出版物原水禁ニュース
2007.7 号 

食品への放射線照射を認めるな
次々と明らかになる矛盾

内閣府の原子力委員会は、昨年10月、「食品への放射線照射について」を決定し、厚生労働省、農林水産省、文部科学省に対し、使用拡大への検討を要請しています。「食品照射」とは、食品に放射線(ガンマ線など)をあてて遺伝子を傷つける作用を利用し、殺菌や殺虫、出芽を止める加工技術です。

 この技術は、日本では1970年代から何度か検討され、現在は唯一、北海道・士幌農協におけるジャガイモの芽止めに利用されています。原子力委員会はこれをスパイス類などにも広げようとしています。これに対して、消費者団体などは、安全性に疑問があり、実用的な検知法もなく、検疫時・表示など行政的管理にも困難があることなどから、反対運動を行っています。

最近、照射食品に関して、いくつかの問題が浮上してきました。それらについてまとめました。

欧米では消費者が拒否して拡がらず

 原子力委員会は照射食品を推進する理由として、「欧米など諸外国ではすでに大量に照射されている」ことをあげています。確かに、世界的な利用動向としては、「2003年時点で食品照射の許可国は53カ国に達し、100品目以上の食品類が許可されている」(食品安全委員会2004年「食品への放射線照射技術の安全性に関する欧米の取り組み状況調査報告書」)とされています。

しかし、この食品安全委員会の同じ報告書で、「欧州では2000年頃から減少しており、現在では米国が世界全体の半分を占めている」という、注目すべき報告がされています。しかも欧州では「外食産業など直接消費者の目に触れない用途での利用が中心となっている。大手スーパーや食品企業も利用に懸念があり、現状では照射食品の利用が拡大する見通しはない」としています。フランスに至っては、照射食品は全て輸出に回して、国内での販売を認めていません。

米国でも「実際に市場に出回っている照射食品の種類はさほど多くない。最も多いスパイス類も全体量の約15%程度である」「米国の消費者は照射食品に対して否定的な意識が強い(アメリカ農務省見解)」と、国民に受け入れられていない旨を報告しています。また米農務省が学校給食に照射牛肉を斡旋していますが、保護者の反対によっていまだ実行されていないと報告されています。

照射の推進側にとっては極めて不利な内容が続いています。しかも、問題なのは、この報告書がこれまで一般には公表されていなかったことです。平和フォーラムなどが参加する「照射食品反対連絡会」が報告書を入手し、問題点を突きつけたため、ようやくその一部が公開されましたが、照射食品が世界的に受け入れられていないことを隠したと言わざるを得ません。

キッコーマンが照射商品を輸入・販売

6月1日、醤油メーカー最大手のキッコーマン(株)が輸入販売する健康食品素材「ソイアクト」に、殺菌目的でガンマ線が照射された可能性があるとして、商品の自主回収を発表しました。同社は、米国の会社から原料を輸入していたところ、その会社が米国向けユーザーの求めにより放射線照射を行っていたことがわかり、日本向けにも混入している可能性があるとしています。その期間は2002年からとされています。

 しかし、この問題にはいくつかの疑問があります。そもそも、米国では大豆への放射線照射は禁止されています。米国内で照射した製品を販売しているとすれば、法律違反に問われることになります。また、いつから、どこの照射施設で、どの範囲の物質に、どのくらいの線量で照射していたのかや、キッコーマンがいつ、どのような経緯でその事実を知ったのかも明らかにされていません。

また、キッコーマン以外でも「ソイアクト」を原料とした商品を扱っている会社が38社あるとされていますが、その会社名と出荷量もわかりません。もっとも疑問なのは、報告を受けた厚生労働省が、同社の自主回収に任せて、回収命令を出していないことです。

これらの原因は、照射食品の最大の欠陥のひとつである、照射されたかどうかを調べることが出来ないことにあります。検知方法がないため、混入していてもわからない現実が如実になりました。

照射食品反対連絡会は、この事件を教訓に、照射の危険性、不透明性を訴えていくことにしています。