出版物原水禁ニュース
2007.7 号 

20年目を迎えた日韓被爆二世の交流
信頼関係を築き、両国の被爆者問題に取り組む

平野伸人(全国被爆二世団体協議会前会長) 

日韓の被爆二世が並んで交流(07年6月・釜山)

最初は大きかった日韓の隔たり

日本と韓国の被爆二世の交流は1987年にはじまり、今年で20年になります。日本の被爆二世の訪韓団が韓国各地を訪れ、在韓被爆者や被爆二世と交流したことがきっかけでした。日本の被爆二世は在韓被爆者の支援活動を行う一方、韓国の被爆二世と協力して両国の被爆二世問題に取り組むようになりました。

その後、活動の成果を交流するために年に1度のシンポジウムを開くようになりました。第1回の日韓被爆二世シンポジウムが1989年に広島と長崎で開催されました。そのときは、歴史認識や日本の植民地支配などが議論となり、日韓の被爆二世の問題意識やそれぞれが抱える課題には大きな隔たりがありました。むしろ、その隔たりを認識することが重要な課題であったともいえます。

そして、11年後の2000年に韓国ソウルにおいて第2回の日韓被爆二世シンポジウムが開かれ、以後、03年に韓国・釜山で開催され、04年は東京、05年に広島、昨年はソウルで「日韓被爆二世交流会」として取り組んできました。

成果あげる在韓被爆者の支援活動

今年で7回目になる取り組みは、6月2日〜3日にかけて韓国・釜山で開催しました。新しく原水禁日本国民会議議長に就任した市川定夫・埼玉大学名誉教授をはじめ日本から13人、韓国から40人が集まりました。

今回の交流会の目的は、(1) 日韓被爆二世の連帯を深め、共通の課題のもとに世界の平和に貢献できる日韓被爆二世運動の構築をめざすこと。(2) 原水禁運動など日本の反核平和運動の現状を韓国被爆者・被爆二世などに知らせ連携を図ること。(3) 在韓被爆者の話を聞き、在韓被爆者問題や被爆二世問題についての認識を深め、今後の運動の展望を切り開くこと、の3点です。

韓国被爆二世の会の李承徳会長、長崎県被爆二世の会から丸尾育朗会長があいさつした後、朴榮杓・韓国原爆被害者協会会長と許万貞・同協会釜山支部長がそれぞれ在韓被爆者の現状について報告しました。

また、「日本における在韓被爆者支援活動の到達点」として平野伸人・全国二世協前会長より、20年にわたる在韓被爆者に対する裁判闘争など支援活動とその成果が報告されました。その中で、「被爆者はどこにいても被爆者」として、健康管理手当の受給資格は出国によって打ち切られることはなくなりましたが、来日しなければ被爆者手帳が交付されず、健康管理手当の受給資格を得られないなどの問題も残っていることなどを指摘し、今後の日韓の連携強化を図ることを確認しました。

市川原水禁議長も参加し研究報告

「日本における被爆二世の運動の現状と課題」と題して、崎山昇・全国二世協副会長から、日本の放射線影響研究所が今年3月に発表した「被爆二世健康影響調査」の解析結果と問題点などが報告されました。今回の解析結果では「遺伝的影響」の解明には、さらに調査が必要あることなどが指摘されています。さらに、韓国側から、「韓国の被爆二世の活動の報告」として、李太宰・韓国被爆二世の会釜山支部長が、日韓被爆二世の運動の歴史や高校生同士の交流の歴史と意義を報告しました。

市川定夫・原水禁議長は、「被爆二世問題とわたしの研究」として、市川議長が研究者として行ってきたこれまでの放射能と遺伝の研究報告、さらに、原水禁運動や被爆二世問題に取り組む原水禁運動についての講演を行いました。原水禁議長の訪韓は、在韓被爆者・二世に大きな希望と勇気を与えました。

最後に寺中正樹・全国二世協副会長が今後の運動の前進を誓って閉会となりました。日韓被爆二世交流会は、被爆二世同士が確実に信頼関係を築きながら、被爆二世問題や在韓被爆者問題に取り組んでいることを確認することができ、有意義な成果をあげることができました。