出版物原水禁ニュース
2008.7  

《原子力空母は安全か》
相次ぐ事故や衝突
説明不十分な米国の姿勢

 2006年4月、ケリー在日米海軍司令官は、横須賀市内で講演を行い、1)原子力発電所が横須賀の真ん中にできるわけではない、2)米海軍の艦船は放射線漏れを起こしたことがない、3)仮に事故が起きても放射能は基地の外に出ない、4)横須賀市民が避難するような事態にならない、5)原子炉は核兵器のように爆発したりしないとして、原子力空母の安全性を強調し、横須賀市民は誤解していると主張しました。しかし、安全であるとの証拠は何一つ用意されていません。

大火災が発生したジョージ・ワシントン

 米国の原子力潜水艦と日本の船との衝突は、1981年に鹿児島県下甑島近海で、貨物船日昇丸との間で起き、2001年にハワイ沖で宇和島水産高校練習船えひめ丸が、07年にはホルムズ海峡でのタンカー最上川との衝突などがあります。また、88年に英国原子力潜水艦レゾリューションは、原子炉の一時冷却系で電力供給が停止、予備ポンプや緊急電力装置も動かず、炉心温度が上昇し、あわやメルトダウン(炉心融解)寸前でした。

 原子力空母も、79年にミニッツが一次冷却水漏れを起こし、83年にエンタープライズ座礁、98年にアイゼンハワーが商船と衝突、94年のエンタープライズでの原子炉室の火災・放射能漏れ、99年にステニスが座礁して原子炉が緊急停止するなど、発表されているだけでも相当数の事故が起こっています。90年に通常型空母ミッドウェーは弾薬庫のすぐそばで爆発火災事故を起こしました。弾薬庫に火が回ったら空母そのものが破壊されていたでしょう。これが原子力空母だったら、原子炉の破壊につながります。
 ジョージ・ワシントンは、横須賀配備を前にして今年5月22日、船内のボイラー室、空調・冷却室近辺から火災が発生し、数時間も燃え続ける事故を起こしました。「放射能漏れはない」「原子炉に影響はない」と米海軍は発表していますが、その原因やそれ以上の事故の可能性がないかどうかは不明です。

大地震による災害も想定される

 6月14日、岩手県南部を震源として震度6強という大きな地震が発生しました。内陸直下型地震で、まったく予測していなかったものとされています。日本が地震国であり、このような巨大な地震が発生する可能性をどの地域でも持っていることが証明されました。地震と原子力発電所の関係は、昨年の中越沖地震の柏崎・刈羽原子力発電所の被害以降、日本においてきわめて重要な問題となっています。

 文部科学省は、全国で最重要な活断層6ヵ所の調査を行うこと発表しました。中央構造線や国府津・松田断層など、比較的有名な活断層とともに、横須賀市も含まれている三浦半島断層群も調査されます。この断層群には、いつ活動しても不思議のないA級断層である武山、北武断層など5本の活断層が含まれます。もし、これらの活断層が動く地震が起きた時に、横須賀港に原子力空母が停泊していたら安全なのでしょうか。
 このように、ケリー司令官の発言には、信憑性がまったくありません。放射能が漏れたとしたら、風があれば基地外に拡散することは自明であり、どのような手段で基地内にとどめるのか全く具体性がありません。「エード・メモワール」は、原子力発電所の原子炉の安全性は少なくとも陸上の原子炉と同等であるとしています。そうであれば、その危険性も同等であるということなのです。私たちは、スリーマイル島やチェルノブイリの原子力発電所の事故を忘れてはいません。
 このような危険な原子力空母が横須賀を母港とすることは許されません。