全国被爆二世団体連絡協議会(被爆二世協)は3冊目の本を出版しました。1冊目は1986年の「原爆被爆二世問題の理解のために」、2冊目は2001年の「被爆二世の問いかけ」です。それぞれ被爆二世の皆さんからの訴えです。
2冊目の出版から国内外の平和・核軍縮・被爆者をめぐる情勢も大きく変化しました。今回「第五の被爆者」を出版するということはそうした経過を踏まえたものであり、運動に関係している人たちから待ち望まれていました。
ここ数年、被爆者の集団認定訴訟、在外被爆者関連訴訟、日朝国交正常化への動きなどが、従来の政府方針・被爆者行政を大きく揺り動かしています。また日本原水爆被害者団体協議会など被爆当事者の取り組みの前進、被爆二世運動の前進、支援団体、政党の取り組みなど主体的な運動の高揚、昨年の参議院における与野党の逆転などの総合的な力の結集によって、被爆者や被爆二世・三世は、確実に従来の被爆者援護法を改正し、新しい施策を獲得しようとしています。
とりわけ被爆二世協を中心とする二・三世運動は、長年の闘いと被爆二世健康影響調査、政府に対する要求書提出交渉、36万筆を越える署名の提出など大きな役割を果たしています。もちろん原水禁・核禁会議・連合も支援してきました。こうした中での3冊目の本の出版です。
この本は、「被爆二世問題とはなにか」、「被爆二世の組織化と運動の経過」、「国家補償と被爆二世・三世への適用を明記した被爆者援護法の改正をめざして」など、8章にわたり、被爆二世・三世の実態、めざすべき方向などが、資料とともにわかりやすく展開されています。
現在、被爆二世の課題が、通常国会の中で前進するのかどうか山場になろうとしています。被爆者に関心をもつ全ての人がこの本を熟読することによって、二世・三世の苦闘の歴史とめざすべき方向、当面の課題を確かめ、そしてともに歩いてほしいものです。
(福山真劫)
中国製冷凍ギョーザによる中毒事件が大きな問題になる中、この映画を観ました。数々の国際映画祭で受賞し、日本では昨年秋から各地で上映されています。
食のグローバル化が叫ばれる中、私たちの食べている肉や魚、野菜、穀物はどこでどのように作られているのか。食品偽装事件などで改めてそのことが問われています。この作品は、そうした食料を作り出している現場を描いたドキュメンタリーです。
「よくぞ、ここまで撮影が出来たものだ」と驚嘆せざるをえないほど、さまざまな現場を映し出しています。まだ生きたままつり下げられて血抜きや皮をはがされる牛、薄暗いゲージの中で卵を産み続ける数万羽の鶏、巨大なカッターナイフで瞬時に豚の腹部が切断されて飛び出す内臓。圃場では、重装備をしながらパプリカに殺虫剤を散布し、広大なひまわり畑の上を飛ぶ飛行機からは均一に萎えしぼませるための枯凋剤がまかれています。
人間の労働もそうした中では、ひとつの部品でしかありません。夜中でも機械の速度に合わせてキャベツを畑から採り、袋詰めする人々。アフリカ系の移民労働者を雇ってのアスパラ畑の収穫。ほとんど会話がない光景は、荒涼とした世界を見せてくれます。しかも、現場で働く人々はまったくカメラを意識することなく、淡々と作業をこなしていくだけです。
この映画にはまったくナレーションも音楽もありません。そのため、次々と切り替わる場面に、「あれは何だったのか?」と、最初はとまどいますが、次第にそうしたことはどうでもよくなり、画面に引き込まれてしまいました。徹底したコストと生産性をめざす姿は、危うさとともに無機質な美しささえ伴います。
食料自給率39%の日本に生きる私たちこそ、いま観ておかなければと思う1本です。 (市村忠文)
5月頃まで全国上映中。詳しくこのサイトへ。