出版物原水禁ニュース
2007.5 号 

厚木基地の爆音闘争 第四次訴訟へ
米空母艦載機の飛行差し止めを求め闘う

第四次厚木爆音訴訟実行委員長 藤田 栄治

爆音は違法状態にあると断定した東京高裁判決

1997年12月、横浜地裁に提訴した第三次厚木爆音訴訟は、9年7ヵ月の歳月を経た2006年7月、東京高裁で住民勝訴の判決が出され、国側が上告を断念したことにより裁判は終結しました。

判決は、「米海軍厚木基地(神奈川県大和市・綾瀬市)の爆音は違法状態にある」とした上で、「国は基地周辺における騒音状況が悪化しているにもかかわらず、外交交渉等による飛行場の国外への移転や、騒音の廃絶等の抜本的対策について努力した形跡は全く無い。国民の身体生命の安全を図ることを基本的な義務とするその立場からすれば余りにも無為無策であって、騒音等の加害行為を維持継続している。その態度はほとんど故意による侵害行為といわざるを得ない」と、厳しく国の怠慢を指摘し、4,854名の原告に40億4,000万円余の損害賠償金を支払うよう命じました。

訴訟団は、個々の問題では不備、不満な点は多々あるが、判決全体に流れる精神を素直に評価し、住民勝訴と総括しました。

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勝利判決を勝ち取った第三次訴訟
(06年7月 東京高裁)

新たな被害地域の仲間を集め新たな訴訟を開始

しかし、裁判には勝利したものの、爆音状態は一向に変わることなく、今も米軍機や自衛隊機は住宅密集地の上空で激しい爆音を轟かせ、住民のいらいらを募らせています。

そんな状況のなかで、厚木基地爆音防止期成同盟(厚木爆同・鈴木保委員長)の会員や第三次訴訟原告団のなかから、「四次訴訟を起こせ!」「闘いを継続させろ」の声が自然発生的におこりました。昨年10月14日、厚木爆同と第三次訴訟団が中心となって、新たに爆音被害地域と認定された藤沢市・相模原市・東京都町田市などに呼びかけ運動の輪をひろげながら、第四次爆音訴訟実行委員会を結成するに至りました。

いま現地では、10月の提訴をめざし、第三次訴訟の5,000名を上回る原告を集めることを目標に、新たな闘いにむけて熱く燃えて一大運動を展開しています。

基地問題解消へ行政訴訟も

第三次訴訟は戦術的には損害賠償一本に絞った裁判でしたが、第四次訴訟は三次訴訟の闘いを踏まえ、「飛行差止め要求」を基本に捉え闘うことを確認しました。

飛行差止めは、過去のいずれの裁判でも棄却され訴えは退けられています。しかし、あえてこれを基調に捉えたのは、「爆音は違法状態」「故意による侵害行為」とまで明確な判断を下した東京高裁判決をさらに前進させ、基地・爆音問題解消の本質をただしていくためです。

そのため、民事訴訟では限界とされていることから、行政訴訟も視野に入れて闘うことを前提に、いま新たに組織された30名の弁護団が鋭意検討を進めています。

反基地・平和運動の一翼を担うために

5,000名の市民を集めて9年7ヵ月にわたって闘ってきた、第三次訴訟には多くの貴重な教訓がありました。第四次訴訟はこの教訓を生かし、運動の基調を、(1) 裁判を通じて違法状態の爆音をなくし、基地返還と平和を訴える運動の輪をひろげていく。(2) 侵害行為を放置している国の責任を追及し、爆音問題解消の展望を開き、そのうえで、爆音被害を受ける住民の被害賠償を求めていく、こととしています。

新たに集まる原告には、この理念に賛同することを求めていくことになりますが、1万人の原告団の結成を目標にしています。終結まで何年かかるかわからない長期の闘いになりますが、訴訟団は、全国で闘う反基地・平和運動の一翼を担う市民団体としての役割を果たせるようがんばり抜きたいと思います。