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| GENSUIKIN INFORMATION "HOYA FILES 1" |
HOYAの回答は事実誤認―NIFは核兵器と関係ないか
HOYAは、CTBT批准を拒否した国の核兵器計画に協力するのか
米国の核兵器研究施設にHOYAが部品を納入するという問題について、「納入中止支持」というような見出しを掲げた新聞があったこともあって、この問題が終わったと思われている方が多いかもしれませんが、実はHOYAは、出荷を見合わせているだけで、完全に中止したわけではありません。HOYAが出荷の決定をしないよう会社側に働きかけることが必要です。この問題についてまとめて見ましたので、参考にして、会社側に働きかけてください。HOYAにファックスなどを送られた場合は、その写しを原水禁本部にE-mailかファックスでお送りいただければ幸いです
電話: 03−5289−8224 fax:03−5289−8223 E-mail:gensuikin@jca.ax.apc.org
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〒161-8525 東京都新宿区中落合2-7-5
代表取締役社長 鈴木 洋 殿
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要約
HOYAが米国カリフォルニア州の核兵器研究所(ローレンス・リバモア国立研究所)の核融合施設「国立点火施設(NIF)」にレーザー光線増幅用特殊ガラスを納入している問題で、HOYAは、2月9日、出荷の見合わせを発表し、20日には、同社の見解を原水禁などに知らせてきた。HOYAは、その20日の回答の中で、「NIFでの研究は、垂直、水平いずれの方向でも核の拡散につながらない」、「NIF計画は、国防技術の維持・拡大を中心に据えたものではない」との「結論をもとに、今回のNIFへのレーザーガラスの供給を決定しています。以上のことから、HOYA株式会社では、レーザーガラスのNIFプロジェクトへの供給は、核兵器の開発に直接関わるものではないと認識いたしております」と説明している。迅速に出荷見合わせの措置を取るなど同社の対応は評価できるが、回答には、NIFの性格についての根本的事実誤認がある。「NIF計画は、国防技術の維持・拡大を中心に据えたものではない」などと聞けば、米国議会もNIFの責任者も驚くだろう。回答に添付された米国エネルギー省の資料の中にも「NIFの主たる目的は、核兵器に関連した物理学の専門家集団を米国で維持することにある」と書かれている。またリバモア研究所のホームページに掲載されているHOYAの製造能力に関するニュース・リリース(2001年1月24日付け)には、次のようにある。「NIFは、エネルギー省の核兵器維持管理計画(SSP)かなめの一つである。・・・実験は、核実験をしないで現存の核兵器についての科学者の確信を維持する助けとなる。NIFはまた、基礎科学や核融合エネルギーの面で追加的な利益ももたらす。」エネルギーの研究の方はおまけにすぎない。NIFの予算は、すべてエネルギー省の国防部門から出ており、予算を定めた文書の中にも、核兵器維持管理プログラムがNIFのミッションだと書かれている。決定の基礎とした結論が誤っていたのであるから、HOYAは直ちにNIFへの納入を完全中止とすべきである。
原水禁では、NIFについての第一人者である米国「天然資源防護協議会(NRDC)」のクリストファー・ペイン氏とカリフォルニア州現地の反核団体「トライバレー・ケアーズ」のメリリア・ケリー氏から、HOYAの回答の矛盾をつく書簡と、資料を受け取っている。一部は、公開質問状(その2)で活用している。残りについても、近くHOYAに提供し、検討を求める予定である。
以下、簡単に経緯とHOYAの回答の矛盾について検討した後、CTBTを批准した日本は、CTBTの批准を拒否して核実験を再開する可能性を持っている米国の核計画に手を貸すべきではないとするペイン氏の書簡を紹介する。この書簡は、NIFが国防技術の維持・拡大のためのものであることを示す文書類とともに送られてきたものである。最後に、ペイン氏の送ってきた文書のリストを添付し、それらの文書の中でNIFと核兵器技術との関連した部分をいくつか拾い出して訳しておく。(ケリー氏からの文書については、別途紹介する。)
1.経緯
ワシントン発の共同電(2月6日)が、HOYAがNIFにガラスを納入していることが判明と報じ、広島の原水禁、原水協、広島市長、長崎の原水禁、両県の被爆者団体、東京の原水禁本部などが抗議声明・公開質問状などを発表。2月9日、HOYAは、「事実関係を調査いたしております。事実関係が判るまで、HOYA
CORPORATION USAのNIFに対する出荷を見合わせることにしましたのでお知らせ申し上げます」と原水禁に回答。2月20日、「現在も出荷を見合わせております」としながら、「レーザーガラスのNIFプロジェクトへの供給は、核兵器開発に直接関わるものではないと認識いたしております」と回答。
3月13日原水禁本部は、「レーザーガラスのNIF納入に関する公開質問状(その2)」をHOYAに送り、回答の矛盾点についての釈明を求めた。3月21日段階では未回答。なお、公開質問状(その2)は、NRDCクリストファー・ペイン氏から寄せられたHOYAの回答についてコメントに対するHOYAの再回答を求めるかたちをとっている。
2.基礎情報
NIFは、レーザーを使って核融合を達成するための施設で、世界で初めて、投入されたエネルギー以上のエネルギーを核融合から得ることを目指している。水爆では、核分裂爆発装置(原爆=プライマリー)の爆発で得られるエネルギーを使って核融合を起こすが、NIFでは、レーザーのエネルギーで水素の同位体である二重水素と三重水素(トリチウム)の核融合を起こす。水爆の場合、核分裂爆発装置を第一段階(プライマリー)、核融合の部分を第二段階(セカンダリー)と呼ぶ。NIFでは、このセカンダリー部分の現象についての研究を行うが、少量のウランを使った第一段階から第二段階に至る過程に関連した現象の研究や、核爆発の影響についての研究なども行われることになっている。
ネバダの地下核実験場で行われている未臨界実験は、プライマリーで使われるプルトニウムの高温・高圧下での振る舞いを調べるものである。
HOYAは、NIFが必要とする約3500枚の半分を納入する予定。残りの半分は、ショット・グラステクノロジー社が納入する。HOYAはすでに試験用などで一部納入済み。両者は、フランスに建設中の同様のレーザー核融合施設(「レーザー・メガジュール(LMJ)」にも納入の予定である。両社合わせた年間製造能力は約1500枚。NIFとLMJを合わせてた最終的必要総量は、約8000枚。
3.回答と添付文書の矛盾
HOYAは、2月20日付の回答では、同社の見解の「説明書」の他、以下4つの資料を原水禁本部に送付してきた。
(1)The National Ignition Facility (NIF)
and the Issue of Nonproliferation, Final
Study Prepared by the U.S. Department of
