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2007.11  

11月3日〜17日は『在日朝鮮人歴史・人権週間』

在日朝鮮人への差別の歴史と人権状況を見つめる

洪 祥進(朝鮮人強制連行真相調査団・朝鮮人側事務局長)

 世界人権宣言において「固有の尊厳」と「平等」は「平和の基礎」であるとされています。しかし、日本において、在日朝鮮人の「固有の尊厳」と言える民族的アイデンティティの尊重と、差別的な処遇の改善は未だなされてはいません。

 昨年、国連の人種主義等に関する特別報告者は日本における差別の現状について次のように指摘しました。「最も甚大な表れ方をしているのは文化的・歴史的性質を有する差別である」「コリアン・中国人コミュニティについては、こうしたマイノリティに対する差別の歴史的・文化的根深さが日本では認識されていない」。(D・ディェン国連特別報告者「日本公式筋間」報告書2006年1月 反差別国際運動日本委員会訳)

 在日朝鮮人の人権問題は文化的・歴史的性質を有しており、その民族性を尊重するためには約1世紀におよぶ歴史を知ることが不可欠です。

「人権週間」リーフレットの表紙

意図的に作られた差別の歴史

『在日朝鮮人歴史・人権週間』のテーマの1つは、1905年条約(乙巳五条約・韓国保護条約)です。伊藤博文は、この条約を強制するために韓国の閣議に介入し、また「あまり駄々をこねる様だったら殺ってしまへ」と脅迫しました。近年、外交資料館から、「消失史料」となっていた伊藤の「復命書」(天皇への報告)の原文が発見されましたが、伊藤はこの条約締結にいたる報告書を捏造していたのです。“朝鮮皇帝が同意しない”とあるのを同意したように書き直し、その結果、朝鮮が自ら日本の「保護国」になることを望んだかのように受け取られたのです。(詳しくは「人権週間」リーフレット参照)

 以降、日本では「今では既に保護国となっている韓国の人民…その不潔であること、その怠惰であること…その薄っ馬鹿であることなどは、たしかに彼らの特有性である」(1908年8月15日『神戸新聞』)という報道が公然とされました。朝鮮人に対する差別は、歴史的に意図的に作られたものなのです。

石原都知事や警察庁長官が世論を扇動

2000年4月、石原都知事は「不法入国した三国人…大災害が起きたら騒じょう事件も想定される」と発言しました。この発言は、国連人種差別撤廃委員会で取り上げられ、重大な問題であると日本政府に勧告が出されました。なぜならば、日本が批准した「人種差別撤廃条約」第4条Cにおける「国又は地方の公の当局又は公の機関が人種差別を助長し又は扇動することを許さない」に該当するからです。

 ところがこの勧告をうけた後の2007年1月、今度は政府高官である漆間警察庁長官が記者会見で、“北朝鮮による拉致問題の解決に向けて”として「北朝鮮に日本と交渉する気にさせるのが警察庁の仕事。そのためには北朝鮮の資金源について事件化し、実態を明らかにするのが有効だ」(時事通信)と発言しました。

すでにこの発言のとおり、「薬事法」絡みの朝鮮総連への不当な家宅捜索が大々的に行われていました。ところが去る6月、東京地検はこれについて「不起訴処分」とし、捜査の不当性は証明されましたが、謝罪もありません。政府高官による世界的にも異質な世論扇動と一連の朝鮮総連に対する弾圧に対し、国連勧告は必至です。

 このような事実を在日朝鮮人と日本人がともに知り、現在の人権状況について考えることを目的として、『在日朝鮮人歴史・人権週間』を本年から始めることとなりました。過去の在日の歴史を知り、現在の人権状況を国際的なすう勢から見つめることが、今、求められています。また、このことは日本の平和と人権擁護に寄与し、ひいては南北朝鮮との和解と平和に貢献するものと確信します。