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2007.11  

急展開する朝鮮半島の平和をまえに軍事力増大が進むアジアの不安定さ
米国の核の傘からの離脱を

朝鮮半島の平和はもう後戻りはしない

 米朝関係がゆっくりと改善されていく中で、朝鮮半島では2回目の南北首脳会談の開催によって、一足早く朝鮮戦争終結への動きが始まりました。

10月4日に発表された「南北関係発展と平和繁栄のための宣言」(南北首脳宣言)の骨子は次のような内容です(朝日新聞、および共同通信を参考)。

日本のマスコミは第2回南北首脳会談をあまり評価していませんし、韓国でも野党は、宣言に実効性がないと批判的です。しかし盧大統領の報告発表後に支持率が急上昇したことを考えると、政治以外のさまざまな分野での南北協力が、今後、一層加速していくことは間違いないでしょう。

年内に「テロ支援国家」指定解除の可能性

一方、ほぼ時を同じくして6ヵ国協議の「合意文書」(別項=朝日新聞参考)が発表されました。

この合意を受けて、さっそく米の専門家チームが10月11日に北朝鮮入りし、年内の核施設無能力化の手順などで北朝鮮側と協議に入りました。

合意文書では北朝鮮の核無力化の行動と並行して、米国は北朝鮮に対する「テロ支援国家指定を解除する作業を開始する」とありますから、今年中に解除される可能性は高まっています。

日本政府は拉致被害者全員の帰国を、拉致問題解決とし、それまでは米国に「テロ支援国家指定」を解除しないよう求めていますが、米国は横田めぐみさんら8人(北朝鮮政府が死亡したとしている)についての追加情報を「誠実かつ十分な協力姿勢」をとって日本側に示すことを、解決条件としており、この米国の立場は日本政府にも伝えられているといいます。

拉致被害者家族にとっては辛い話ですが、国交正常化交渉(旧植民地時代の補償などを含めて)の中で、拉致問題について十分な話し合いの場をもつことが、いま取るべき最良の道ではないでしょうか。

また北朝鮮の核無能力化から、保有している核兵器の完全廃棄を実現していくためにも、日朝の国交正常化、信頼醸成は不可欠でしょう。

自衛隊の侵略性をなくすことがまず必要

北朝鮮の核兵器の完全廃棄を求めていく過程で問題となっていくのは、米国による核の傘です。

東北アジアで急速に状況が改善されようとしているとき、日本が米国の核の傘で守られて、さらに日米一体の軍事力強化を進めるという状況は、東北アジアの非核化を実現する上でも、大きな障害となります。

東北アジアの非核化のために必要な、日本が米の核の傘から離脱するという決断には、日本に未来へ向けた外交戦略と強い意志力が必要です。米国はこれまでアジア・太平洋で保持してきた軍事的主導権を今後も持ち続けることに強い意志を示していて、そのために沖縄の米軍基地を重要とし、また日本の協力を不可欠としています。しかし「6ヵ国協議」を今後の「東北アジア協議」の場へと発展させることを考えると、侵略性の強い米軍との共同作戦体制を取り続ける日本の軍事力は、大きな障害となるでしょう。

とくにミサイル防衛は、東北アジアにおける大きな不協和音となることは明らかです。日本が全国18ヵ所に配備予定のPAC・3(対空ミサイル)は、当面、役に立たないと考えますが、一方でそのために性能を強化し、配備されるレーダー基地は、青森県車力の米軍・Xバンドレーダーとともに米国本土を防衛するための重要な基地となり、日米の一体化はアジアでより明確になり、東北アジアの対話に影を落とすでしょう。