核情報

2007.7.12

2007年の世界の核状況

  1. 世界の核兵器の総数
  2. 世界の核兵器量の推移
  3. 米国の核兵器 2007年
  4. 米国の核兵器配備・保管場所
  5. 米国の核兵器削減計画
  6. ロシアの戦略核 
  7. ロシアの非戦略核
  8. 英国核戦力 2007年1月
  9. フランス核戦力 2007年1月
  10. 中国の核戦力 2007年1月
  11. インドの核戦力 2007年1月
  12. パキスタン核戦力 2007年1月
  13. イスラエル核戦力 2007年1月

世界の核兵器の総数

「米国科学者連合(FAS)」のハンズ・クリステンセンと「自然資源防護協議会(NRDC)」のロバート・ノリスによると、現在世界で保有されている核兵器の数は、2万6000発近くに達する。これらのうち、1万1000発以上が、短時間で使用可能なものと見なされている。1986年の約7万発という保有数と比べると、相当少なくなってはいるが、冷戦終焉後十数年も経つことを考えると、あまりにも大きな数だ。現在の保有数約2万6000発の威力を合わせると、高性能爆薬TNT換算で3000メガトン。1メガトンは、1000キロトン。広島に投下された原爆の威力の推定値16キロトン(2003年3月発表のDS02)から計算すると、3000メガトンは広島の約18万7500発分になる。

下は、FASの「核情報プロジェクト」のサイトにある2007年の世界の核兵器の表(2007年5月2日更新)とニューズ・ウイークのサイトにある核地図(FASのクリステンセンの協力で作成)のメガトン数を合わせたものである。(ただし、ニューズ・ウイークの核地図の説明で広島の何発分にあたるかを計算するのに使われたの広島原爆の推定値は古い数字)。

2007年 世界の核兵器の現状
      核弾頭総数 総メガトン
国名 戦略核弾頭 戦術核弾頭 作戦配備 保有総数  
ロシア 3,340 2,330 5,670 15,000 1,587
米国 4,663 500 5,163 9,938 1,299
中国 145 ? 145 200 273
フランス 348 n.a. 348 >348 46.8
英国 160 n.a. <160 200 14.4
イスラエル 80 n.a. n.a. 80 1.6
パキスタン 60 n.a. n.a. 60 0.7
インド 50 n.a. n.a. 50 0.60
北朝鮮 <10 n.a. n.a. <10 0.01
合計 8,846 2,830 >11,616 25,886 3,000
  • n.a. : 該当しない
出典 Federation of American Scientists/Natural Resources Defense Council 
http://www.nukestrat.com/nukestatus.htm

FAS/NRDCは、2005年まで400発としていた中国の数字を、2006年から新しく得られた情報を元に200発としている。

カーネギー国際平和財団が2007年6月に発表した核拡散状況を示す地図 (pdf)では、各国の推定値は次ぎのようになっている。

各国保有核の推定
中国410
フランス350
インド75−110
イスラエル100−170
パキスタン50−110
ロシア約1万6000
英国200
米国約1万300
合計約2万7600
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世界の核兵器量の推移

グラフ

世界の核兵器量の推移


表 NPTの規定による核保有国5ヶ国の核兵器

核保有国*, 1945 - 2006 *NPTの規定による
米国 ソ連・ロシア 英国 フランス 中国 合計
19456    6
194611    11
194732    32
1948110    110
19492351   236
19503695   374
195164025   665
19521,00550   1,055
19531,4361201  1,557
19542,0631505  2,218
19553,05720010  3,267
19564,61842615  5,059
19576,44466020  7,124
19589,82286922  10,713
195915,4681,06025  16,553
196020,4341,60530  22,069
196124,1262,47150  26,647
196227,3873,322205  30,914
196329,4594,238280  33,977
196431,0565,2213104136,592
196531,9826,12931032538,458
196632,0407,089270362039,455
196731,2338,339270362539,903
196829,2249,399280363538,974
196927,34210,538308365038,274
197026,66211,643280367538,696
197126,95613,0922204510040,413
197227,91214,4782207013042,810
197328,99915,91527511615045,455
197428,96517,38532514517046,990
197527,82619,05535018818547,604
197625,57921,20535021219047,536
197725,72223,04435022820049,544
197824,82625,39335023522051,024
197924,60527,93535023523553,360
198024,30430,06235025028055,246
198123,46432,04935027433056,467
198223,70833,95233527436058,629
198324,09935,80432027938060,882
198424,35737,43127028041562,753
198524,23739,19730036042564,519
198624,40145,00030035542570,481
198724,34443,00030042041568,479
198823,58641,00030041043065,726
198922,38039,00030041043562,525
199021,00437,00030050543059,239
199117,28735,00030054043553,562
199214,74733,00030054043549,022
199313,07631,00030052543545,336
199412,55529,00025051040042,715
199512,14427,00030050040040,344
199611,00925,00030045040037,159
199710,95024,00026045040036,060
199810,87123,00026045040034,981
199910,82422,00018545040033,859
200010,57721,00018547040032,632
200110,52720,00020035040031,477
200210,47519,00020035040030,425
200310,42118,00020035040029,371
200410,35818,00020035040029,308
200510,29517,00020035040028,245
200610,10416,00020035020026,854
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米国の核兵器 2007年