Energy, Office of Arms Control and Nonproliferation
(NN-40), December 19, 1995
(2)「Forum Flash」ICFフォーラム (1998年5月23日付け)
(3)「レーザー核融合をめざして」山中千代衛教授に聞くOPTRONICS(1990)No.5
(4) 新聞記事切り抜き点(1982年11月15日付け毎日新聞、1998年3月15日付け日本経済新聞。
このうち重要なのは資料1と資料2である。HOYAは、「レーザーガラスのNIFプロジェクトへの供給は、核兵器開発に直接関わるものではないと認識」している根拠として、資料1の「NIFでの研究は、垂直、水平いずれの方向でも核の拡散につながらない」との結論、文書2の「NIF計画は国防技術の維持・拡大を中心に据えたものではない」との結論を挙げている。
資料2は、1998年3月4日午後に開かれたICF[慣性閉じ込め核融合]フォーラム国際シンポジウム「慣性核融合エネルギー開発の展望と国際協力」の報告を大阪大学レーザー核融合研究センターの山中龍彦教授がB5版ページにまとめたものである。HOYAの「説明書」は、この「シンポジウムにおいて、国際的視点から慣性核融合エネルギー開発に関する議論が展開され、ICFの研究内容や広く公開されており、『その情報から核兵器を作ることはできない』こと及び『NIF計画は、国防技術の維持・拡大を中心に据えたものではない』との結論を得ています。」としている。資料2で見る限り、基調講演及びパネル討論の参加者は、日本の核融合の関係者5人の他は、日本経済新聞論説委員鳥井弘之氏、それにリバモア研究所のウイリアム・ホーガン氏と、国際原子力機関(IAEA)物理部長のトーマス・ドラン氏だけである。客観的国際的視点と呼ぶには偏りがありすぎるだろう。ホーガン氏の発言は9行でしか紹介されていないが、軍事研究については、「米国は国際エネルギー機関(IEA)に対し、IFE[核融合エネルギー)の国際協力を働きかけており、これが実現されればIEAの活動はIFE開発に一層集約され、軍事応用研究との分断も確立されることになるはずである。」と述べているだけである。山中教授は、「今回のパネル討論で得た最大の収穫は、NIF計画がわが国のマスコミで報道されている様な国防技術の維持・拡大をメインに据えた計画でないことが明らかになった点であろう。」と述べている。説明書は、これを引用しているのである。マスコミの側は、どのような事実に基づいて報道が間違っているといわれているのか確認すべきだろう。
前述の通り、資料1の8ページには次のようにある。「NIFの主たる目的は、核兵器に関連した物理学の専門家集団を米国で維持することにある。」また、14ページには次のようにある。「核兵器維持管理計画におけるNIFの主たる役割は、もっと一般的な意味で核兵器に関連した物理に関する中核的な知的・技術的能力を維持することにあるが、セカンダリーやブースト型プライマリー過程の一部に関連したコンピューター・コードの予測能力の改善のための特定のデータを提供することもできる。」(ブースター型というのは核分裂爆発装置の爆発のエネルギーで小規模の核融合を起こさせ、その際発生する中性子を使って核分裂を促進させることによって爆発装置の威力を増すものを指す。水爆と異なり、爆発の威力のほとんどは核分裂によって生じる。)
NIFが研究所の責任者がいっているとおりの機能を果たせるかどうかは別問題である。研究所の言い分が誇大広告になっていると思えば、日本の研究者がそのことを米国議会やNIF関係者に告げるのは自由である。そのことと、予算が軍事部門から出ている施設が国防技術と関係ないかのようなことを言うのとは別である。また、そのような主張を根拠に、HOYAがガラスの納入を決め、それを正当化するのは、不可解である。発表されている目標の達成失敗を前提に納入するなどというのは許されないだろう。
また、資料1がNIFが核拡散にまったくつながらないと断言しているのではないことは、公開質問状(その2)で引用したペイン氏の指摘にあるとおりである。
4.CTBTの下での日本の義務
以下は、3月16日付けのペイン氏の書簡を訳出したものである。
[文書のリストに続いて]
ある程度客観性を持った人なら、これらの文書を検討すれば、NIFの主たる目的は米国の核兵器研究所の核兵器設計能力を維持し、改善することにあると結論づけざるを得ないだろう。HOYAのようなNIF計画に深く関わっている会社の重役がそうでないと主張するのは、信じがたい。
「包括的核実験禁止条約(CTBT)」の前文は、「核兵器のすべての実験的爆発及び他のすべての核爆発を停止することは、核兵器の開発及び質的な改善を抑制し並びに高度な新型の核兵器の開発を終了させることによって核軍備の縮小及びすべての側面における核不拡散のための効果的な措置となる」としている。
CTBTの重要な目的の一つは、まさに、NIF計画が米国に提供することを目指しているような種類の核兵器設計データや専門能力を、すべての加盟国が入手することを抑制することにあるから、NIF計画をHOYAが支援するというのは、すくなくとも、日本のCTBTに対するコミットメントの精神と目的に反するものといえる。
CTBTの下における日本の法的な約束との関連で、CTBTの下における「慣性閉じ込め核融合(ICF)」爆発の法的な地位は、確定していないという点に留意されたい。レーザーあるいは素粒子によって生じる実験室内の完全に閉じこめられた爆発は、核拡散防止条約(NPT)の中の「核爆発装置」には当たらないとする不確かな国際的理解がある。これは、米国が、1975年の第一回NPT再検討会議の際に一方的に宣言したことに端を発するものである。
しかし、CTBTの方は、「核爆発装置」ではなく、「核爆発」に関するものであり、条約の明白な文言は、「核兵器のすべての実験的爆発又は他のすべての核爆発」を禁止しているが、禁止された爆発とは何かを定義していない。米国、ドイツ、日本などの一部の国は、それぞれ、CTBTは、レーザーを使った、あるいは他の形態の「制御された核融合」の追求を抑制するものと理解されるべきではないと宣言しているが、それに同意しない国もあるかもしれない。そして、一部のコンパクトなかたちのICF−−たとえば、高性能爆薬を使った核融合(注1)−−は、現在、法的に灰色の領域に属している。なぜなら、これは、NPTでいうところの軍事的に有用な「核爆発装置」となる可能性を持っているかもしれないからである。
しかし、CTBTの下における日本の義務として、ここでの問題にもっと関連のある部分がある。CTBTの第一条第2項は、次のように述べている。「締約国は、更に、核兵器の実験的爆発又は他の核爆発の実施を実現させ、奨励し、又はいかなる態様によるかを問わずこれに参加することを差し控えることを約束する。」
米国はCTBTを批准しておらず、ブッシュ政権は、そうする意向はないと明言しているから、日本は、ことを進めるに当たって次のような前提に立たなければならない。すなわち、米国はCTBTの非締約国として、いつでも核兵器の実験的爆発を再開する可能性があるのである。この可能性、それに、NIF計画が、米国の核兵器設計コードの改善や、米国の核兵器設計者の訓練と密接に関係しているという事実に照らしてみれば、NIF計画におけるHOYAの重要な役割は、後の米国による実験的爆発を日本が「奨励」し、何らかの「態様」において「参加」するものと理解することもできる。
