核兵器に手をかすメガネのHOYA
2001.7

原水禁国際会議にあてた米国のNGOの書簡
(HOYAの核兵器協力について)

 会議にご参加の皆様へ
下に署名した米国の市民団体の代表として、皆様の注意を喚起したいことがあります。それは、日本の大企業、HOYAが現在、米国の核兵器計画の中で最大のプロジェクトの開発と建設に手を貸しているという事実です。このプロジェクトというのは、米国の二つの核兵器設計研究所の一つ、ローレンス・リバモア国立研究所で建設中の「国立点火施設(NIF)」です。総費用42億ドルのプロジェクトです。米国の核兵器研究所の何百もの文書が次のような事実を示しています。すなわち、米国核兵器研究所は、核兵器の設計の変更をした場合に、それが核爆発の性能にどのような影響を与えるかをシミュレートすることのできる核兵器設計コードを開発しようとしており、NIFがこの試みに深く関係しているということです。これらの文書の一部は原水禁にもお送りしています。

ある程度の客観性を持った人なら、これらの文書を検討すれば、NIFの明言された主たる目的は米国の核兵器研究所の核兵器設計能力を維持し、さらには改善さえすることにあり、それは、包括的核実験禁止条約(CTBT)の主要目的に反するものだと結論づけざるを得ないでしょう。HOYAのようなNIF計画に深く関わっている会社の重役がそうでないと主張するのは、信じがたく、そのような人々は、意図的に自己欺瞞に陥っているか、もっと悪質だといわなければなりません。

「包括的核実験禁止条約(CTBT)」の前文は、「核兵器のすべての実験的爆発及び他のすべての核爆発を停止することは、核兵器の開発及び質的な改善を抑制し並びに高度な新型の核兵器の開発を終了させることによって核軍備の縮小及びすべての側面における核不拡散のための効果的な措置となる」としています。CTBTの重要な目的の一つは、まさに、NIF計画が米国に提供することを目指しているような種類の核兵器設計データや専門能力を、加盟国が入手することを抑制することにあります。ですから、NIF計画をHOYAが支援するというのは、すくなくとも、CTBTの下における約束の精神と目的に反するものであります。

しかし、NIF計画へのHOYAの援助は、CTBTの下における日本の法的義務に関する問題も提起しています。CTBTの第一条第2項は、次のように述べています。「締約国は、更に、核兵器の実験的爆発又は他の核爆発の実施を実現させること、奨励すること、又はいかなる態様によるかを問わずこれに参加することを差し控えることを約束する。」

米国はCTBTを批准しておらず、米国の現政権は、そうする意向はないと明言していますから、日本は、次のような前提に立たなければなりません。すなわち、米国はCTBTの非締約国として、いつでも核兵器の実験的爆発を再開する可能性があるというものです。この可能性、それに、NIF計画が、米国の核兵器設計コードの改善や、米国の核兵器設計者の訓練と密接に関係しているという事実に照らしてみれば、NIF計画においてHOYAが重要な役割を果たすということは、後に米国が実験的爆発を実施した場合、それを日本が「奨励」し、何らかの「態様」において「参加」したと理解することができます。

NIF計画を日本のCTBTの下での約束と違わないものにするには、厳密で、立ち入りを含む国際的保障措置を適用することによって、この施設における核兵器関連の実験−−計画されているすべての実験の大半−−の実施を実質的に禁止し、NIFの研究員のだれも核兵器の設計活動に参加できないようにするしかありません。お送りした文書から明らかな通り、NIFに対するこのような「平和利用」保障措置は、NIF計画の基本的目的と明言された存在理由とに矛盾することになります。NIFが、米国エネルギー省の核兵器計画部門「国家安全保障局」から何十億ドルも得ているのは、まさに、核兵器計画に役に立つと宣言されているからなのです。

会議のすべての参加者にお願いします。日本のマスコミに、そして、他の市民や、光学製品の消費者に、HOYAが、米国の現在の核兵器計画の中で最大の要素であり、また、最も多額の資金を要するNIF計画に関わっているということを伝えてください。さらに、国会の外交委員会において、この問題について日本政府の公式な検討・調査を実施されるよう訴えます。すなわち、日本が国内外において一貫して示してきた核兵器に反対する立場、そして、包括的核実験禁止条約(CTBT)の下における政治的・法的約束とHOYAの活動とが矛盾しないかという問題です。

ブッシュ政権は、CTBTを葬り去ろうとしています。日本は、米国の核兵器計画のために無駄に費やされ続けている何十億ドルもの資金から日本の企業が利潤を得ることを黙認することによって、ブッシュ政権のこの策動における物言わぬパートナーとなってしまってはなりません。

平和と連帯のために、