出版物原水禁ニュース
2007.1 号 

ウズベキスタン大使館と共催
中央アジア非核兵器地帯のシンポジウムを開催
──核兵器の一時通過など規定──

中央アジア非核兵器地帯のシンポジウムで語るウズベキスタン大使原水禁は11月9日、ウズベキスタン大使館と共催でシンポジウム「中央アジア非核兵器地帯条約の署名(9月8日)〜実現の経緯とこれからの課題」を開催しました。ミルソビット・オチロフ駐日ウズベキスタン大使と、クタノフ・アスカル在日本国キルギス共和国特命全権大使の2ヵ国の大使が出席する貴重な場となりました。また、高原孝生・明治学院大教授から「NPTでの非核兵器地帯の議論と世界の非核兵器地帯の進展」、ならびに中村桂子・NPO法人ピースデポ事務局長から「中央アジア非核地帯の今後の課題と日本政府の対応」について解説・提起がありました。

核兵器国(米・英・仏)の反対

 世界にはこれまで4つの非核兵器地帯が設立しており、その大きな特徴として、(1) 核兵器の不存在と不拡散(開発・実験・生産・所有・輸送など)、(2) 非核兵器地帯に対する核兵器国による核攻撃や核攻撃の威嚇を禁止する「消極的安全保障(NSA)」の約束が挙げられます。また一般的に核不拡散と非核兵器地帯の概念は似通っているものの、非核兵器地帯は核兵器の「配備」の禁止まで含んでいる点を、高原教授は強調しました。中央アジア非核兵器地帯条約(CANWFZ)に対しロシア、中国は賛同しましたが、米・英・仏は条約に問題点を指摘し、署名しませんでした。消極的安全保障(NSA)を与えられることが、「核の傘」ではなく、「非核の傘」で守られることを保障しますが、核兵器国が条約に署名しないということは、これを骨抜きにしてしまいます。

既存の国際条約との関係および核兵器の一時通過

米・英・仏の3ヵ国が強く反対した点は主に次の2つが挙げられています。

(1)既存の国際条約との関係

この地域には92年に設立したロシアを含むタシケント集団安全保障条約があります。これに関し米国は、条約第12条第1節で「既存の条約に対して影響は与えない」とし、一方第2節では、「条約の目的に反するようないかなる行動もとらないことに合意する」となっており、この第1項と第2項が矛盾であると指摘します。

(2)核兵器の一時通過

核兵器の海・陸・空の通過について、条約は「各国の判断に委ねる」としています。一方、米・英・仏の3ヵ国は核兵器の一時通過を可能にする余地を残すような形で条文修正の努力をしてきました。

核兵器国にもっとも求められることは、明確な支持をし、議定書に署名をすることです。「これは政治的判断なのです。どの非核地帯条約にも完璧なものは存在しません。非核兵器国と核兵器国は、非核地帯の有効性を理解し目的に対し最善の措置を取り、進んでいかなければなりません」と中村さんは訴えました。

日本政府の対応

 日本政府はCANWFZに札幌での起草会議開催(1999年・2000年)などの支援をしてきましたが、この署名には公式の声明が出されていないと聞きます。また、今年の国連総会に向けた日本決議案「核兵器完全廃棄に向けた新たな決意」でCANWFZについて言及がありません。10月18日、核兵器廃絶市民連絡会が要請した際、外務省は「それを入れてしまうと核兵器国の賛同が得られない」と返答しました。毎年の国連総会での核廃絶に向けた日本決議案は「現実的」であり、より多くの国際的な賛成票を得ているというのが政府の現在の立場なのです。なお「中央アジア非核兵器地帯条約設立」決議については、国際的に賛成128票(反対3、保留36)を得、日本政府もこれには賛成に回ったことが報告されました。

被爆国として、今こそ中央アジア、また東北アジア非核兵器地帯の積極的支持を市民の側から説得していく声を挙げていくことが重要です。核兵器国の顔色を伺うのではなく、非核兵器地帯を推進していくことの方が、国際社会から信頼を得、地域と世界の平和と安定に役立つのだということを、訴えていく必要があります。