NIF計画を日本のCTBTの下での約束と違わないものにするには、厳密で、立ち入りを含む国際的保障措置を適用することによって、この施設における核兵器関連の実験−−計画されているすべての実験の大半−−の実施を実質的に禁止し、NIFの研究員のすべてが核兵器の設計活動に参加できないようにするしかない。同封した書類から明らかな通り、このような「平和利用」保障措置は、NIF計画の基本的目的及び存在理由と矛盾することになる。NIFが、米国エネルギー省の核兵器計画から何十億ドルも得ているのは、まさに、核兵器の設計との密接な関係の故なのである。
注1:磁場を化学爆薬で圧縮(爆縮)して得られるエネルギーで核融合を達成しようとするもの。この研究は米ソで行われており、冷戦後、米ロの研究者がロスアラモスで共同実験を行っている。成功すればプライマリーを必要としない純粋核融合兵器につながる可能性がある。NIFで得られた知見が、この種の装置の開発に使われる可能性がある。簡単にできるかどうかは別問題である。
5.NIFの役割
ペイン氏の送ってきた書類は次の通りである。リストのに続いてに、これらの文書の一部を拾って訳出してある。
(1)“Facility Use Plan of the National
Ignition Facility,” Prepared for Office
of Inertial Fusion and the National Ignition
Facility Project, Defense Programs, U.S.
Department of Energy, April 1997.
エネルギー省のNIF使用計画
(2)Selected Viewgraphs from a Lawrence
Livermore National Laboratory Presentation
to Thomas B. Cochran and Christopher Paine,
Natural Resources Defense Council, August
30, 1994, concerning the role of the NIF
in the Department of Energy’s nuclear weapons
“Stockpile Stewardship Program.”
エネルギー省がNRDCのトーマス・コクランとペインの両氏にNIFについて説明するに使ったOHPのコピー。
(3)Declassified excerpts from the proceedings
of a Classified Symposium, “Applications
of High Power Lasers to Science-Based Stockpile
Stewardship (U),” First Edition, CLY-96-0037,
held in Las Vegas, Nevada, March 1996.
非公開シンポジウムの報告書の機密解除された部分
(4)“Applications of High Power Laser
to Stockpile Stewardship,” selected sanitized
viewgraphs from presentation by Dr. George
H. Miller, Associate Director for National
Security, Lawrence Livermore National Laboratory,
to the National Academy of Sciences Committee
for the Review of the Inertial Confinement
Fusion Program, Sept 19, 1996.
リバモア研究所のジョージ・ミラー氏が全米科学アカデミーで説明を行った際に使ったOHPの機密解除版
(5)“NIF System-Design Requirements for
Nuclear-Weapons Physics Experiments,” UCRL-ID-120738,
Theodore S. Perry, LLNL, and Bernhard H.
Wilde, LANL, Scientific Editors, Lawrence
Livermore National Laboratory, Livermore
, CA April, 1995.リバモアの報告書
以下は上記文書からの抜粋である。
(1)
NIFは、核兵器の作用状態のほとんどほとんどについて深く研究することを可能にする。
NIFは、これまでよりも核兵器のの状況にずっと近い状態での実験を可能にし、それによって、知識の基礎の精度を大きく改善する。
NIFは、核兵器科学者の技術を洗練し発展させる上で貴重な手段を提供する。
NIFは、核兵器物理の理解を高める上で決定的に重要な役割を果たす。
(2)
核兵器の核の段階をもっとも良くシミュレート実験施設は、メガジュール・クラスのガラス・レーザーである。
NIFは、熱核兵器(水爆)の物理学にとって強力な道具となる。
(3)
W87(型核弾頭)に変更を加えた際の影響について評価するためにノバ(リバモアのレーザー施設)の実験とコンピューター・シミュレーションが使われた。
NIFは、ウランのopacityについて実験的に計測することを可能にする。
NIFのデータは、核兵器シミュレーションのためのDT状態方程式の信頼性を改善する。
最近のノバの実験結果は、NIFでは、核兵器の状態に近いドライブ温度が可能だということを示している。
NIFは、次の世代の核兵器科学者を惹きつけ訓練するための大きな手段を提供する。
NIFの設計者の多くは、直接的核兵器活動に関わる。
高出力のレーザーは、熱核兵器の威力に影響を与える主要な物理学的問題を扱うことができる。
NIFは、100倍もエネルギーが大きいから、シミュレーションと実際の核兵器の振る舞いのギャップを相当縮めることができる。
(4)
これらの高速燃焼システムを測定する診断能力の開発は、核実験再開の必要が生じた場合に備え、技術を維持し、要員を訓練し再生可能なかたちで保つことになる。
(5)
NIF計画の主要な目的の一つは、核兵器物理実験を実施するための地上実験能力を提供することにある。これは、核兵器能力を維持するために必要なものである。
NIFは、地下核実験なしでは、行うことのできない高エネルギー密度物理の研究を可能にする。
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●レーザーガラスのNIF納入に関する公開質問状(その5)
2001年4月23日
HOYA株式会社
代表取締役 鈴木 洋 様
フォーラム平和・人権・環境
原水爆禁止日本国民会議
議 長 岩松 繁俊
事務局長 佐藤 康英
前略