米国の核兵器 2007年
  名前 運搬手段数 配備年 搭載個数 弾頭名X威力kt 配備/スペア
ICBM ミニットマンV  
Mk-12 150 1970 1 W62 x 170 150
Mk-12 50 1970 3 W62 x 170 (MIRV) 150/30
Mk-12A 300 1979 2-3 W78 x 335 (MIRV) 750/35
合計 500     1,050/65
SLBM トライデント II D5*
Mk-4 n/a 1992 6 W76 x 100 (MIRV) 1,632/80
Mk-5 n/a 1990 6 W88 x 455 (MIRV) 384/20
合計 336     2,016/100
爆撃機 B-52Hストラトフォートレス 94/56** 1961 ALCM/W80-1 x 5-150 1,000/30
      ACM/W80-1 x 5-150 400/20
B-2A 21/16 1994 B61-7, -11, B83-1 555
合計 115/72     1,955/50***
戦術核 トマホーク SLCM 325 1984 1 W80-0 x 5-150 100
B61-3, -4 爆弾 n/a 1979 0.3-170 400
合計 325     500
総計       ~5,521/215
  • ACM=最新型巡航ミサイル
  • ALCM=空中発射巡航ミサイル
  • ICBM=大陸間弾道ミサイル
  • MIRV=複数目標多弾頭
  • SLCM=潜水艦発射巡航ミサイル
  • SLBM=潜水艦発射弾道ミサイル
  • *ヘンリー・ジャクソンとアラバマのトライデントII D5 SLBMへの改修はそれぞれ、2007年と2008年に終了し、D5を搭載できる戦略原潜の数は14隻となる。
  • **94は総機数(訓練・実験・予備用を含む)、56は実際のミッションに割り当てられている作戦配備機数。
  • ***核爆弾と巡航ミサイルを多数維持することによって、ミッションにより多数を搭載することが可能になる。
出典 U.S. nuclear forces, 2007 (pdf);
Bulletin of the Atomic Scientists, January/February 2007 

上のデータは、「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」誌(2007年1/2月号)のもの。

戦略攻撃兵器削減条約(SORT=モスクワ条約に従った削減が進行中のため数字は、次々と変わっていく。

2007年SIPRI年鑑では、配備核が戦略核4545発と戦術核500発の合計5045発となっている。これに「状況対応」や「非現役」のもの約5000発を合わせて、1万発強というのが保有総数となる。

FASの「核情報プロジェクト」のサイトにある2007年の世界の核兵器の表(2007年5月2日更新)では、配備核の合計は、戦略核4663発と戦術核500発を合わせた5163発、総保有数は9938発となっている。(これら3つのデータは、同じ研究者らによるもの)

米国は、保有数9938発に加えて、解体された核兵器のプルトニウム・ピット1万5000発分を保有している。(水爆の引き金なるのが、プライマリー=第一段階と呼ばれる部分。この芯の部分がピットと呼ばれる。)このうち5000発分がいざというときに備えて貯蔵されている。残りの1万発分は、余剰と宣言されていて、処分の対象となる

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米国の核兵器配備・保管場所

ブリティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ誌2006年11/12月号の57ページの地図 (pdf)が米国の核兵器の配備・保管場所を示している。

この地図は、米国がヨーロッパの6ヶ国8基地に核爆弾400個を配備していることを示している。6ヶ国とは、ベルギー、ドイツ(2基地)、イタリア(2基地)、オランダ、トルコ、英国である。ただし、執筆者の一人、ハンズ・クリステンセンは、2007年7月の報告 で、ドイツのラムステインにある基地の核爆弾が撤収され、ヨーロッパ(6ヶ国7基地に配備されている米国の核爆弾の数は、350になったようだとしている。

