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2008.6  

8月の空母入港を前に市民の不安が高まる
市議会は再び、住民投票条例の直接請求を否決

前回を上回る住民投票署名集まる

 横須賀市での「原子力空母母港化の是非と安全性を問う住民投票条例」の直接請求のための署名行動は、4月6日に1ヵ月の期間を終了しました。署名を集める受任者だけでも4,088人がボランティアとして取り組みに参加しました。4月11日に選挙管理委員会に提出された署名数は、52,438筆となり、06年11月の時の直接請求署名を1万筆余りも上回りました。

 同様の内容で2度目の署名運動を進めるにあたっては、前回、市議会で条例制定が否決されたことから、難しいのではとの声もありました。しかし、前回の数字を大きく上回ったこと、そして横須賀市の有権者の7分の1を超えたことの意義は大きいと言えます。さらに重要なことは、市民の中にこの取り組みの意義と署名の内容が浸透したことです。「あ!、空母の署名ね!」という声が市内の各所で聞かれました。

ところが、蒲谷亮一横須賀市長は、性急にも6月市議会定例会に先立つ臨時議会(5月12日開催)に、直接請求に基づく「住民投票条例案」を提出しました。この異例の動きは、市長の焦りの表れと言えます。平和フォーラムは、このような情勢に対して、全国から「市民の声に耳を傾け、条例案の採択を求める」との声を、123,887筆の署名に託して、5月14日に市長・市議会に提出しました。

 平和フォーラムは、原子力空母の横須賀母港化は(1) 米軍再編の一環であり、東北アジアの政治的安定を揺るがすことになる、(2) 何の安全基準もなしに原子炉を動力とする空母を恒久的に母港とすることは、首都圏住民の安全を脅かす、(3) 施設管理権を米側が握る不平等な「日米地位協定」の中では、立ち入りの安全審査など住民生活の安全を保障する自治体の責務を全うできない、などの観点から、反対の取り組みをすすめてきました。住民投票条例を支持する市民の声は、そのような不安から生まれてきたものです。

市民主権を否定する市長・市議会

 5月16日、横須賀市議会は住民投票条例案を、賛成8、反対33、退席1で不採択としました。住民主権という自治さえ否定するものです。「自分の安全は自分で守ろう!」「自分の住む町は自分でつくろう!」とする市民の主権行使は、「住民投票」という行為に象徴的に表現されます。選挙ということだけが地方自治のあり方ではありません。「住民投票」によって、市民が「母港化は認められない」とすることに、市長・市議会は何を恐れることがあるでしょうか。国に対して納得いく説明を求め、説明がなければ原子力空母の母港化は認められないと主張すべきです。

 敗訴となったものの、横須賀港の浚渫工事差し止め裁判の判決(5月12日)において、横浜地裁横須賀支部は、「国は、市民が納得する安全性を求めて努力するべき」としました。港湾法に基づく自治体の持っている法的な力は、母港化を阻止できるものです。それにも関わらず、市民主権の根幹である「住民投票」さえも認めようとしない市長・市議会の判断は、将来にわたって禍根を残すものです。

 平和フォーラムは、横須賀市内に現地闘争本部を設置し、様々な市民へのアピールの取り組みを行います。そして、7月19日(土)に、「原子力空母の横須賀母港化を許さない全国集会」を開催し、横須賀市民に連帯する運動をさらに強化していきます。