貴社が4月20日に当方事務所に持参された資料『HOYAの情報請求に対する国立点火施設(NIF)プロジェクトの応答』(2001年3月19日付け)は、貴社が、3月19日まで、NIFの研究の80%は平和利用と信じており、そのことについての確認をローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)に求めていたことを示しています。研究所側の答えは、、「NIFは、星や、惑星、ブラックホール、核兵器のなどの天体物理学的現象で起きる基礎科学を理解するための方法である。この文脈においては、NIFの機密の実験も機密でない実験もともに核兵器物理の理解の改善に役立つ。この同じ基礎科学は、慣性核融合を含む多くの問題についての理解を深める。科学の最終用途は異なるが、科学は同じである。しかし、NIFがストックパイル・ステュワードシップ・プログラム(核兵器維持管理計画)を支援するものであり、米国のCTBTの受け入れに必須であることを覚えておくことが重要である。」とあるだけで、それを確認していません。貴社は、2月20日付けで当方に送ってこられた回答の中で、「NIF計画は、国防技術の維持・拡大を中心に据えたものではない」との「結論をもとに、今回のNIFへのレーザーガラスの供給を決定しています」と述べています。つまり、貴社は、NIFは国防にはほとんど関係のない計画だと主張したわけです。ところが、研究所の答えは、そのことを確認してくれていません。
貴社は、上記の「結論」をどのような根拠に基づいて支持するのかとの当方の質問に対する回答をしておりません。しかし、いずれにせよ、貴社が発せられた「LLNLは、研究の80%が平和目的のために当てられると確認できるか」という問いは、貴社が、この「結論」をそのまま信じていたことを示しております。
また貴社は、NIFが核兵器の開発に直接つながらないとも主張してきました。ところが、貴社に対する回答の中でも、ローレンス・リバモア国立研究所は、エネルギー省が新しい核兵器を開発しないという場合の「新しい核兵器というのは、普通、相当に新しい核弾頭の設計概念や進んだ兵器概念を伴うものである。」としています。つまりエネルギー省は、こういう定義に入らない「新しい核兵器」を開発することを否定していないことは明らかです。
私たちは、納入の根拠が崩れたいま、直ちに納入を中止するよう求めます。
そして次の問に答えるよう要望します。また、これまでのように、エネルギー省の文書を引っ張り出してきて、次の部分を参照くださいと英語のまま示すのでなく、貴社の言葉で、具体的に、英語の分からないマスコミの方々や国会議員にも理解できる形で説明をするようお願いします。
1)80%の数字の確認は、貴社の決定にとってきわめて重要な意味を持つ問題だったはずだが、その確認が得られなかった後、再度この点について問い合わせをしたか。その答えはどうだったのか。
2)貴社が2月20日付けの回答とともに送付してきた1995年のエネルギー省の文書は、「NIFの主たる目的は、核兵器に関連した物理学の専門家集団を米国で維持することにある。」としている。日本の企業である貴社のガラスを利用して維持された研究者らが、核兵器を設計し、CTBTの批准を拒否している米国がその核兵器の実験(核実験)を行った場合、核実験には協力しないというCTBTの下での義務に条約批准国日本が違反することになる可能性についてどう考えるのかという問いにまだ答えていない。日本をそのような無法者の位置に陥れる可能性のある決定を、貴社だけで下して良いと考えているのか。
3)貴社は、マスコミに配布した資料の中で「NIFのミッションの一つであるStockpile
Stewardship Programは、米国が核兵器削減に向け現有する核兵器を放置する危険性を回避し安全性・信頼性・性能を確認しつつ維持管理するものであると理解するものです。」としている。
(1)現有する核兵器を放置する危険性とは具体的にいってどのような危険性なのか。
(2)核兵器の安全性、信頼性、性能はそれぞれ具体的に何を意味するのか。
(3)(1)及び(2)とNIFが具体的にどのように関連しているのか。NIFがない場合、何が実現できなくなり、それがどう問題であると貴社は考えるのか。
4)貴社は、マスコミに配布した資料で、「NIFは、米国の核不拡散目的を支えるもの」というエネルギー省の結論を引用しているが、具体的に、NIFがどのような貢献をするから、どのような形で核不拡散目的を支えると貴社は考えるのか。
5)1985年4月12日の朝日新聞の記事「米で世界最大のレーザー装置が完成 SDI絡み波紋 日本企業も協力」は次のように述べている。「HOYAによると、レーザーガラスはローレンス・リバモア研究所から直接、要請を受けて開発したもので、同社としては、あくまで核融合反応を起こさせるための起爆源など、エネルギーの平和利用のために使われる、と信じているという。」この時点で、ノバの核融合研究が核兵器用のものだったことは明らかで、当時は、研究の詳細のほとんどが公表されておらず、現在よりも、ずっと秘密主義の強い時代のことである。また、2001年度予算説明書は、「DOEは、過去20年に渡ってICF(慣性核融合)を、核実験のモラトリアム下で核兵器設計の設計能力を維持するための主要手段とみなしてきた。」と述べている。貴社は、1985年にどのような根拠に基づき、秘密だらけの研究が、エネルギーの平和利用のために使われると信じたのか。
6)上記の件で、大阪大学のレーザー核融合研究者らに、ノバの研究は、核兵器に関連したものかどうか聞いたか。あるいは、大阪大学の研究者の方から、その旨、自発的に説明してくれることはなかったか。
●4月3日づけ回答
2001年4月3日
フォーラム平和・人権・環境
原水爆禁止日本国民会議 殿
議 長 岩松 繁俊 様
事務局長 佐藤 康英 様
〒161-8525 東京都新宿区中落合2-7-5
HOYA株式会社
代表取締役 鈴木 洋
前略 3月22日付貴信「レーザーガラスのNIF納入に関する公開質問状(その3)」につきまして、別紙の通り当社の見解をご説明申し上げます。宜しく、ご理解賜りたく、お願い申し上げます。
草々
説 明 書(その3)
I ・ご質問の1につきましては、説明書(その2)のIIで引用記載させていただきました
The Administration and the Congress
can ensure that the weapons laboratories
are not engaging in research and development
at NIF that encourages vertical proliferation.
が実行されているとの確認を米国ローレンスリバモア国立研究所(LLNL)より得ております。
II.ご質問の2につきましては、 Final Studv P.8をご参照ください。
NIF and the Comprehensive Test Ban Treaty:
□ NIF does not undercut the objectives of
the Comprehensive Test Ban Treaty(CTBT).
□ NIF experiments cannot serve as a functional
substitute for a nuclear explosive testing
program banned by a CTBT.