 参考 

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米国の核兵器削減計画

米国の保有核兵器推移推定 2007-2012
核弾頭の種類 2007年 2012年 解体される核弾頭
現役配備 対応/非現役*  合計 現役配備 対応/非現役*  合計
B61-3 200 186 386 200 50 250 136
B61-4 200 204 404 200 50 250 154
B61-7 215 224 439 120 300 420 19
B61-10 0 206 206 0 0 0 206
B61-11 20 21 41 20 15 35 6
W62 325 255 580 0 0 0 580
W76 1344 1686 3030 0 800 800 1430
W76-1 0 0 0 768 32 800 0
W78 550 244 794 200 200 400 394
W80-0 100 189 289 0 0 0 289
W80-1 1452 354 1806 300 228 528 1278
B83-0 0 298 298 0 293 293 5
B83-1 323 3 326 100 220 320 6
W84 0 383 383 0 0 0 383
W87 50 502 552 300 247 547 5
W88 384 20 404 384 20 404 0
合計 5163 4775 9938 2592 2455 5047 4891**
  • *現役配備とは、ICBMやSLBM、爆撃機及び攻撃機などの配備されたシステムに搭載されている核弾頭。対応とは、完全に維持されているが、作戦配備はされておらず、貯蔵状態に置かれている核弾頭。
  • **国家核安全保障局によると、2007−2012年の期間に解体用に撤収された核弾頭の解体は、2023年までに終了する予定。
出典 New Estimates of the U.S. Nuclear Weapons Stockpile, 2007 and 2012, NRDC 

 2003年6月1日に発効した戦略攻撃兵器削減条約(SORT=モスクワ条約)は2012年末までに両国の配備戦略核弾頭の数を2200発以下にすることを定めている。ただし、14隻ある戦略潜水艦の内、交替でドックに入れて検査する2隻分(240発)は配備戦略核に数えないという方式を米国が一方的に採用しての計算である。

米国は、保有核を「現役(アクティブ)」と「非現役(イナクティブ)」の二つに分類する。「現役」は、トリチウムその他の寿命の短い構成要素を取り外していないものであり、最新の弾頭改善を加えてある。これには実際に配備中の弾頭の他、そのスペア、さらに短期間で配備可能な「状況対応(レスポンシブ)」用が含まれる。「非現役」は寿命の短い構成要素をはずされたものである。こちらは、配備に数週間から数年かかる。この他に、保有核とは数えられなくなって、パンテックスの工場での解体を待つものがある。

上の表は、2012年までの削減計画についてNRDCが推定(原文)したものである(2007年5月2日更新)。

NRDCは、現在9938発の保有数が2012年末には5047発になると推定する。このうち、モスクワ条約での数え方に従った配備戦略核は2192発となる。

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ロシアの戦略核 

ロシアの戦略攻撃核兵器 2007年
  種類 名前 運搬手段数 配備年 搭載個数 弾頭名X威力kt 弾頭総数
ICBM SS-18 Satan 80 1979 10 x 550/750 (MIRV) 800
SS-19 Stiletto 126 1980 6 x 550/750 (MIRV) 756
SS-25 Sickle 242 1985 1 x 550 242
SS-27 Topol-M 42 1997 1 x 550 42
SS-27A Topol-M1 3 2006 1 x 550 (?) 3
合計   493     1,843
SLBM SS-N-18 M1 Stingray 5/80 * 1978 3 x 200 (MIRV) 240
SS-N-23 Skiff 6/96 1986 4 x 100 (MIRV) 384
合計   11/176     624
爆撃機 Tu-95 MS6 Bear H6 32 1984 6 x AS-15A ALCMs 又は爆弾 192
Tu-95 MS16 Bear H16 32 1984 16 x AS-15A ALCMs又は爆弾 512
Tu-160 Blackjack 14 ** 1987 12 x AS-15B ALCMs, AS-16 SRAMs, 又は爆弾 168
合計   78     872
  総計         ~3,339***
  • ICBM=大陸間弾道ミサイル
  • SLBM=潜水艦発射弾道ミサイル
  • MIRV=複数目標多弾頭
  • ALCM=空中発射巡航ミサイル
  • SRAM=短距離攻撃ミサイル
  • *2005年に就役する予定だった2機のTu-160は、まだ配備されていない。
  • **これに加えて、9300発の戦略及び非戦略核弾頭が予備または解体待ち状態にあると推定されている。
Russian nuclear forces, 2007,  (pdf)
Bulletin of the Atomic Scientists March/April 2007 
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ロシアの非戦略核

