが、米国の対応と、その政策を支持してきた日本政府を強く批判するものです。

北朝鮮の核実験はどのようなものだったのでしょうか?北朝鮮は爆発規模などを発表しておらず、各国の監視データにも大きな幅があります。爆発規模は0.5キロトン?1キロトン(広島原爆は16キロトン)でほぼ一致していますが、爆発規模が小さすぎることから失敗説も出ています。

ただ北朝鮮の核実験は、ブースター爆弾の実験であると推測されます。これは球体のプルトニウムの中心部に、ごく少量の重水素・トリチウムの混合ガスを注入して、核分裂─核融合─核分裂という経過で爆発(数万分の1秒でこれらの反応が生じる)する爆弾で、米国では水爆が作られる以前に実験が行われていました。インドが1998年に行った核実験では、ブースター爆弾を爆発させたと記者会見で述べています。ブースター爆弾の特徴は、プルトニウムの量を少なくでき、小型化、軽量化が可能だということです。ただ最初の核分裂は長崎型原爆と同じ爆縮(内部に均等で強力な力で圧縮する)ことが必要で、この爆縮にはかなり高い技術が求められます。

北朝鮮が核兵器国への道を歩もうとするなら、今後複数回の核実験も想定され、私たちは強く反対していかなければなりません。それは東北アジアの緊張を高めるだけです。

米朝軍事衝突が引き起こす危険

 国連安保理の決議は、とりあえず経済制裁に絞られそうで、海上封鎖、船舶の臨検などは避けた決議になりそうですが、さらなる北朝鮮の核実験によっては、状況の悪化も予測されます。

万一、米朝の軍事衝突となった場合、もっとも被害を受けるのは韓国であり、日本です。

1994年、北朝鮮の核開発をめぐって米朝は一触即発の状態に陥りました。このとき米国防総省は「死亡する米兵のために8万〜10万個程度の遺体収容袋が戦場で必要となり、韓国兵は犠牲者が数十万に達する恐れがある。北朝鮮がソウルを攻撃したとしたら、民間人の犠牲は計り知れない数になるだろう」とクリントン大統領に説明しました。このとき北朝鮮のノドンミサイルによる在日米軍基地攻撃は含まれていません。

このときはクリントン大統領が北朝鮮攻撃命令を下す直前に、カーター元大統領が訪朝し、事態が急転したことは多くが知るところです。

 また北朝鮮には15,000近くの地下軍事施設があるといわれ、仮に米国が先制攻撃したとしても、標的を絞りきれません。さらに地中貫通爆弾の貫通力は、固い岩盤の場合、貫通力はせいぜい6メートルしかなく、標的が絞れたとしても破壊は難しいでしょう。

韓国が米朝の軍事衝突を回避し、また北朝鮮が困窮からの出口を見つけ出せずに暴発する危険も避けようとして取ってきた政策が太陽政策なのです。しかし、韓国の太陽政策も変更を余儀なくされそうで、これだけでも東北アジアは緊張の度を加えるでしょう。

北朝鮮問題を憲法改正に利用させるな

北朝鮮の核保有が明らかになるにつれ、今後「日本核武装論」が強く出てくる可能性があります。しかし日本核武装論は韓国を刺激し、韓国内での核武装論を誘発し、一層事態を複雑にします。

私たちにはいま、冷静な対応が求められています。日本が核武装するためには、NPT条約からの脱退など、困難なハードルが存在し、また核爆弾を搭載するミサイルを開発しなければなりません。そしてそのためには憲法改正が必要です。安倍首相は、小泉政権の官房長官として北朝鮮を挑発し続けました。その狙いは北朝鮮を挑発するなかでの改憲にあると考えるべきです。

私たちは米朝の軍事衝突の回避と、北朝鮮の核兵器保有の完全放棄を求めなければなりません。東北アジアの非核化の社会を実現するためには、6ヵ国協議の再開以外に道はないのです。北朝鮮の核保有の道は、自国の破滅をかけた危険な道なのです。それに巻き込まれる国民のことを考えなければなりません。

(W)