出版物原水禁ニュース
2006.11 号 

核拡散の危機の今こそ非核の本道にかえれ
─中央アジア非核地帯条約─

国際的な核不拡散体制がいよいよ危機に直面している現在、9月8日調印された中央アジア非核地帯条約の持つ意義は大きい。9月13日に条約調印のウズベキスタン大使館プレスリリースを受け、原水禁は歓迎の書簡をウズベキスタン大使館に送った。

5つの非核地帯条約

現在までに実現した非核地帯条約を振り返ってみると、1967年に署名され68年に発効したトラテロルコ条約では、ラテンアメリカとカリブを対象にしており、核戦争直前までエスカレートした62年のキューバ危機の反省が成立の契機となっている。

85年署名86年発効のラロトンガ条約は南太平洋地域、フランスのポリネシアで続けられた核実験への反対運動が太平洋諸国に広がった事が背景に成立。

95年署名、発効は97年のバンコク条約は東南アジアのASEAN諸国10ヶ国が対象。ASEAN創設以来の東南アジア平和・自由・中立地帯構想の一環で、冷戦終結後の構想進展によって実現。

96年署名のペリンダバ条約はアフリカ諸国が対象で、構想は60年代からあったが、91年に南アフリカが核兵器を放棄、NPTに加盟したことで実現した。

そして今回の中央アジア非核地帯条約は、中央アジアの5カ国が非核地帯創設をうたったアルマトイ宣言を支持した97年以来、ほぼ10年間の交渉を経て、今年9月8日、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、トルクメニスタンとウズベキスタンがセミパラチンスクで署名した。カザフスタンの同地は1996年に閉鎖された、旧ソ連が核実験を続けた核実験場のあった場所でもある。その核大国旧ソ連からの独立国の地域として、また全体が北半球にある地域としては、最初の非核地帯となる。

地政学的重要性

地理的に見ると、核兵器国のロシアと中国、さらに核兵器を持ったパキスタン、紛争の続くアフガニスタン、核開発疑惑をもたれているイランに囲まれた大変な地域だ。ここにできる非核地帯の持つ意味は極めて大きい。

中央アジア

南極とモンゴルも

いずれの非核地帯でも、核爆発装置の開発、製造、備蓄、所有が禁止され、一方、IAEA保障措置の下では、核の平和利用が許されてもいる。非核という意味では地域国間条約以外でも、南極では核爆発、放射性廃棄物の処分が1959年の南極条約で禁止されており、モンゴルも、1992年の国連総会で非核地帯化宣言、1998年、国連総会での歓迎決議によって国際的に認められている。

核保有国による安全保証

ここで重要なのは、核兵器国からの安全保証だ。核兵器を使用しないという明確な保証こそが、国の安全保障を核武装に頼らない道を選択する鍵となる。上にあげた非核条約でも、締約国に対し核兵器の使用または威嚇を行わないと規定した議定書に核兵器国が署名、批准したかどうかで条約の重さが違う。バンコク条約には核兵器国は未署名、また米国やロシアが署名のみで未批准の条約もある。

今回の中央アジア非核地帯条約にも米・英・仏が異議を主張、米国は署名拒否の方針を明らかにするなど前途多難だ。9月19日広島県原水禁、平和運動センターは五核兵器国とイスラエル・インド・パキスタンに議定書に署名するよう要請書を送付している。

核不拡散体制の危機に対して核兵器国の、とくにCTBTも批准せず、核不拡散の原則を対インド原子力協力で踏みにじる、米国の責任は極めて重いといえる。核保有国は議定書への署名を直ちに行なう必要がある。

日本のとるべき道は

中央アジア非核地帯条約の実現には日本の支援も99年・2000年に札幌で各国の専門家会合を開催するなどで貢献したが、今後も核保有国に議定書への署名を促すなどの努力を期待したい。

もちろん、核兵器物質の世界的拡散に対し、ウラン濃縮・プルトニウム抽出の禁止を国際的な原則として確立させるために、まず自国での再処理をやめることが先決だ。

原水禁では、ウズベキスタン大使館と協力して、以下のシンポジウムを開催します。ぜひご参加ください。

中央アジア
地帯実現のシンポジウム

シンポジウム 「中央アジア非核兵器地帯の署名(9月7日)実現 〜実現の経緯とこれからの課題〜」

日時
11月9日(木)18:30〜20:30
場所
総評会館会議室501号室
内容
主催者あいさつ 市川定夫(原水禁副議長)
ミルソビット・オチロフ ウズベキスタン大使 ご講演
市民団体・専門家からの発言・コメント
高原孝生(明治学院大学)・中村桂子(ピースデポ) 他
主催
原水禁/ウズベキスタン大使館
問い合わせ
原水爆禁止日本国民会議 (原水禁)
〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台3-2-11 総評会館1F tel.03-5289-8222 fax.03-5289-8223