出版物原水禁ニュース
2007.2 号 

「国民保護計画」策定に反対する長崎の取り組み
核攻撃を想定した内容の削除を

長崎県平和センター被爆連議長 川野 浩一

県、市に被爆者5団体が申し入れ

昨年(06年)1月8日、「長崎県国民保護計画」の取り組みについて相談し、「被爆者5団体」(被爆連、被災協、被爆者手帳友の会、被爆者手帳友愛会、原爆遺族会)で取り組むこととしました。早速県知事に「長崎県国民保護計画」の策定中止を申し入れることにしました。

 2月21日「長崎県国民保護計画」の策定中止を求めた5団体の要望は、冒頭から紛糾しました。長崎県警から出向した理事が、5団体が要望を知事に伝え、その後知事が答えて、それで終わりというのです。早くも長崎県行政に「国民保護計画」体制ができあがりつつあるのです。

3月31日発表された「長崎県国民計画」の総論第1章、県の責務、計画の位置づけ、構成等に次のような文言が挿入されました。「長崎県民は、安全で幸福な生活と、自由で平和な社会が永遠に維持されることを念願しています。国民の安全を確保し平和を維持するためには、国において、諸外国と友好に努め、一層の外交努力が払われることが何よりも重要であり、県としても、今後とも平和へのはたらきかけを行っていくものである」。

 県における取り組みは、失敗に終わったと感じた我々は、長崎市に対する取り組みを急ぎました。3月、市議会各派へはたらきかける一方、市議会へ陳情書を提出すると共に、市長と面談し、「長崎市国民保護計画書」の策定に反対の表明をしました。

 行動の前後には記者会見を行うなど努力した結果、マスコミもようやく報道してくれるようになりました。また、「なぜ、被爆者が国民保護計画書に反対するのか」を理解して貰うため、市民、組織にも呼びかけ、講演会を行いました。

核廃絶こそ市民を守る方法

 11月、「長崎市国民保護計画」の素案が発表され、市民にも公表されました。その素案では序論の冒頭で「国民保護計画の作成にあたって、核兵器の廃絶と世界恒久平和の実現に向けた、これまでの長崎市の訴えが形骸化することがないよう、本市の平和に対する基本的な考えを定める」と述べると共に、第3章第2節の冒頭で「被爆都市長崎は、核兵器による攻撃から市民を

非核・平和条例を求める全国集会でも論議(06年12月長崎)

守ることができないことを、身を持って体験しており、あらゆる手段を講じて核兵器の使用を阻止し、1日も早い核兵器の廃絶を実現することこそが核兵器の攻撃から市民を守る方法であることを誰よりも強く認識しています」と言明しました。

 ところがその同じページでは「被害を最小にとどめる方策を講じる責務も有しています」と述べ、また、核兵器の存在という「現実を直視し、国の方針に基づき可能な範囲で万一の事態に備える必要がある」と整合性のない記述となっています。さらに、第3編では「国の方針に基づき必要な措置を講ずる」、「県を通じて国から必要な情報を入手するとともに……所要の措置を講ずる」等の記述もあります。

11月24日、被爆者5団体は市長に面談し、矛盾する記述を指摘し、核兵器による攻撃の項の削除と内閣官房の文書「武力攻撃やテロなどから身を守るために」等の修正を迫りました。市長は上京し、内閣官房長官宛に「国民保護計画における核兵器攻撃による被害想定等に関する要望書」を提出し、具体的な被害想定と対応策と共に、文書の修正を求めましたが、政府は回答を避けました。

 27日帰崎した市長は記者会見し、核攻撃の項目の記述削除をする方向で関係者と協議することを明らかにしました。我々は直ちに5団体名で県下の市・町に対し状況を説明すると共に長崎市と連携した計画策定を求めました。12月に開かれた九州各県の原水禁・原爆被害者交流集会でも各県への取り組みを要請しました。核廃絶の運動を後退させないためにも、全国で取り組んでいただくことを切にお願いしたいと思います。