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2008.5  

再稼働を強行した志賀原発2号機が一週間で停止
北陸電力の安全軽視、隠ぺい体質がまたもや鮮明に

石川県平和運動センター 事務局長 北野 進

52万署名を無視し再稼働を強行

 北陸電力(北電)は3月26日、全国からの抗議が殺到する中、約1年9ヵ月停止していた志賀原発2号機の再稼働を強行しました。再稼働へのシナリオは電力・行政一体となって練り上げられたものでした。まず3月3日、社外委員からなる臨界事故隠しの再発防止対策検証委員会が、「対策の進捗率は100%完ぺき」と手放しで北電をほめあげ、御用委員会として運転再開への露払いを行いました。

翌4日には北電が自ら取り組んできた2号機の設備総点検で、全設備の健全性を確認したと発表。7日には原子力安全・保安院が「安全対策は確実に実施」という特別保安検査の結果を報告しました。こうした100点満点のオンパレードを受け、北電は3月14日、石川県と志賀町に対し再稼働を申し入れました。県や志賀町は、シナリオ通りに議会などの了承を一気に取り付け、わずか1週間でゴーサインを出しました。

 これに対し私たちも、3月が最大のヤマ場との判断から、全国から寄せられた約52万筆の署名を受け、2月22日の県への申し入れを皮切りに、北電、志賀町、国への申し入れを重ね、富山市での北電本店包囲行動や志賀町での緊急抗議行動なども展開してきました。北電の再稼働申し入れや知事の回答に対しては、県会議員団とも連携し、直ちに記者会見をおこない抗議声明を発表し、再稼働の問題点を広く訴えてきました。

 結果的に再稼働を許したとはいえ、この間の取り組みによって、志賀原発の危険性に対する県民の関心はかつてなく高まり、北電の強引さと、行政の異常なまでの追随ぶりを浮き彫りにすることができました。

耐震の安全性評価も疑問だらけ

 北電は再稼働を申し入れた3月14日、新たな耐震設計審査指針に基づくバックチェック(安全性評価)の中間報告も発表しました。16本の断層について評価を修正し、最大マグニチュード7.6の地震による600ガル(従来490ガル)の揺れを想定しました。これまでの断層の過小評価が明らかになりましたが、北電はこれでも設計や建設時の「余裕」を根拠に耐震安全性は確保されていると主張します。この耐震バックチェックの評価が、3月25日の国への申し入れ行動の最大の争点となりました。

まだまだ原発近くで隠している断層があり、酒見断層など評価に疑問がある断層もあります。そもそも600ガルの想定が妥当かどうか、そして600ガルに耐えられるかどうかも疑問です。私たちの指摘に対し、原子力安全・保安院は、耐震評価と志賀原発の再稼働は別問題とし、北電のバックチェックはこれから確認すると繰り返すのみで、安全性を明言することはできませんでした。「それならば、26日に予定される再稼働は中止せよ!」と、地元から申し入れのために貸し切りバスで乗り込んだ参加者は、一様に怒りを爆発させました。

再停止の緊急事態も軽視する北電と県

 5月の連休明けの営業運転開始を目指し再稼働した志賀2号機ですが、1週間後の4月1日、気体廃棄物処理系の水素濃度が異常上昇するという事故が起こりました。水素は爆発の危険性がある可燃性ガスであり、濃度管理の重要性は言うまでもありません。ところが北電は、警報が鳴っているにもかかわらず、営業運転開始の日程に影響が出ないよう、試運転を続行しながら原因究明にあたり、翌日早朝になっても原因が判明しなかったため、やむなく原子炉停止作業に入りました。北電は停止作業開始後に、原因究明の過程でさらに8回の警報が鳴り、うち4回は測定限界濃度の5%を超え、針が振り切れていたことを明らかにしました。

北電も県も、原子炉の安全性に直接影響はないとして事態を軽視しています。しかし、試運転の作業を優先し、さらに測定限界値を超える事態を伏せていたことは、臨界事故隠しで問われた「工程優先」「安全軽視」「隠ぺい体質」が、そのままであることを意味します。県や志賀町は再稼働の了承を撤回すべきです。