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2008.6  

アメリカとインドの原子力協力を許すな
相次ぐ国際会議─核軍縮へ日本の姿勢が重要に

 5月19日からベルリンで開催される原子力供給国グループ(NSG)の会議では、核不拡散条約(NPT)の根幹をないがしろにして、NPTに加盟していないインドに対して原子力協力ができるようNPTの原則に例外を設ける話し合いがされる可能性があります。1974年のインド核実験に衝撃を受けた米国が、原子力技術・物質輸出国に働きかけ設立したNSGは、1977年に輸出規制の対象となる品目リストと規制方針のガイドラインを定めています。また、92年に包括的保障措置を輸出の条件として決定、これらがNPTに関して規制を具体化させている国際的枠組みです。

 NSGには現在45ヵ国が加盟し、今回の会議でドイツが議長国になり、日本は事務局として重要な役割を果たしています。

各地で意見書採択続く─消極的な外相の姿勢

 この会議を前に国会では、NSG会議での日本の姿勢について、参議院外交防衛委員会で犬塚直史議員(民主党)が高村正彦外務大臣に質問しました。昨年6月14日の同委員会で犬塚議員の「(米印原子力協力について)注意深く検討するという日本の立場は、懸念を表明しているということとは違うのか?」という質問に、麻生太郎外務大臣(当時)は「懸念を表明しているという意味だ」と返答しました。ところが今回、高村外相は消極的姿勢を示し、「国際的な核軍縮核不拡散体制の維持強化に支障のないように積極的に議論に参加していく」と紋切り型の返答に終始しました。

 いまこそ日本独自の核軍縮への明確な姿勢が求められている時です。政府への要請を地方議会からあげていく動きは続いており、福岡県の直方市議会の3月定例会で「アジアの核軍拡競争を防ぐため、原子力供給国グループでの慎重な対応を求める意見書」が可決されました。原水禁では、現在までに28自治体で同様の意見書採択を確認しています。

NPTの準備会合でも懸念する声が高まる

 2010年の核不拡散条約(NPT)の再検討会議に向けた第二回準備会合が直前にジュネーブで開催され、作業文書として扱われる議長要約文書にも、NPT条約の普遍性や、インド、イスラエルおよびパキスタンに対して非核保有国としてNPTに参加し、包括的核実験禁止条約(CTBT)に加盟するよう要求することが盛り込まれました。また、多国間交渉による合意のみが「軍縮、不拡散および国際的安全保障問題の多様性に対処する唯一の持続可能な方法」と強調されています。

 このNPT準備会合の場で、昨年同様、米印原子力協定に関するセミナーが開催され、インド、パキスタンはもちろん南アフリカやエジプトなど各国政府の外交官を含め多くの参加者を集めました。セミナーでは国連軍縮問題担当の事務次長だったジャヤンタ・ダナパラさんや、広島、長崎の両市長など、世界中から、核廃絶・核不拡散の著名な専門家を含む130以上の個人と団体が賛同署名した、「米国とインドの原子力協力関係をただす国際書簡」に焦点が当てられました。

各国のNGOも活発に働きかけ

 このNPT準備会合には、世界のNGOも多く関与しています。その活動によって各作業文書、レポート、NGO文書などが明らかにされ、ウェブサイトで見ることが出来ます。特に、木のブロック(原水禁でも例年取り組み)で国際法を守る壁を2005年のNPT会議の時にニューヨークに作ったドイツの若者中心のグループである「国際法キャンペーン」による「NPTwebcast」サイト(http://npt-webcast.info/)では、核燃料サイクル、イランの核開発、米印原子力協力、CTBTなどの問題について、政府代表や専門家のインタビュー(英語)を多数見ることが出来ます。

 NSGの会議にむけ、国内/国際的な動きが注目されます。詳しくは原水禁サイトをご覧ください。