□ Key to U.S. wi"ingness to negotiate
a CTBT and live under its provisions is its
ability to exercise a nuclear stockpile stewardship
program in the absence of nuclear testing.
□ This Administration is not planningto
develop new types ofnuclear weapons or advanced
nuclearweapon concepts. Thus, NIF will not
be used for that purpose.
□ The issue of NIF has not slowed multilateral
CTBT negotiations.
□ Many nations agree with the U.S. that
ICF should not be prohibited unde, a CTBT.
ICF programs are being pursued by both nuclear
weapon states and non-nuclear weapon states
parties to the Nuclear Nonproliferation Treaty(NPT).
III. ご質問の3につきましては、米国子会社を含む社内調査を中心に、法律事務所、LLNL等の外部機関に事実関係を確認しております。
IV. なお、クリストフアー・ペイン氏の所属されるNRDCは、現在、NIFに関して米国エネルギー省を相手に訴訟を提起されております。従いまして、当該訴訟当事者のご意見に対して、
HOYA株式会社が回答申し上げるのは相当ではないものと判断いたしております。
2001年4月3日
HOYA株式会社
|公開質問:1、2、3、4、5回|HOYA回答1、2、3|IFEフォーラム、関電、大阪大学、レーザー研へ|解説|
2001年3月26日
HOYA株式会社
代表取締役 鈴木 洋 様
フォーラム平和・人権・環境
原水爆禁止日本国民会議
議 長 岩松 繁俊
事務局長 佐藤 康英
前略
2回目の質問に関しての3月22付け貴信「説明書」本日受け取りました。2月20日付の回答で原水禁本部に送付してきた資料1;「The
National Ignition Facility (NIF) and the
Issue of Nonproliferation, Final Study Prepared
by the U.S. Department of Energy, Office
of Arms Control and Nonproliferation (NN-40),
December 19, 1995」の部分を引用し、説明に代えておられますが、同資料がNIFは核拡散にまったくつながらないと断言しているのではないことは、公開質問状(その2)で引用したペイン氏の指摘にあるとおりです。
また、核拡散防止条約上の問題のほかに、CTBT(包括的核実験禁止条約)を批准した日本は、CTBTの批准を拒否している米国の核計画に手を貸すべきではありません。CTBTの重要な目的の一つは、まさに、NIF計画が得ることを目指しているような核兵器設計データや専門能力を、すべての加盟国が入手することを抑制することにあり、NIF計画への貴社の支援は、少なくとも、日本のCTBTへの精神と目的に反するものといえます。
被爆国日本の社会的責任ある企業として、貴社に以下の要望をいたします。
記
1. 貴社のNIFへのレーザーガラス出荷中止。少なくとも、公開質問状(その3)
への回答、及びお約束の話し合いの終わるまでの出荷見合わせ。
2. 公開質問状(その2)への明解な再回答、
3. 以下の質問への回答
1) フランスにも納入する計画もあるとの報道は、事実か
2) その場合の納入予定はいつか
回答先: 101−0062 東京都千代田区神田駿河台3−2−11総評会館5F
電話 03−5289−8224 /FAX 03−5289−8223
|公開質問:1、2、3、4、5回|HOYA回答1、2、3|IFEフォーラム、関電、大阪大学、レーザー研へ|解説|
●3月22日づけ回答 (原水禁では26日に受け取りました)
2001年3月22日
フォーラム平和・人権・環境
原水爆禁止日本国民会議 殿
〒161-8525 東京都新宿区中落合2-7-5
HOYA株式会社
代表取締役 鈴木 洋
前略 3月13日付貴信「レーザーガラスのNIF納入に関する公開質問状(その2)」につきまして、別紙の通り当社の見解をご説明申し上げます。
何卒ご理解を賜りたく、宜しくお願い申し上げます。
草々
説 明 書(その2)
2001年2月20日付でお送りさせていただきました資料1「THE
NATIONAL IGNITION FACILITY(NIF) AND THE ISSUE
OF NONPROLIFERATION」 Final Study Prepared
by the U.S. Department of Energy Office of
Arms Control and Nonproliferation [December
19, 1995] (以下Final Studyといいます)に基づき,つぎの通りご説明いたします.
I. はじめに、 Final Study p.2のFINAL CONCLUSIONSをご確認いただきたいと存じます.
The conclusions of the Department of Energy's
ofRce of Arms Control and Nonproliferation
are as follows:
(1) The technical proliferatl'on concerns
at the Nationa=gnition Facility (NIF) are
manageable and therefore can be made acceptable.
(2) THE NIF can contribute positively to
U.S. arms control and nonproliferation policy
goals.
Therefore, it is the conclusion of this study
that the NIF suports the nuclear nonproliferation
objectives of the United States.
II. Vertical Proliferationにつきまして
Final Study p.6に記載された,以下の文章をご参照ください.
RECOMMENDATIONS TO MANAGE PROLIFERATION
CONCERNS AT NIF:
Vertical Proliferation:
The U・S・ must assure the American public
and other countries that NIF is not contributing
to vertical proliferation:
□ ・ The goal of the U.S. Stockpile Stewardship
program is to maintain the safety and reliability
of the U.S. nuclear weapon stockpile without
nuclear testing and without new weapons development
and production.
.The Administration and the Congress can ensure
that the weapons laboratories are not engaging
in research and development at NIF that encourages
vertical proliferation.
Specific openness measures, especially regard;ng
classified experhents ( estimated at 20%
of total exper;ments ), should be implemented
at NIF, such as:
- Public discuss1'On Of the techn1-Cal capabilities
of NIF and types of nuclear weapons information
that can be obtal'ned from NIF experiments
generaIIy;
- A published roster of planned unclassified
and classified experiments:
- Review of classified research by outside
scientific and policy experts;
- Release of certain information about the
purpose of some experiments.
□ Intemational collaboration at NIF on uncLassified
experiments and the consequent on-site presence
of scientists from around the world will
Alrther enhance openness and transparency
at NIF.
□ The need for openness measures at NIF
will need to be balanced against the compet;ng
need to protect sensitive information about
classiRed experiments which would be of value
to potential proliferators.
また, Final Study p.8最下段にはつぎの通り述べられております.
Although a primary purpose of NIF is to maintain
a U.S. cadre of expertise in physics relevant
to nuclear weapons, its substantial energy
and basic science appl;cations will be shared
wl'th appropn'ate scientists from around
the world, thereby makhg NIF operations consistent with
Article IV of the NPT.
