出版物原水禁ニュース
2008.6  

どんどん増える
もんじゅの新たな危険性

原子力発電に反対する福井県民会議 小木曽 美和子

 安全審査の想定事故を次々と覆した95年の福井県敦賀市の「もんじゅナトリウム火災事故」から12年半がたちました。重大事故をささいなトラブルに見せかけるため、ビデオを改ざんした動力炉・核燃料開発事業団(動燃)は、「嘘つき動燃」のレッテルをはがすために核燃料サイクル研究開発機構、原子力研究開発機構と名を変えたものの、閉鎖的で情報秘匿の組織体質は事故前と一向に変わらず、機器の異常続出で施工管理能力も問われ、運転に暗雲が立ち込めてきました。

これでは事故が繰り返される─機器の誤作動続く

「もんじゅ」は昨年5月に改造工事を終えて、プラントの安全性確認に入っています。改造工事の中心は、ナトリウムが漏れて火災になる事故を2度と起こさない対策です。しかし漏れを早期に発見して警報を鳴らす検知器の異常は、昨年8月から連続して起きました。いずれも東芝の製造ミスが原因でした。

 さらに今年1月には昨年末に交換したばかりの蒸気発生器室の検出器11基が誤警報を発し、3月には配管室の検出器が深夜に誤作動し、そのうえ自治体や消防署への通報が遅れました。1次系の通報マニュアルはなく、誤報かどうかの確認を優先させた結果でした。

 誤報の原因の検出器の取り付け位置がずれたり、留め金がゆるんで先端部が変形するなど施工ミスは20台以上見つかっています。原子力安全・保安院は全検出器611基の施工状況点検計画を指示し、組織体質を問題視して4月19日から特別保安検査に入りました。

 98年3月、旧動燃は「もんじゅ」安全性総点検結果をまとめ、国も原子力安全委員会もこれを了承して再開への手続きを進めてきました。しかし、今回の施工ミスが見落とされ通報が大幅に遅れた事態について、同委員会の鈴木篤之委員長は、「95年の事故の背景には情報隠蔽体質があった。情報公開はいまだ十分改善されていない」と、その組織体質を痛烈に批判しています。使用前検査以前の段階での製造ミスや施工ミスがどれほど潜んでいるのか、まったくわかりません。

長期停止した配管のナトリウム腐食─検査不十分

 こうした建設施工段階のミスに加えて、13年の長期にわたって停止してきた「もんじゅ」の健全性が果たして確保できるのかこそが問題です。原子力機構と私たちとの公開討論会で明らかになったことは、2次系冷却系配管内のナトリウムが残留している可能性です。残留していれば、配管は腐食し、健全性は維持できません。機構が調査したのは配管切り口の近くだけで、ほんの一部に過ぎません。公開した写真ではドレン配管にはナトリウムが残留していました。

 伝熱管が破損すると水とナトリウムが直接ぶつかり、水素爆発が起きます。その危険があるらせん状の蒸気発生器伝熱管の傷や減肉の検査はECT(渦電流探傷検査装置)に頼っています。しかしECTでは亀裂や穴あきは検出できません。

再開すれば重大事故が待っている

 原子力機構は3月31日に国に提出した耐震見直し最終報告書で、「もんじゅ」直下に活断層が走っていることを初めて認めました。これを20年に及ぶ「もんじゅ訴訟」の中で、原告が主張し、国は否認してきました。新たに認定した「白木─丹生活断層」は「もんじゅ」の直下5キロを通り、長さ18キロ、マグニチュード6.9の地震を引き起こす恐れがあります。直下1キロには別の活断層が走っていることも確認されました。

 もんじゅの燃料は、6年前から炉心に装荷されているプルトニウム241が減り、アメリシウム241がたまって臨界にならない状態になっています。そこで装荷している古い燃料の一部を保管燃料と交換するため、5月15〜16日にかけて東海村から敦賀市白木へ第1回プルトニウム輸送が行われました。

アメリシウムの多い燃料の使用実績は世界的に乏しく、ましてや大量に使用した例はありません。照射試験もしないで、いきなり本番で大量に燃やす実験をすることになり、何が起こるか心配です。

 高速増殖炉もんじゅが、軽水炉とは格段に違う超危険な構造の原子炉であることは変わりません。長期間停止の後に、それを運転することは、さらにこうした危険がふえるということであり、再開を絶対に許してはなりません。