出版物原水禁ニュース
2007.9 号 

現地緊急リポート・柏崎刈羽原発を廃炉に!
 中越沖地震で原発の耐震安全性は根底から崩れた

原子力資料情報室共同代表 伴 英幸 

道路がいたるところで波打つ惨状(柏崎刈羽原発内)

道路がいたるところで波打つ惨状(柏崎刈羽原発内)

あわや原発震災に お粗末な体制が明らかに

7月16日午前10時13分ごろ起きた中越沖地震によって稼働中の柏崎刈羽原発4基が自動停止しました(他は定期検査中)。地震の規模はマグニチュード6.8でした。震源地からの距離は17〜23kmで、原発震災に至らなかったのは不幸中の幸いというほかありません。

 3号炉では外部電源を取り込む変圧器で火災が起きました。絶縁油が漏れ、何らかの理由で引火したためだと言われています。この漏れは、地震により機器・配管に亀裂が入ったことで起きた可能性が高いものです。鎮火までに2時間近くもかかったのは、施設内には化学消防車がなく、休日のため防火担当者は電話での呼び出しというお粗末な体制だったからです。2年前に国際原子力機関(IAEA)から指摘されていたにもかかわらず、東京電力は対応していませんでした。

 炉心燃料は自動停止した後も高熱を発しているため冷却を続ける必要があり、これに失敗すると燃料は溶融して高濃度の放射能が環境に放出されることになります。冷却には送電線を通じて電気をもらいます。その開閉所は4ラインのうち半分は地震によって使えなくなりました。全部不能だったらと思うとぞっとします。地震の影響で非常用ディーゼル発電の起動が確実でなかったからです。

被害を隠ぺいする東京電力の姿勢

 そもそも、同原発の立つ地盤は軟弱であることは明白でしたが、今回の地震は、それでも建設を強行した傲慢への警告といえます。7月27日の現地視察に参加し、これまで視察を拒否していた海岸側を主として見ました。道路の片車線がブルーシートで覆われ、アスファルトは削られていました。同場所の道路は修理の緊急性のないところと考えられるので、視察拒否は被害の強さを見せないためだったと考えられます。原発内の道路はさらにいたる所で陥没し、その応急修理の後が生々しく残っていました。修理前の敷地の被害全体を示すことは地震の影響を知るうえで非常に重要ですが、東電は公表を拒んでいます。東電の隠ぺい体質は全く変わっていません。

東電は6号炉で放射能を含んだ水が放水口から9万ベクレルも海に放出されたと発表しました。揺れで使用済燃料のプール水が漏れて放水口から海へ出たのです。しかし、どのような放射能が漏れたのかも公表していません。7号炉排気筒からはヨウ素やコバルトなどの放射性物質が検出されました。使用済燃料プール水の漏えいでは、作業員がこの水をかぶったことが後に明らかになりました。こんなことは当初からわかっていたはずですが、情報を小出しにしているとしか言いようがありません。

原発は動かすな!住民団体から強い要求

東電はこれまでに65件のトラブルを公表しました(8月10日現在)。しかし、なるべく影響を小さく見せるような表現が目立ちます。例えば、5号機は「ろ過水タンクの水漏れ」とされていますが、状況は深刻です。1,000キロリットル入りのタンクが座屈し、基礎のボルトが変形し、なかには引きちぎれているものもありました。その結果、水漏れが起きたのです。

沖合の海底に長さ36qにもおよぶ活断層があることを東電は設置許可申請の段階から分かっていたはずだと変動地形学の専門家は指摘しています。東電はこの活断層を小さく見積もり、活動しない断層としてあえて無視しました。この活断層が同時に動けばマグニチュード7を超える地震が発生します。今回の地震は想定された値を超え、さらに設計用限界地震(実際には起こらないが念のために想定する地震動)として想定した値をも超えていました。

柏崎刈羽原発に反対する地元団体は、想定値を超えたことで原発は変形しており、もはや動かすべきではなく、国は設置の許可を取り消せと主張しています。