ロシアの非戦略及び防衛核兵器 2007年
  種類 名前 運搬手段数 配備年 搭載個数 X威力kt 弾頭総数
ABM 51T6/53T6 Gorgon/Gazelle 
32/68 1989/1986 1 x 1000/10 100
防空 SA-10 Grumble 1,900 1980 1 x 低威力 600
陸上配備航空機 爆撃機/戦闘機 n/a ~490 n/a ASM 又は爆弾 974
海軍 潜水艦/水上艦/戦闘機 n/a n/a n/a SLCMs, ASWs, SAMs,ASMs, 爆弾又は魚雷 655
  総計         2,329
  • ABM=弾道弾迎撃ミサイル
  • SLCM=潜水艦発射巡航ミサイル
  • ASW=対潜水艦兵器
  • SAM=地対空ミサイル
  • ASM=空対地ミサイル
出典 Russian nuclear forces, 2007 (pdf),  
Bulletin of the Atomic Scientists March/April 2007
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英国核戦力 2007年1月

種類及び名称配備数最初の配備年射程(km)搭載弾頭弾頭数
SLBM
Trident II (D-5)
481994>74001-3 x 100 kt160

弾道ミサイル原子力潜水艦(SSBN = 戦略原潜)バンガード級
名称最初のパトロール
バンガード1994年12月
ビクトリアス1995年12月
ビジラント1998年6月
ベンジャンス2001年12月

SLBM=潜水艦発射弾道ミサイル 

出典 

2007年SIPRI年鑑

Bulletin of the Atomic Scientists, British Nuclear Forces, 2005 (pdf)

●説明

1隻の搭載ミサイルは、最大16基。

米国からリースされているミサイルの合計は58基。

保有する弾道ミサイル原子力潜水艦(SSBN)4隻。

ミサイル1基当たりの核弾頭は、最大3発。

どの時点をとってもパトロール(哨戒)に出るのは1隻のみで、搭載核弾頭は最大48発(16X3)。

現役弾頭数は約160発。

 4隻のSSBNのうちの核弾頭を積めるのは3隻。(4隻目に搭載するのに必要な弾頭を保有していない。)

 実際の配備可能数=3隻で144発(3X16X3)。

非現役の予備の弾頭が1隻分あるとすると、保有弾頭数合計は約200発となる。

トライデントII(D-5)ミサイルの多くが、3個ではなく1個の核弾頭を搭載していると見られている。しかも、その威力は、100ktではなく、それより相当低い威力に設定されていると見られている。水爆として爆発させず、その引き金になるプライマリー(=第1段階=核分裂爆破装置)だけを爆発させる可能性が考えられる。

●核兵器国以外への核攻撃について

英国の核兵器は、大規模な戦略的軍事的脅威を抑止する手段としての価値を持ち続けており、英国の最終的安全を保障する役割を持ち続けている。しかし、我々は、とりわけ懸念国やテロリスト組織の指導者らに対し、我々の全ての軍事力は、抑止の一部を成すものであり、我々は広範な報復手段を持っていることを明らかにしておきたい。我々は、自衛のためには全ての必要な措置をとる用意があることを示すことによって、これら指導者らに影響を与えなければならない。

英国国防省2002年「戦略的国防見直し」p. 12

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フランス核戦力 2007年1月

タイプ配備数最初の配備年射程(km)*搭載核弾頭核弾頭数
地上配備爆撃戦闘機
ミラージュ 2000N60198827501 x 300 kt ASMP50
航空母艦(シャルル・ドゴール)配備艦上攻撃機
シュペル・エタンダール2419786501 x 300 kt ASMP10
潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)**
M454819966000***6 x 100 kt288

ASMP=空中発射巡航ミサイル

原注

  • * 航空機の「射程」は、参考として挙げられているに過ぎない。実際のミッションは、飛行形態や搭載兵器によって異なる。
  • ** ル・トリオンファン級弾道ミサイル原子力潜水艦(SSBN)第4番艦(最後)ル・テリブルは、2010年に、ランフレクシブルに取って代わり、射程を長くした潜水艦発射弾道ミサイルM51.1 を搭載するようになる。
  • *** 潜水艦発射弾道ミサイルM45の射程は、フランス議会の国家防衛委員会の2001年の報告書では、4000kmとなっている。

