出版物原水禁ニュース
2007.4 号 

ますます深刻化する地球温暖化
脱温暖化型社会の構築を

気候ネットワーク事務局長 田浦 健朗

IPCC第4次評価報告書の警告

今年2月、「気候システムにおける温暖化は疑う余地がない」「人為起源の温室効果ガスの増加が温暖化の原因とほぼ断定」と記載されたIPCC第4次評価報告書が出されました。この報告書は、IPCC(気候変動に関する政府間バネル)が6年ぶりに公表したもので、最近50年間の気温上昇の長期傾向は過去100年のほぼ2倍など、これまで以上に深刻な温暖化の状況が記されています。

今後の気温上昇の予想では、人類が環境を重視していく場合には1.8度(1.1〜2.9度)、化石燃料に依存し経済成長を重視する場合には4.0度(2.4〜6.4度)も上昇すると予測されています。これは、人類がどちらの道を選択するかにより、大きな差がでることを示しています。地球規模で環境重視の選択が求められているわけですが、多くの人が「地球温暖化を止めなければならない。環境を重視したほうがよい」と分かっていても、現実には、経済重視、化石燃料依存から脱却できない状況に陥っています。

ナイロビ会議から次の合意へ

昨年12月に、第12回気候変動枠組条約締約国会議(COP12)および第2回京都議定書締約国会合(COPMOP2)がケニアのナイロビで開催されました。これは、京都で開催されたCOP3から9回目、また京都議定書発効後2回目の会議でした。会議では、2013年以降の先進国の削減義務について継続して交渉することとなり、今後の作業計画と07年の作業スケジュールが決まりました。京都議定書の見直し(途上国の削減義務化等)については、08年に第2回の見直しを行うこととなり、そのスケジュールを決定しました。

世界的な約束事である「京都議定書」という枠組みは継続していくことになった会議と評価できます。しかし、今後、2013年以降の一層の削減を義務化する数値目標に合意できるかどうか、あるいは京都議定書に参加していない米国やオーストラリアが復帰することになるかどうかは未知数です。今年12月には、COP13/COPMOP3がインドネシアのバリで行われ、大筋の合意から具体的な合意に進めていかなければならない重要な交渉が行われます。

温室効果ガス削減の目標達成への提言

昨年末から、国内では2008年からの第1約束期間開始に向けて、京都議定書目標達成計画の見直しが行われています。しかし、日本は温室効果ガスの6%削減の目標に対し、05年度の排出量は90年に比べて8.1%も増加しています。これは、これまでの対策が効果をあげず、逆効果になる政策を行ってきた結果です。

このままでは、京都議定書の目標は達成できない恐れが大きく、計画の抜本的な見直し、政策の強化が求められています。気候ネットワークでは、NGOの立場からこの計画の実効性をあげるための提言をまとめ、計画に反映させたいと考えています。

ナイロビでの温暖化対策会議(2006年12月)
ナイロビでの温暖化
対策会議(06年12月)

気候ネットワークは、昨年「2020年の30%削減社会ビジョン〜家庭・業務部門の削減シナリオと政策提言」の研究を実施しました。これは、中長期的な大幅削減(2050年に50%以上)が必要との認識のもと、家庭や事務所・公共施設等を対象にしました。その結果、ワークシェアリング等の働き方の多様化などによるゆとりの増大と市民社会の成熟による「やさしさ」を育む社会が望ましい、住宅の省エネ性能の向上や自然エネルギーの活用などで削減が可能、自然エネルギー電力固定価格買い取り制度と炭素税の導入、住宅・建築物の省エネ規制などが必要、等との内容をまとめました。

同時に、気候ネットワークは、地域レベルの温暖化防止に関する調査・研究や実践活動も行ってきています。地域で省エネや自然エネルギー普及の活動を実践し、その輪を広めていきながら、温暖化防止政策・制度につなげていこうというものです。

地球温暖化が深刻化している今、「できることからやりましょう」では不十分です。科学者の警告をしっかりと受け止め、「不都合な真実」を直視し、市民が中心的な役割を担って、脱温暖化型の社会・経済・政治を着実かつ迅速に作りあげることが求められています。─気候ネットのサイト