出版物原水禁ニュース
2007.6 号 

「子どもたちに希望を託して」
13年目のヒロシマ子どもツアー

生活クラブ生協神奈川 中森 圭子 

「見て、聞いて、感じて、想像する」

生活クラブ生協神奈川がヒロシマ子どもツアーを始めてから、今年で13年目を迎えます。生活クラブでは、平和への思いをカンパに託して毎夏、広島へ生協組合員の代表派遣を続けていますが、一緒に行く子どもが増えていく中で、1994年、大人とは違う子どもの目線で「見て、聞いて、感じて、想像する」ヒロシマ体験ができるようにと取り組んだのが「ヒロシマ子どもツアー」の始まりです。

小学校3年生から中学生まで(ここ数年は高校生も参加)と、異年齢の子どもたちが、3日間寝食をともにすることは、学校とはまたひと味違った平和を学ぶ体験になっていると思います。年齢も学校も違い、ツアーで初めて出会うためか、最初はぎこちなくても、新幹線の中ですぐ打ち解けてワイワイ、ガヤガヤ、賑やかで楽しい3日間の「平和への旅」となります。

私たち大人の、次世代に平和な社会を担ってほしいと思う気持ちが強いのか、分刻みのハードなスケジュールになってしまいます。被爆者の証言、原爆ドーム前でのダイイン、原爆資料館見学、平和公園内の碑めぐり、広島城周辺のフィールドワーク、灯籠流しと精力的に動く3日間ですが、柔軟な感性でついて来てくれる子どもたちに逆に励まされ、エネルギーをもらっているように思います。

語り継いでいくことの大切さを実感

 戦後60年を過ぎ、ヒロシマ・ナガサキにとどまらない、戦争そのものの風化が心配される今日、ますます語り継いでいくことの大切さを痛感しています。しかし、戦後生まれが70%を超え、戦争体験を親に持たない世代が親となっていることを考えると、どのように語り伝えていけばいいのか、戦争を過去から現実のものへと共感できるような伝え方が求められているように感じます。

実体験がない世代にとって戦争は過去のことであり、殺し殺されることがどういうことなのか想像の範囲を超えるのではないでしょうか。「ヒロシマ・原爆」という歴史の一行を学ぶのではなく、暑い広島で体験して感じたことを心に刻んでほしい。そして大人になった時、平和な社会を支える力を発揮してほしい、そこに希望を託しています。

原水禁大会の関連企画である「メッセージfromヒロシマ」へは、2001年の初回から毎年参加しています。「平和の大切さを呼びかけていけるのは子どもにしかできない」と行動を起こした若い世代に感動し、また「戦争について学び、平和について考えようとしている仲間が、全国にこんなにもいるんだよ」と伝えたくて、楽しみに参加しています。私たちは5日に広島到着のため、途中参加になってしまうのですが、海外からの参加者を含めた大勢の仲間に出会えることは、この瞬間ここにいるのは自分一人ではないことを意識させてくれるので、どの子も安心したような顔をします。初めは会場内の熱気に圧倒されるようですが、「同じ年の子が、平和について意見を言っているのを聞いてすごいなと思った」と感想を述べています。

子どもヒロシマツアー
ツアーに参加する
子どもたち

「メッセージfromヒロシマ」で世界ともつながり

受け身ではない、積極的かつ主体的に参加できるプログラムは、「平和とは楽しいもの」と子どもたちの心に写ったことでしょう。2001年の折り鶴で作られた子どもの顔のモニュメントは、新幹線の中でも一生懸命ツルを折ったので、特に子どもたちの喜びが大きかったことが思い出されます。さらに世界各国への「核廃絶を求める」メール送信など、主体的に関わることの楽しさを感じているようです。この子どもたちが大きくなって、今度はスタッフとして広島を訪れてくれれば、平和の芽が次々育ち、その思いを紡いでいけると思います(12ページも合わせて参照ください)。

 次世代に「憲法9条」を渡せなくなる日が来るかもしれない状況です。戦争のできる国になっても、立ち向かうために「生きる力・未来を切り開く力」をつけてほしいと切望します。被爆者の方たちが絶望の中で生き抜いてきた姿は私たちに多くのことを教えてくれます。毎年ヒロシマを学ぼうとする子どもたちがいる限り希望は見えてきます。「ヒロシマは平和の原点」との思いに立ち、世代を超えともに学ぶ子どもツアーは財産となっています。