出版物原水禁ニュース
2007.4 号 

世界は大きく動こうとしている
6ヵ国共同文書の持つ意味
孤立する日本の危険

原水禁専門委員 和田長久 

北朝鮮政策を根本的に変えた米国

 07年2月13日、6ヵ国協議で採択された共同文書は、米・ブッシュ政権がこれまでとってきた北朝鮮への敵視政策を根本的に変えるものです。

 この共同文書には、核兵器への直接の言及もなく、ウラン濃縮問題にも触れていません。これまでブッシュ米大統領が「完全な、検証可能な、不可逆的な破棄」(CVID)を要求してきたことを考えると、驚くべき変化です。早速ネオコンのボルトン前国連大使を始め政権内からも北朝鮮に妥協しすぎだとの批判が出ました。しかし今回の共同文書は米・民主党が支持しているのですから、流れは変わらないでしょう。

さらに共同文書で「北朝鮮と米国は完全な外交関係を目指すために協議を開始する」とあり、これは05年9月の「共同声明」よりも、米朝の国交正常化への意欲がより強く前に出ていると言えます。

05年9月の「共同声明」の直後には「偽ドル」が北朝鮮によって作られているとして、バンコ・デルタ・アジアの北朝鮮口座が凍結されましたが、この問題もほぼ解決へ向かっています。逆に「偽ドル」そのものがCIA自身によるものではないかとの疑惑が強まっています。

3月5、6日と米朝の作業部会が開催されましたが、内容はほとんど報道されず、同時期開催された日朝作業部会のみが大きく報道されました。しかしキム・ゲグァン北朝鮮外務次官は、3月8日に成田経由で帰国した際、韓国・中央日報記者に「テロ支援国解除問題はすでに(米国と)合意した問題」とし「時間をかけてみればだんだん解けるだろう」と語っています。

日本では拉致問題が解決しなければ、米国の「テロ支援国家」解除はないと語られていますが、状況ははるかに進んでいるのです(作業部会は始まったばかりで、多くの紆余曲折が予想されるとしても)。

ますます変わる米国、日本はどうする?

米・ブッシュ政権の変化は中東でも顕著です。いまブッシュ米大統領の頭は、泥沼化したイラクをどう収束させるかで一杯で、米国内の反対を押し切ってイラクへの兵力増派を行っていますが、破壊、殺りく、混迷は進む一方です。

そして2月28日、ブッシュ政権は3月10日にバグダッドで開かれる「イラク安定化国際会議」にイラン、シリアとともに、米国も参加すると発表しました。昨年の秋までは考えられなかった事態の進行です。

これまで米ブッシュ政権(というよりネオコン)にひたすら忠誠を示してきた日本政府はどうするのでしょう。米軍再編に積極的に協力していますが、米軍再編を主導したラムズフェルド国防長官は退任しました。

日本国内ではマスコミも含め、北朝鮮問題によって偏狭な民族主義が助長されてきました。教育基本法と憲法改正によって、日本は戦前回帰を果たそうとしているかのようです。そして国際的に孤立するほど、日本の核武装論は出てくるでしょう。そのような日本にしないためにも、日本での非核3原則の法制化と朝鮮半島の非核化は急がれるし、核5ヵ国の核廃絶・核軍縮への努力が求められるのです。

6ヵ国協議共同文書要旨(07年2月共同通信より)