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2008.8  

具体的な成果示さないG8サミットに批判高まる
国内外のNGOが一堂に会して活動展開

過剰な警備に批判が相次ぐ

 7月7日〜9日に行われたG8サミット(主要国首脳会議)は、異様な警備に囲まれた中で開かれました。サミットに平行して、国内外の市民団体などが主催する集会やイベントに参加するために、日本の在外公館にビザ査証の申請を行った海外の参加者予定者に対して、理由不詳のままビザ発給が拒まれました。また、多くの海外ゲストに対して、空港の入国審査において数時間に渡る事情聴取が行われ、20名以上が入国を拒否されました。特に、韓国の農民団体、労働組合には徹底的に入国を拒み、総計24名が理由もなく、新千歳空港内の狭い部屋に数日間に渡って監禁されました。

 さらに、札幌市などのデモ行進では、数万の機動隊が盾で参加者を抑圧し、合法的なデモ参加者と報道関係者を逮捕するという事態に至りました。全国の主要都市でも、私服・制服の警備関係者の姿がいたるところに見られ、「日本はいつからこんな警察国家になったのか」と、仏の反グローバリゼーション理論家で、自らも成田空港で4時間の尋問を受けたスーザン・ジョージさんは憤りました。「地球環境の悪化や貧困、食糧難が大きな問題となっているこのサミットのために、これほどの人員とエネルギーを費やすことに、疑問を感じる」と、市民団体のG8サミットNGOフォーラムも、過剰な警備を批判しました。

自由貿易が食料危機を招くと国際シンポ

 サミットそのものには成果があったのでしょうか。焦点のひとつとなった地球温暖化について、政策提言を行ってきた気候ネットワークは、「宣言は、何ら具体的な成果を示すことのない、あいまいな全く中身のない文章のみを残すことで終了し、結局、多くの首脳の時間を浪費しただけとなった」と厳しく批判しています。世界最大の環境団体のWWFも、「G8が気候変動問題への取り組みで責任を回避した」と非難し、「2050年の目標は不十分であり、温室効果ガス排出量のより大幅な削減が必要」と声明を発表しました。

 もうひとつのサミットの焦点となった、食料問題について、平和フォーラムは札幌市内で、オーストラリア、タイ、インド、中国(香港)の農民や市民団体代表を含めてシンポジウムを開きました。「インドでは農業経営が苦しくなって、10年間に農民が15万人も自殺している」「国際的なコメ価格の暴騰が続いているが、利益は流通業者が奪って、タイ農民の経営はより苦しくなっている」「オーストラリアは各国と貿易の自由化を進めているが、石炭の輸出増による地球環境悪化を招いている」などと、自由貿易を進めるG8の姿勢は、ますます食料と環境問題を深刻化させていると批判が相次ぎました。

 その上で、(1) 食料危機に対しては農産物貿易の拡大を改めることがまず必要であり、WTO(世界貿易機関)交渉の中止、日豪FTA(自由貿易協定)交渉の中止を要求する、(2) 世界各地の食料危機の原因は農産物輸出国、多国籍穀物メジャー、種子企業などによる世界戦略にあり、それに加えてマネーゲームの横行も混乱を拡大させており、この構造を変えていく必要がある、(3) 各国の食料主権を尊重すること、等を確認しました。

新自由主義に反対する世界のNGOが結集

 この他、アフリカなどの貧困・開発問題や、核軍縮などの人権・平和問題でも成果は見られませんでした。G8のあり方を批判している「G8サミットを問う連絡会」は「非公式な政府の集まりとして1975年に設立され、30年以上が経過して、この体制は民衆および地球の幸福の進展にとってきわめて重大な足かせになっている」(同連絡会の閉会宣言)と批判しました。

その一方、貧困問題などに直面する日本の若者たちが数多く活動に参加を始めたことや、新自由主義に対する「もうひとつの世界のありかた」を模索する国内外のNGOが一堂に会したことなどを成果として強調しています。