出版物原水禁ニュース
2007.8 号 

六ヶ所再処理工場は必要なの?
 賛成、反対で徹底討論

ふぇみん婦人民主クラブ 山口泰子 

7月7日、東京で「どうなっているの? 六ヶ所再処理工場 聞こう、知ろう、考えよう!七夕大学習会」が開かれました。主催したのは市民グループが集った「再処理工場を知る会」です。

現在日本では55基の原子力発電所が運転されています。発電によって発生する使用済み燃料について、日本の原子力政策は当初から再処理を行う方針で、「エネルギー基本法」や原子力委員会の「原子力政策大綱」によって裏付けられています。青森県六ヶ所村の核燃料再処理工場では本稼動を目前にしています。

討論する小出さん(手前)と宮川さん(奥)
討論する小出さん(手前)と宮川さん(奥)
写真提供・「再処理工場を知る会」

六ヶ所再処理工場の稼動には賛成、反対双方の意見があります。今回立場の違うお二人の原子力専門家にお話を伺い、自分たちの糧とするためにと開かれたのがこの大学習会です。

ゲストは宮川俊晴さん(青森在住の原子力事業関係者)と小出裕章さん(京都大学原子炉実験所)です。再処理について考え方の違うお2人をむかえるという貴重な機会に対する期待からか、会場は20〜30代を中心に300名近くの参加者であふれました。

放出される放射性物質は安全なのか

学習会は2つのテーマ別に、それぞれゲストが発言したあと討議するというかたちですすめられました。

第1のテーマ『放出される放射性物質は安全なのか』について宮川さんは、「放射能の放出について管理目標値を決め、それ以下にすることを約束しています。イギリスの再処理工場の最も低い海洋放出量でも日本の放出管理目標値の1,000倍です。人類は日常的にも放射能を受けています。少しの被曝も容認できないという意見を認めることはできません。」との意見です。

これに対して小出さんは、「アメリカの科学アカデミーでは最低限の被曝であっても人類に対して危険を及ぼす可能性があると発表しています。六ヶ所再処理工場では、放射能を海からは3キロメートル沖合で44メートルの海底に、陸では高さ150メートルの排気塔から空気中に放出します。これらが世界中を回ることになるのです。こんなことが許されていいのでしょうか」と述べました。

再処理はエネルギー問題に寄与するか

第2のテーマである『再処理はエネルギー問題に寄与するか』について宮川さんは、「資源と温暖化の問題を解決しないと将来はありません。日本のエネルギーは輸入に依存しています。原油の高騰にどう対応できるのでしょうか。原子力は人類が技術でエネルギーを獲得する手段だと思います。今後中国、アフリカなどのエネルギー需要増を考えると原子力なしではやっていけないと考えます」と主張。

一方、小出さんは、「石油はなくなるといわれながら、まだ枯渇していません。この地下資源を大切にしながら太陽エネルギーなどの活用を考えていくべきです。原発の燃料であるウランもいつかなくなる資源です。高速増殖炉でプルトニウムをつくるというがその計画は各国が撤退し、日本でも何度も運転計画が延期されていて、実現性は期待できません。世界全体でみると日本はエネルギーを使い過ぎています、市民が暮らし方を見直すことも必要ですが、国家のあり方を変えなければなりません」と主張しました。

再処理工場はプルトニウムを増やす

この後、参加者から質問が出され、「炭素14やトリチウムの除去装置が設定されていない」ことについて、宮川さんは「空気中で希釈されるから問題ありません」と回答。小出さんからは「自然界の放射能でも被害はある。そのうえ人工的な被曝を付け加えることになるのです」という発言がありました。

「プルトニウムの使い道」について宮川さんは「プルサーマルでプルトニウムを使う。世界でも十分な実績があり、国内でも最近、浜岡原発でのプルサーマルが認められた。他でも理解を得られるよう努力しています」と回答しましたが、それに対して、小出さんはプルサーマルに反対の立場で「プルトニウムを増やす再処理工場は動かすべきでない」との意見でした。

期待通り意見の違いがはっきりわかり、自分がどんな社会を選択するのかを考えることのできる非常に有意義な学習会でした。