出版物原水禁ニュース
2007.4 号 

緊急性が増す高レベル放射性廃棄物の処分問題
住民の意思が通じない制度 誘致の動きに徹底対抗を

町民の反対を無視し、東洋町長が独断で初の応募

原発などから出る高レベルの放射性廃棄物の最終処分場については、「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」(高レベル処分法)によって、文献調査→概要調査→精密調査の3段階の調査で選ぶことになっています。実施主体の「原子力発電環境整備機構」(NUMO)は、文献調査を行なう地区を02年12月から公募方式で選定を行っています。

これまで正式に手をあげた自治体が無いなか、1月25日、高知県東洋町の田島裕起町長が、議会の同意もないまま全国で初めて文献調査に応募をしました。町民の6割を超える反対請願署名が議会に提出され、その対応を協議する町議会全員協議会の日に独断で応募をするという暴挙です。その後、議会では、町長の辞職勧告決議がなされましたが、町長はいまだ居直りつづけています。

東洋町の応募を受けてNUMOは2月28日に経済産業省資源エネルギー庁に最終処分地の選定に向けた事業の認可申請をおこないましたが、高知、徳島の両県議会は、経済産業大臣に調査を許可しないように申し入れています。

 今の制度では、どんなに反対があっても、手続き的には止められないという問題があります。市町村長からの応募があれば、NUMOが地質条件などを調査し、経済産業大臣に申請し、認可を受けるようになっています。その後、文献調査が行われ、報告書の作成、説明会の開催、地域住民などからの意見書受けつけとそれへの見解発表をへて最終処分計画の改定まできてから、やっと関係知事および市町村長の意見を聴くことになっています。

「反対の意見を示している状況においては、?(その)意見に反しては、概要調査地区等の選定はおこなわれない」との政府答弁書が「ある」とされていますが、申請がおこなわれれば、どんなに住民が反対していても、事業は着々と進められることになっています。原水禁などがNUMOへ申し入れをした際にも、「法律に則って進める」と繰り返し、経済産業省も、「NUMOから上がってきた書類に不備がないかどうかをチェックするだけ」としています。当該の首長が申請を下ろさない限り、法律に基づき進められ、住民の意志はまったく反映されない非民主的な制度です。

原発のゴミ・全国集会
原発のゴミ・全国交流集会
で討議(07年2月・岡山市)

各地で起きている誘致の動きに全国的な連携を

最終処分場をめぐって、滋賀県余呉町や高知県津野町では、地元住民の反対で、誘致に向けた動きを押し返すことができました。他にも長崎県対馬市、同県新上五島町、福岡県二丈町、青森県東通村などで誘致の動きがでています。青森県を最終処分場にしない協定がある青森県東通村を除いて、当該の首長は反対の意志を示していますが、今後も注意が必要です。

また、文献調査にともなう交付金が、4月以降、年間10億円に増額されることから、新たに応募する自治体が出てくる可能性があります。特に財政が逼迫する自治体や公共事業が欲しい地方の企業を中心に、動きが活発化することが考えられます。すでに、表面化した地域では、六ヶ所への視察旅行が繰り返されています。水面下の動きも各地で起きていると思われます。

こうした各地で起こる誘致の動きに対抗するため、2月17日に原水禁は廃棄物問題の全国交流集会を岡山で開催しました。各地で起きている状況の報告と今後の対応について話し合い、誘致の動きの早期キャッチと運動の集中が重要とし、全国的な連携の強化が確認されました。東洋町の動きについては、誘致阻止の運動を支援していくことが確認され、今後の動きを注視していくことになりました。集会では、高レベル廃棄物の拒否を求める要望書を決議し、全自治体に送付し、処分候補地に応募しないよう求めています。

 さらに、政府や事業者などへの取り組み強化と迅速な対応も図り、交渉・要請を強めて当該地域への情報提供などを進めることが必要です。今の通常国会には、放射性廃棄物処分法案の改定も出されることから、それへの対応も重要になっています。