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2008.3  

国家補償と被爆二世・三世への適用を明記した被爆者援護法の改正を

投稿:全国被爆二世団体連絡協議会 副会長 崎山 昇

「全国被爆二世協」の総会(08年2月・広島)

「全国被爆二世協」の総会(08年2月・広島)

2月2日から2日間、全国被爆二世団体連絡協議会(全国被爆二世協 会長:山崎幸治)は、2年に一度の全国総会を広島市で開催し、全国から加盟団体の代表ら約50人が集まり、(1) 再びヒバクシャをつくらないために核廃絶と平和を求める活動への積極的な取り組み、(2) 国家補償と被爆二世・三世への適用を明記した被爆者援護法の改正、(3) 放射線影響研究所の「被爆二世健康影響調査」についての取り組み、(4) 在外被爆者支援と在外被爆二世との交流の継続強化、など今後の活動方針を決定しました。

実態調査や援護対策もなく放置され続ける

全国には30万人とも50万人ともいわれる被爆二世がいるといわれています。しかし、はっきりとした数さえわかっていません。そして、被爆者は被爆者援護法によって一号被爆者から四号被爆者まで定義されていますが、被爆二世には法的定義がありません。それは、国が被爆二世の実態調査さえ行わず、何の援護対策もせず放置してきたことを示しています。

国が行っている被爆二世に対する唯一の施策は、単年度の予算措置による年に1回の「被爆二世健康診断」です。非常に簡単な内容でガン検診もなく健康不安を解消するものとはなりえていません。また、健康に不安をもつ被爆三世が希望しても受診できません。

原爆放射線の恐怖は遺伝的影響として、次世代にも引き継がれます。被爆二世の中には、親と同じようにガンなどの病気で苦しみ、困難な生活を強いられている人や、親の被爆が原因で親と同じようにガンなどの病気にかかるのではないかという不安をもっている人もいます。被爆二世は、(1) 健康に対する不安、(2) 遺伝的影響、(3) 病気と貧困の悪循環、(4) 偏見や社会的差別といった問題を抱えています。

国会の付帯決議をもとに政治的解決を

被爆者援護法は、原爆被害の特殊性を法制定の根拠にしています。しかし、放射能障害の最たるものである遺伝的影響・被害については全く触れていません。私たち被爆二世・三世は「被爆者である親の身体を通して、その後、身体に原爆放射線の影響を受けるような事情の下にあった者」であり、「第五の被爆者」であると、援護法の適用を求めています。また、過去2回、参議院で可決された被爆者等援護法には「被爆二世・三世に対して被爆者と同様の健康診断を実施する。原子爆弾の傷害作用に起因する疾病にかかっている旨の認定を受けた被爆二世・三世に対して、被爆者とみなしてこの法律の規定を適用する」という「被爆二世・三世条項」が盛り込まれていました。私たちは、援護法に「被爆二世・三世条項」の追加を求めています。

さらに、援護法には、「被爆者とその子及び孫に対する影響についての調査、研究及びその対策について十分配慮し、二世の健康診断については、継続して行うとともに、その置かれている立場を理解して一層充実を図ること」という「付帯決議」がなされました。私たちは、この「付帯決議」に基づき、「被爆二世健康診断」の法制化、ガン検診の追加など内容の充実、被爆三世への受診拡大、医療の措置などを求めています。そして、被爆二世・三世はどこにいても被爆二世・三世であると、在外にいる人も含めてすべての対象者への適用を求めています。

昨年は、被爆者の裁判による闘いの勝利や参議院での与野党逆転によって、原爆症認定基準や在外被爆者の問題など残された被爆者問題について、国会や政府で検討が行われ、いまの通常国会に解決が持ち越されています。また、長崎の「被爆体験者」(注)が昨年11月に被爆者としての認定を求めて裁判を起こし、今後の課題となっています。

総会では、正念場を迎えている今、非常に緊迫した状況の中で、全国被爆二世協としては、被爆二世・三世の問題の政治的な解決をめざし、当事者としてがんばっていくことを確認しました。

(注)「被爆体験者」=爆心地から半径12キロ圏内で原爆に遭い、国が被爆体験に基づく精神疾患や関連疾病があると認めた人。しかし、被爆者援護法に基づく手当などは支給されず、「格差がある」と批判が出ている。