出版物原水禁ニュース
2007.8 号 

原子力空母母港化阻止に向け訴訟おこす

三浦半島地区労働組合協議会 事務局次長 長 裕輔 

拒否された住民投票や浚渫協議差し止め

神奈川の米海軍横須賀基地には、昨年8月、弾道ミサイル迎撃能力を有するイージス巡洋艦シャイローが配備され、さらに同様の能力を有するイージス駆逐艦の配備が進められるなど、基地機能強化が続いています。また、陸上自衛隊武山駐屯地へのパトリオットミサイル(PAC3)の配備も計画されるなど、軍事的緊張が高まっています。

横須賀海軍基地に停泊中のイージス巡洋艦シャイロー(奥)
横須賀海軍基地に停泊中のイージス巡洋艦シャイロー(奥)

三浦半島地区労では、2008年に予定されている米通常型空母キティーホークの退役に伴う原子力空母配備反対の取り組みを粘り強く行ってきています。今年1月、「原子力空母母港化の是非を問う住民投票を成功させる会」が、約4万の署名を持って行なった住民投票条例制定の直接請求は2月の臨時市議会で否決(賛成10・反対31)されてしまいました。

また、3月に横須賀港周辺で操業する漁業関係者と市民が、横須賀市を相手取り、横須賀港浚渫協議の差し止めを求める行政訴訟と仮差し止め申請を横浜地裁に提訴しましたが、地裁は仮差止め申請を却下、4月26日には、蒲谷横須賀市長が浚渫協議を終了、工事着工を認めてしまうという厳しい状況に至っています。

市民の65%は原子力空母に強い不安

原子力空母母港裁判を進める会結成集会(7月1日)
原子力空母母港裁判を進める会結成集会(7月1日)

 浚渫工事は、原子力空母の母港化を目的としたものです。この結果、原子力災害=核事故による危険性が日常化することになります。

これに対し、浚渫工事の差し止めと仮処分を求める民事訴訟を進めようと、7月1日に「『ストップ原子力空母母港裁判』を進める会」が結成されました。横須賀から半径165km以内(被ばく線量50ミリシーベルト)に在住する住民ならば基本的に誰でも原告になることができることから、7月3日の横浜地裁横須賀支部への提訴時点で649名の市民が原告となり、9月上旬に第1回公判が行われる予定です。

 07年3月に市民団体が1055人の市民を対象に行った調査では、65%の人が原子力空母配備に強い不安を持ち、「反対」の意向を示しています。国や市が行ってきた安全キャンペーンも功を奏していない状態であることから、この裁判を通して、あらためて原子力空母の危険性と浚渫工事による海洋汚染の危険性を市民に訴えていく必要があります。「住民投票を成功させる会」も「裁判を進める会」を支援しつつ、積極的なアピール活動を行っていくと確認しています。

地裁に浚渫工事差止めを提訴(7月3日)
地裁に浚渫工事差止めを提訴(7月3日)

三浦半島地区労は、原子力空母母港化阻止の立場から「横須賀港浚渫差し止め裁判」を支援し、原子力空母の配備阻止を勝ち取りたいと考えています。そのためには、この運動が、全県・全国的な広範な運動となることが必要です。自衛隊の辺野古への掃海母艦の派兵や陸上自衛隊情報保全隊による市民の監視活動等、武力による市民運動・労働運動の弾圧につながる動きも顕著になっており、これに抗するとりくみや米軍再編反対のとりくみとあわせ、全国的な運動の構築を呼びかけています。