(資料)
[NPT(核兵器の不拡散に関する条約)第4条]
1. この条約のいかなる規定も、無差別にかつ第1条及び第2条の規定に従って
平和的目的のための原子力の研究.生産及び利用を発展させることについてのすべて の締約国の奪い得ない権利に影響を及ぽすものと解してはならない。
2.すべての締約国は、原子力の平和的利用のため設備、資材並びに科学的及び
技術的情報を可能な最大限度まで交換することを容易にすることを約束し、また、その交換に参加する権利を有する。綿約国は、また、可能なときは、単独で又は他の国若しくは国際機関と共同して、世界の開発途上にある地域の必要に妥当な考慮を払って、平和的目的のための原子力の応用、特に締約国である非核兵器国の領域におけるその応用の一層の発展に貢献することに協力する。
上記「RECOMMENDATIONS TO MANAGE PROLIFERATION
CONCERNS AT NIF」の三段落目"The Administration"以下とp.8最下段の"thereby…以下の破線部分(当社加筆)が重要と考えています。
III. Horizontal Proliferationにつきまして
Final Study p.4からp.5にわたる文章をご参照ください。
TECHNICAL PROLIFERATION CONCERNS:
Horizontal Proliferation:
Two factors will mitigate the risk of hon'zontal
proliferation from NIF for a countries:
□ U.S. classincation restn'ct1'OnS Will
preclude access to information from NIF that
could be specifically useful for weapons
development.
□ ICF data is of substantially less value
for weapons purposes to states not having
access to full-scale nuclear weapon test
data.
It is l'mPOrtant tO note that the khd of
h1'gh energy densl-ty information that win
be available at NIF is already being openly
published by other countries as we"
as the United States.
The utility of NIF and, for that matter,
any other ICF facility to other countries
for the
development of nuclear weapons depends upon
the type of weapon pursued:
□ ICF technology lacks relevance to the
development of non-boosted fiss1.On devices.
For proliferators who have the capability
to develop or actually possess simple fission
weapons and are seeking to develop boosted
primaries or thermonuclear weapons, lCF technology
could be of indirect value in helping develop
a- cadre of scientists knowledgeable about
some of the relevant physics and who could
;mprove their codes in some areas. However,
no ICF experiment is possible that win provide
data required to ensure that a specific boosted
primary or thermonuclear secondary wi"
indeed work as designed.
More advanced pro[iferators who already have
the capability to develop thermonuclear weapons
or actually possess such weapons wou[d have
a greater understanding of the physics involved
in thermonuc-ear weapons development and
could make better use of ICF data to provide
code benchmarking with some relevance to
the design of secondaries. ICF activities
could also mahtain a cadre of knowledgeable
sc;ent1-StS. Agal-n, however, no !CF experiment
is possible that win provide data requ1'red
to ensure that a specific secondary will
indeed work as designed.
Category Two proliferatorにつきまして
Final Study p.27最上段にはご指摘の検討内容が述べられております。そして、同ページの二段落目においてCategory
2の国家についての結論が.つぎのとおり記載されております。
However, because of the great complexity
of the boost process and the difference between
the regimes in ICF and of fissile compression
of DT gas (temperature, pressure, scale size,
mix. etc.), it is highly unlikely that the
results of [CF expen'ments would help ensure
that a specific device will indeed boost
as designed. Indeed, ICF data including those
kom NIF would not be necessary for a Category
Two proliferator to develop a boosted pn-mary.
While proliferant nations may not choose
to require such a level of conf;dence, it
remains true that only nuclear explosive
tests could verify the performance of optI'mized
designs beyond simple fission weapons.
IV. Final Studyについて
この報告書は、 Christopher Paine氏を含む多くの方々の広範な視点からの意見を的確に取り上げ、専門家によって十分に検討されて出された最終結論を記載したものであり、
HOYA CORPORATION USAがこの報告書を支持することをHOYA株式会社は尊重するものであります。
HOYA株式会社は、これまでのレーザーガラス共同開発の実態の再調査およぴFinal
Study 等を再確認しました結果,現地時間の平成13年3月26日以降、
NIFへの出荷を再開する事といたします。何卒、ご理解を賜わりたく重ねてお願い申し上げます。
2001年3月22日
HOYA株式会社
|公開質問:1、2、3、4、5回|HOYA回答1、2、3|IFEフォーラム、関電、大阪大学、レーザー研へ|解説|
2001年3月22日
HOYA株式会社
代表取締役 鈴木 洋 様
フォーラム平和・人権・環境
原水爆禁止日本国民会議
議 長 岩松 繁俊
事務局長 佐藤 康英
前略
前回の公開質問状(その2) でも言及したNRDCのクリストファー・ペイン氏から、再度、貴社の2月20日付け回答に関連した資料(米国政府の文書)の提供を得ました。文書の一部及び、文書に添えられた書簡の部分訳をこの質問状の最後に添えてあります。それらは次のようなものです。
(1)1997年4月に米国エネルギー省が出した「NIF施設使用計画」の一部。(Facility
Use Plan of the National Ignition Facility,"
Prepared for Office of Inertial Fusion and
the National Ignition Facility Project, Defense
Programs, U.S. Department of Energy, April
1997.
