出版物原水禁ニュース
2008.6  

フィリピン訪問・交流報告
日本の戦争・戦後責任と戦後補償を求める動き

平和フォーラム・原水爆禁止日本国民会議 事務局長 福山 真劫

 4月18日から23日までフィリピンのマニラを訪問しました。目的は、「日本の過去の清算を求める国際連帯協議会」コーディネーター会議への参加と、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に在住する被爆者の支援について北朝鮮代表団との協議、そして、フィリピンの様々な団体との交流でした。訪問を通して、平和フォーラム・原水禁が果たさなければならない役割が明らかになってきました。

各国で「軍隊慰安婦」問題の謝罪と補償求める決議

「日本の過去の清算を求める国際連帯協議会」の会議は、日本がアジアを中心とする地域で戦時中に犯した人権侵害に対する謝罪と賠償の実現などを目的に、03年結成されました。今回の会議には、オランダ、インドネシア、中国、中華民国(台湾)、北朝鮮、韓国、フィリピン、日本の市民団体代表が参加しました。

 討議の中心は、日本の「軍隊慰安婦」についてです。日本では、昨年の安倍前首相発言や、一部国会議員などによる「ワシントンポスト」への広告の掲載など、「軍隊慰安婦」に対する日本政府の無責任な対応や、基本的認識を踏まえない事態が続きました。そうした事態を憂慮し、日本政府に対して「責任ある謝罪と補償」を求めるため、07年以降、関係国の議会において対日「慰安婦問題」の決議が採択されています。

 しかしその一方、日本政府は大使館を通じて、フィリピン政府や議会、議員に対して、決議採択への圧力をかけているということがフィリピンの市民団体から報告されました。会議参加者は、在フィリピン日本大使館に抗議行動を実施するとともに、日本政府に「謝罪と補償」を求めての取り組み強化を確認しました。日本の戦争と戦後責任に対する平和フォーラムの運動展開が求められています。

緊急の支援が必要な北朝鮮被爆者

 北朝鮮の被爆者問題について北朝鮮代表団は、07年10月に原水禁代表団が訪朝した時の確認を踏まえて、非核・平和朝鮮被爆者協会による「被爆実態調査」を報告してくれました。今年で被爆63年になろうとしており、被爆者が高齢化し、緊急の支援が求められています。北朝鮮以外の被爆者への支援措置については、当事者や支援団体の長年にわたる闘いによって、不十分ながら充実が図られてきました。しかし北朝鮮の被爆者に対してはなんら支援措置がないのが実情です。

 同協会の調査によれば、被爆者は1,911人、そのうち生存者は382人であり、死亡率は約80%です。なお掌握できていない被爆者も多数存在すると報告されています。「被爆者はどこにいても被爆者である」という基本原則からして重大な差別です。さらに、被爆者は生活上・健康上の問題で苦闘していることから、日本政府による緊急な補償措置が必要です。原水禁として、この報告に対して、日本政府への要求活動などを通して応えていかなければなりません。

多くの活動者の暗殺が続くフィリピン

 フィリピンのいくつかのNGOや労組との交流も行いました。その中で強調されていたのは「政治的殺人」の深刻さでした。2000年代に入ってからでも、約900人の労働組合や農民組合、平和団体の活動家、野党指導者等が暗殺されたと言われています。

 日本でも、右翼による平和団体や労働団体への嫌がらせ、政治家に対する暴力、自衛隊による平和団体への監視活動、共謀罪制定の動きなど、右傾化の波が私たちの周りに迫ってきています。しかしフィリピンの「政治的殺人」は比較にならないほどの深刻さで、民主主義を破壊しています。国際的にも関心が高まり、世界の労働団体、平和団体によるフィリピン政府への抗議・要請の動きも行われるようになっていますが、事態は引き続き深刻です。今後も注目をする必要があります。