出版物原水禁ニュース
2007.12  

違法伐採疑惑のチップを輸入する日本紙業界
そのテッシュがタスマニアの原生林を破壊している?!

レインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)日本代表部 川上 豊幸

貴重な動植物の宝庫、タスマニア

 タスマニアはオーストラリアの南東に浮かぶ島で、北海道を一回り小さくした広さです。太古のゴンドワナ大陸の生態系を受け継ぐ貴重な森林と野生動物が生息しています。カモノハシやハリモグラ、有袋類のウォンバッド、ポッサム、タスマニア・デビルなど様々な希少種、固有種が存在し、現在も、虫などの小動物で新種の発見が続いています。

ユーカリの巨木跡(タスマニア)

伐採され焼き払われたユーカリの巨木跡(タスマニア)

 ここには、樹齢400年に達する巨木の原生林や絶滅危惧種の生息地を含めて、保護価値の高い貴重なユーカリの天然林があります。しかし今、年間平均1万5千ヘクタール(1日にサッカーグラウンド40個分)というスピードで、一面の木々を全て伐採する「皆伐」によって切り倒され、その後の造林のために焼き払われています。成熟したユーカリ原生林では1ヘクタール当たり二酸化炭素1200トンが蓄積されますが、皆伐後に造林される林では、400トン程度しか吸収できません。

木材チップの大部分を輸入している日本企業

 伐採された木材の約1割は製材やベニア向けですが、残りの9割は粉砕され、紙原料として木材チップになります。木材チップにして輸出しているのは、世界最大規模の広葉樹木材チップ会社のガンズ社(豪州)です。

そして、同社の木材チップの8割が日本向けに輸出されており、日本製紙(クリネックスやスコッティ)、王子製紙(ネピア)、中越パルプ工業などが購入しているのです。つまり、タスマニアの原生林は、テッシュやトイレットペーパー、コピー用紙、印刷用紙など様々な製品として、日本の私たちが使っているのです。

 皆伐によって、野生動物の貴重な生息地を奪っているばかりか、植林地では、苗木を動物たちに食べられないようにと、周囲に猛毒を浸した毒エサを散布して殺してしまうことがガンズ社により続けられています。

 また、伐採そのものが違法だという問題も発生しています。昨年12月19日には、オナガイヌワシなど3種の絶滅危惧種の保護ができていないとして、ウィランタという地区での伐採事業が違法だと連邦裁判所に認定されました(現在上訴中)。法律専門家は、「オナガイヌワシの生息地がタスマニア全体に広がっているので、この判決の影響はウィランタ地区を越えていくだろう」と指摘しているように、同地区以外の伐採事業においても絶滅危惧種への保護が行われず、その合法性に疑問が投げかけられています。他にも、ガンズ社やタスマニア林業公社は何度も規則違反を犯し、罰金も科されるなど違法とされる伐採事業を行っています。

タスマニアの原生林破壊は、豪州で大きな問題に

 豪州には森林認証制度としてオーストラリア林業規格(AFS)があります。しかし、違法伐採として判決を受けたウィランタで採取された木材もAFS認証を受けていました。またAFS認証では原生林や保護価値の高い森林の伐採を止めることが出来ないなど、豪州や国際的な環境団体から批判を浴びています。

 こうしたことから、豪州の8割を越える人々がタスマニアの原生林を木材チップにすることに反対しています。それにも関わらず、ガンズ社はさらに伐採量を増やすことになるパルプ工場の建設計画を発表して、大きな問題になっています。そうしたことから、日本の紙業界はタスマニアの森林破壊に加担していることになり、その責務と役割が問われています。

 私たちは、この問題をタスマニアの天然林木材チップの購入企業や利用企業等に伝え、原材料の調達方針の改善を求めています。また署名活動やレター送付キャンペーンなども展開中です。パンフレット『誰がタスマニアの森を切っているの?買っているの?タスマニア森林破壊と日本紙業界の隠された真実』を作成しました。内容は、ウェブサイトからダウンロードできます。

 また、東京周辺では、12月に、熱帯林行動ネットワーク(JATAN)などとともに、タスマニア森林問題のイベントをいくつか行います。是非、多くの人にこの問題を知ってもらいたいと願っています。

RANウェブ=http://www.TreesNotGunns.org/jp