(2)その他の文書からの抜粋。
(3)書簡の翻訳
これらを参照して、次の3つの点について文書にて回答くださるようお願い申し上げます。前回の質問へのお答えが、今週中にいただけるとのこと、今回の分はそのあとでけっこうです。なお、これらの文書を初め、いくつかの資料をお持ちして、話し合いをさせていただきたいという申し入れを了承いただき、感謝しております。
記
1.ペイン氏は、送ってきた文書に添えた書簡の中で次のように述べているが、これについて貴社はどう考えるか。以上
(1)|公開質問:1、2、3、4、5回|HOYA回答1、2、3|IFEフォーラム、関電、大阪大学、レーザー研へ|解説|
2001年3月13日
HOYA株式会社
代表取締役 鈴木 洋 様
フォーラム平和・人権・環境
原水爆禁止日本国民会議
議 長 岩松 繁俊
事務局長 佐藤 康英
前略
前回の質問に関しての2月20付け貴信「説明書」及び「THE
NATIONAL IGNITION FACILITY(NIF) AND THE ISSUE
OF NONPROLIFERATION」などの資料の送付、ありがとうございました。またその前にも、当方質問状へ、NIFに対する出荷を見合わせることの早い決定を9日にもお知らせ下さり、社会的責任について貴社の関心の高さを、評価させていただいております。
つきましては、説明書では不明瞭な点、及び、下記の米国天然資源防護協議会(NRDC)のクリストファー・ペインの指摘について、前回同様、誠意あるご返事を文書にてお願いいたします。
草々
記
1. 貴社のNIFへの出荷見合わせはいつまでなのか。いつ最終判断を下す予定か。
2.NIFプロジェクトと核拡散・核兵器開発の関連に関する以下の指摘への回答
1)回答では、1998年3月のシンポジウムについて言及し、「NIF計画は、国防技術の維持・拡大を中心に据えたものではない」との結論を得ているとしており、その結論を貴社も支持していると理解されるが、米国エネルギー省のどのような文書に基づきそのような結論が得られるのか具体的に示されたい。貴社が提供された上記資料の8ページには、「NIFの主たる目的は、核兵器に関連した物理学の専門家集団を米国で維持することにある」と述べられている。
なおこの部分については、クリストファー・ペインは次のように述べている。
The maintenance of a cadre of scientists
skilled in high energy density weapon physics,
and the expansion of the US fundamental scientific
understanding of nuclear explosions, is the
overriding rationale for the NIF. NIF is
being constructed at the Department of Energy's
Lawrence Livermore nuclear weapons laboratory,
for the following specific and often stated
purposes:
(1) to gather additional data on the behavior
of nuclear weapon materials, principally
on the Equation-of-State (EOS) and radiation
opacity of such materials, at high temperatures
and pressures, in order to improve the computer
simulation in three dimensions of nuclear
weapon explosions;
(2) to "validate" the predictions
of these new three-dimensional weapon codes
by conducting fusion ignition experiments.
The NIF facility use plan calls for the conduct
of hundreds of nuclear weapons physics experiments
annually. Absent its close and intimate connection
to DOE's nuclear weapons program, the United
States would not be spending at least $4
billion dollars to construct the NIF.
高エネルギー密度兵器物理学に習熟している科学者集団の維持、および核爆発についての米国の基礎科学的な理解の拡大が、NIF計画の最も重要な根本的理由である。
エネルギー省のローレンス・リバモア核兵器研究所でNIFが建設されているのは、以下の特定の目的のためであり、これらは何度も公のかたちで述べられている。
(1)核兵器爆発の3次元コンピュータ・シミュレーションを改良するため、高温高圧下における核兵器物質の挙動データ−−主として核兵器物質の状態方程式(EOS)およびraidation
opacityに関するもの−−をさらに集めること;
(2)核融合点火実験を行なうことにより、これらの新しい三次元の兵器シミュレーション用コードの予想を「確認する」こと。
国家点火施設(NIF)使用計画は、何百もの核兵器物理実験を毎年実施するとしている。エネルギー省の核兵器プログラムとの近密な関係がなければ、米国は、少なくとも40億ドルに達するというNIFの建設費を支払おうとはしないだろう。
2)回答では、核拡散問題について、1995年12月の米国エネルギー省自体の報告書を引用し、「NIFでの研究は、垂直、水平いずれの方向でも核の拡散につながらない」と結論されているとしているが、これについては、ペインは、次のように指摘している。
The study you mentioned below actually admitted
the existence of "technical proliferation
concerns" involving the NIF, but concluded
that they are "manageable." For
example, in the case of a "Category
Two" state that already possesses the
capability to develop a simple single-stage
fission weapon, the report notes:
"research in ICF could provide [the]
state with a cadre of knowledgeable individuals
who could enhance computer codes related
to weapons design activities associated with
equations of state, instability and mix at
[material] interfaces, deuterium-tritium
implosions, and DT burn. NIF, and to a lesser
degree, other openly available ICF might
help a Category Two state discover significant
errors in its [weapon] codes." (引用符""内は貴社送付の資料"
The National Ignition Facility (NIF) and
the Issue of Nonproliferation, Final Study
Prepared by the U.S. Department of Energy,
Office of Arms Control and Nonproliferation
(NN-40), December 19, 1995, pp. 27."より)
言及をされた研究は、実は、NIFに関して「技術的拡散の懸念」の存在を認めながら、しかしそれらが「管理可能」と結論を下したものである。例えば、単純な一段階の核分裂兵器を開発する能力を既に所有するカテゴリー2国家の場合について、報告書には次のようにかかれている:
