出版物原水禁ニュース
2007.11  

これだけは伝えておきたいビキニ事件の表と裏─第五福竜丸・乗組員が語る

かもがわ出版 (2007/07)

【本の紹介】これだけは伝えておきたい
ビキニ事件の表と裏
大石 又七 著

原水禁3・1ビキニデー全国集会などで、貴重な証言をしていただいている元第五福竜丸乗組員・大石又七さん(73歳)の、前回の労作「ビキニ事件の真実─いのちの岐路で」(みすず書房・2003年)に続き、若い世代にビキニ事件の真相と大石さんのメッセージが込めた「これだけは伝えておきたい─ビキニ事件の表と裏」が刊行されました。

原水禁運動の契機になったビキニ事件。その風化が叫ばれる今日、その事件の渦中にあった者だからこそ、自分も含め当時の仲間が背負った苦しみを私たちに語りかけてくれています。被爆の後障害や周囲の無理解から逃げ出したことや、自身のガンや仲間の病気、そして最初の子どもの異常出産死など、当事者だからこそビキニ事件の裏側で起こった悲劇と不条理を語っています。

特に子どもの死は、「外からの差別や偏見よりも、もっと怖い身体の中の見えない悪魔におびえ」、被爆させられた者の「隠したいという気持ちと、被爆者の本当の悩み、苦しみを知ってほしいという気持ち」の葛藤の中で苦しんできたことを語っています。

この数行の中にどれほどの苦しみがあったのか。私たちはその思いを少しでも知ることが重要だと思います。

 日米間での政治によって事件の全容の解明が困難な中、大石さんは自分を苦しめている事件の核心と全体像を、いまも執念で追いつづけています。

前回の労作とともに、あらためてビキニ事件の持つ意味と、そこから私たちが何を受け継いでいくことが必要かを考えたいものです。ぜひご一読を。

(かもがわ出版2007年7月刊 1500円+税)

(井上年弘)



不都合な真実 スペシャル・コレクターズ・エディション

パラマウント (2007/07/06)

【映画紹介】
不都合な真実 (2006年/アメリカ)

1年前に公開されたデイヴィス・グッゲンハイム監督のドキュメンタリー映画「不都合な真実」。今年、アル・ゴア元米国副大統領がノーベル平和賞を受賞との報道のなかで、DVDを購入して見てみました。

この映画は、世界の課題はテロだけではないとして、地球温暖化を告発しています。ゴア元副大統領が講義風に、地球温暖化からくる環境破壊の深刻な実態、原因、そして解決の方向を映像と資料で解説・提起しています。ハリケーンや集中豪雨の頻発と被害の深刻化、干上がる湖水と砂漠化、生態系の変化による生物の絶滅と伝染病の拡大、さんご礁の破壊、迫りくる海面上昇による主要都市などの水没、とりわけ海面温度上昇とグリーンランドや南極の氷、氷河の融解による海面上昇の深刻さが強調され、世界各地で起こっている「氷河が融解し続けている映像」は衝撃的です。

そして、温暖化とそれともなう異常現象・環境破壊の基本的原因が大気中の二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの増加と連動していることが明らかにされます。世界最大のCO2排出国のアメリカと第2位の中国を告発。「両国とも環境破壊型生活様式から抜け出せずに苦労している。だが決して容認できぬ事態が間近に迫っている」「審判の日にもっと早く気づいていればよかった後悔しても遅い」と語ります。

さらに京都議定書を批准していない先進国はアメリカとオーストラリアであり、ブッシュ政権の消極的態度が批判されます。また彼は、正しい政策への転換と経済成長は矛盾しないと語ります。そしてすべての鑑賞者に「生活のスタイルを省エネ型に変えようではないか」と提起し、アフリカの古いことわざに「何か祈る時は、行動もすべし」とあるとまとめています。あのゴアが語るのです。

温暖化対策として、日本でも原発推進を語る人たちが多くいます。しかしこの映画にはそうした主張はありません。原発推進を語る人たちも一度みたらいいと思う、必見のDVDです。

(福山真劫)