「ICF部門の研究は、[その]国に対し、核兵器開発に関する、状態方程式(EOS)、[物質の]インターフェース領域における不安定および混合状態、重水素−トリチウム(DT)爆縮、それにDTの燃焼に関連した核兵器設計活動に関わるコンピューター・コードを改良する知識を持った専門家集団を提供することができ得るだろう。NIFは、またより少ない程度に、他の公開、利用可能なICFも、Categroy
2の国家が兵器コードにおける重要なエラーを発見するのを助けるかもしれない。」(貴社送付の資料
27ページより)
回答先: 101−0062 東京都千代田区神田駿河台3−2−11総評会館5F
電話 03−5289−8224 /FAX 03−5289−8223
|公開質問:1、2、3、4、5回|HOYA回答1、2、3|IFEフォーラム、関電、大阪大学、レーザー研へ|解説|
2001年2月9日
フォーラム平和・人権・環境お知らせ
HOYA株式会社は、2001年2月7日の一連の報道に対し、事実関係を調査致しております。事実関係が判るまで、HOYA CORPORATION USAのNIFに対する出荷を見合わせることに致しましたので、お知らせ申し上げます。
〒161-8525 東京都新宿区中落合2-7-5
HOYA株式会社
代表取締役 鈴木 洋
●2月20日付け回答
2001年2月20日
フォーラム平和・人権・環境
原水爆禁止日本国民会議
議 長 岩松 繁俊 様
事務局長 佐藤 康英 様
〒161-8525 東京都新宿区中落合2-7-5
HOYA株式会社
代表取締役社長 鈴木 洋
前略 2月7日付貴信「公開質問状」につきまして、別紙の通り当社の見解をご説明申し上げます。
また、現在も引き続き出荷を見合わせております。
何卒ご理解を賜りたく、宜しくお願い申し上げます。
尚、ご参考までに下記資料を同封させて頂きます。 草々
以上
説 明 書
米国ローレンスリバモア国立研究所が1月24日付けニュースリリースで発表した通り、HOYAコーポレーションUSAでは、大型レーザーガラスの製造技術を開発し、同研究所に建設中の国立点火施設(NIF)に、レーザーガラス板をSCHOTTグラステクノロジー社と共に供給することになっています。
HOYA株式会社では、レーザー核融合発電への応用を目的として、1970年代初めにレーザーガラスの研究開発に着手しました。この取り組みは、レーザー核融合技術の開発を目標に当時発足したばかりの大阪大学工学部レーザー工学研究施設(1976年よりレーザー核融合研究センター)から、高純度で均質性の高いレーザーガラスの供給を求められたことを契機とするものです。
開発されたレーザーガラスは、同研究施設の「激光II号」(1974年完成)に始まり、その後の「激光XII号」(1983年完成)に至るまでの一連のレーザー装置に採用されて来ました。また、このレーザーガラスは他のレーザー核融合研究機関に対しても供給されており、米国ロチェスター大学の「OMEGA」、ローレンスリバモア国立研究所レーザープログラムの「NOVA」等の研究施設においても使用されています。
HOYA株式会社でのレーザーガラスに関する研究は、強力なレーザー光を通しても損傷、破壊しない、高純度で均質なレーザーガラスの製造技術に関するものです。研究は、HOYA株式会社がレーザーガラス材料を開発試作し、上記の各研究機関が試作レーザーガラスのレーザー照射耐性を評価する、という共同研究を軸に進められました手。レーザーの出力が増大することで、それまでは問題とならなかったレーザーガラス中のごくわずかな不均質性や不純物、あるいは、より微細な欠陥を原因とする、新しい損傷、破壊が生ずるため、これを解決するためにレーザーガラスの均質性や純度を更に高める技術を開発したものです。
尚、HOYA株式会社におけるレーザーガラスの研究については、学術論文や特許公報により、随時その内容を公表してまいりました。
今回のニュースリリースで公表されたHOYAコーポレーションUSAの技術は、すでに開発されていた高均質かつ高純度のレーザーガラスを、大量に製造するものです。納入先であるNIFは、ミリメートルサイズの空間に高エネソルギー密度状態を作り出す核物理学の公開多目的研究施設で、米国エネルギー省(DOE)が推進するICFプロジェツクトにおいて、慣性閉じ込め型核融合(ICF)の点火を、世界で初めて実現するための中心的な施設として位置付けられています。ICFは大阪大学レーザー核融合研究センテターでも研究されている核融合の方式であり、ICFに関わる研究は、核物理学分野における基礎研究であると認識しています。
また、NIF計画では、核分裂反応を起こす物質を用いた実験は米国の環境基準(NEPA)の制限から実施不可能とされており、核物質を核爆発直前の状態にまで近づける臨界前核実験と同等視されるような研究はNIFでは行われ得ないと考えています。
また、レーザーガラスは、それ自身が核兵器の製造に使われたり、核兵器に組み込まれたりするものではありません。
NIFで達成されるエネルギー密度はこれまでの同種の施設よりも高いものになるため、その建設に先立ってDOEでは、1995年に三度にわたってパブリック ミーティングを開催し、核拡散への影響を公開の場で議論しています。草案段階での外部識者によるレヴューとパブリック ミーティングを経て同年12月に発表された最終報告書では、「NIFでの研究は、垂直、水平いずれの方向でも核の拡散につながらない」と結論されております。
また、日本では、1998年3月に開催されたICFフォーラム国際シンポジウムにおいて、国際的視点から慣性核融合エネルギー開発に対する議論が展開され、ICFの研究内容は広く公開されており、「その情報から核兵器を作ることは出来ない」こと、及び「NIF計画は、国防技術の維持・拡大を中心に据えたものではない」との結論を得ています。
HOYAコーポレーションUSAでは、これらの結論をもとに、今回のNIFへのレーザーガラスの供給を決定しています。
以上のことから、HOYA株式会社では、レーザーガラスのNIFプロジェクトへの供給は、核兵器開発に直接関わるものではないと認識いたしております。
|公開質問:1、2、3、4、5回|HOYA回答1、2、3|IFEフォーラム、関電、大阪大学、レーザー研へ|解説|
2001年2月7日
HOYA株式会社
代表取締役 鈴木 洋 様
フォーラム平和・人権・環境
原水爆禁止日本国民会議
議 長 岩松 繁俊
事務局長 佐藤 康英
公開質問状
2月7日付けの各紙の新聞報道(共同電)によれば、貴社のアメリカ現地法人「HOYAコーポレーションUSA」がアメリカエネルギー省の「国立点火施設(NIF)」にレーザー光線増幅用の特殊ガラスを納入していることが明らかにされました。この施設は、核兵器の性能維持・改善のための施設であり、その中の心臓部にあたる部品を供給しているとのことでした。しかも、1973年から同研究所との共同開発を進めていたことと同時に、フランスがNIFと同じ核兵器性能維持を目的に建設中のレーザー施設「メガジュール」のレーザーガラスも製造中との報道がなされました。
これらの施設で行われていること(または行われようとしていること)は、核兵器の性能の検証の他に、核兵器技術を進歩させるものとされています。また、そのためにもレーザーガラスが重要な役目を果たすことが知られています。
私たちは、被爆という大きな惨禍を受けた国に住む者として、核兵器の廃絶を願って長年にわたり国内外で被爆の実相を伝えるなど、核廃絶のための運動を行ってきました。また、包括的核実験禁止条約(CTBT)の精神を踏みにじる臨界前(未臨界)核実験に対しても、多くの市民とともに抗議の声を上げてきました。今回の報道の通りであれば、被爆国である日本の企業である貴社に対して見識を疑わざるをえません。
つきましては、今回の報道および貴社の核兵器開発との関わりについて下記のとおり質問いたしますので、社会的責任ある企業として誠意ある回答を文書にて2月20日までにお願いいたします。
記
1 今回の納入が核兵器の性能維持・改善のために使用されることを当初から承知していましたか。
2 1973年からの研究開発とはどのようなものですか。
3 被爆を経験し非核三原則を国是とする日本の企業として、核兵器開発に協力している道議的責任をどう考えますか。
4 フランスにも納入する計画もあると報じられていますが、核兵器開発と結びつくとは考えませんか。
5 貴社納入部品を使用しての実験は、包括的核実験禁止条約(CTBT)の精神に反すると考えますか。
回答先 : 東京都千代田区神田駿河台3ー2−11総評会館5F
電話03−5289−8224/FAX03−5289−8223
|公開質問:1、2、3、4、5回|HOYA回答1、2、3|IFEフォーラム、関電、大阪大学、レーザー研へ|解説|