出典

2007年SIPRI年鑑

●説明

空中発射巡航ミサイル(ASMP)

 製造総数は、90。

 ASMP搭載用の核弾頭TN81(300kt)製造総数は80。

 作戦配備の核弾頭搭載ASMPの数は、60と推定される。

 (この他に、非現役で貯蔵されているものがある可能性がある。)

潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)

 弾道ミサイル原子力潜水艦4隻

  ルトリアムファン級 3隻

  ランフレクシブル級 1隻

 各弾道ミサイル原子力潜水艦に搭載可能な潜水艦発射弾道ミサイルM45の数 16

 各潜水艦発射弾道ミサイルM45に搭載可能な核弾頭TN−75(100kt)の数 6

弾道ミサイル原子力潜水艦(戦略原潜)は、2010−15年から新型ミサイルM51.1(射程8000km)を搭載予定。M51.1は、TN−75を6個まで搭載可能。

●核兵器国以外への核攻撃について

2001年9月11日の攻撃の直後に強調した通り、核抑止は狂信的なテロリストに対する抑止を意図したものではない。しかし、我々に対して、テロリスト的手段を使おうとする国家指導者、そして、大量破壊兵器を何らかのかたちで使うことを考える者は、自らを、我々の側からの断固たる適合した対応に曝すことになることを理解しなければならない。そして、この対応は、通常兵器によるものであるかもしれないし、異なる種類のものであるかもしれない。・・・・

核抑止は、当初から、我々の環境、そして、私が先に想起したばかりの脅威分析に適応──その精神及びその手段において──し続けている。我々は、我々が重要と見なすものを攻撃しようと考える強国に対してあらゆる損害を与えられる立場にある。地域的大国に対しては、我々の選択肢は、非行動か壊滅的攻撃かというものではない。我々の戦略的戦力の柔軟性と対応性によって、我々の対応を権力中枢や行動能力に対して直接行使することができる。我々の核戦力はそのために適切なかたちを取っている。例えば、潜水艦のミサイルの一部において核弾頭の数が減らされているのは、このためである。

核兵器の使用に関する我々の考え方は、変わっていない。紛争の際に、軍事目的で核の手段を使うことは、いかなる場合においても、あり得ない。この精神において、核戦力は、ときどき『非使用の兵器』と呼ばれる。しかし、この表現は、我々の核兵器使用の決意と能力についていかなる疑問をも持続させるものであってはならない。核兵器を使用するぞという信頼できる威嚇は、我々に対して敵対的意図を持つ指導者の上に永久にのしかかる。彼らに道理をわきまえさせ、彼らの行為が、彼ら自身及び彼らの国家に対しもたらす途轍もないコストについて理解させることが肝要である。さらに、我々は、我々の重要物を守るために我々の決意を示す目的で最終的警告という手段に訴える権利を常に留保すると言うことことは言うまでもない。

(シラク大統領:2006年1月19日)

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中国の核戦力 2007年1月

タイプ
名称
配備数最初の配備年射程(km)a搭載核弾頭核弾頭数
戦略核兵器
陸上配備ミサイル
DF-3A1619713100b1 x 3.3 Mt16
DF-4221980>55001 x 3.3 Mt22
DF-5A201981130001 x 4−5 Mt20
DF-21A3519912100b1 x 200−300 kt35
DF-310(2007)~72501 x ?0
DF-31A0(2008−2010)~112701 x ?0
小計93   93
潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)
JL-1c121986>17701 x 200−300 kt12
JL-20(2008−2010)>80001 x ?0
小計12   12
 
航空機d
H-620196531001 x 核爆弾~20
Qian-5攻撃機 その他?1972−??1 x 核爆弾~20
小計>20   ~40
戦略核合計    ~145
非戦略核
短射程弾道ミサイル (DF-15 及び DF-11)    ?
合計    ~145f
  • DF=東風
  • JL=巨浪
  • ? = 不明
  • ~=約
原注:
  • a 航空機の「射程」は、参考として挙げられているに過ぎない。実際のミッションは、飛行形態や搭載兵器によってことなる。
  • b DF-3A及びDF-21Aの射程は、通常報じられているより長い可能性がある。
  • c JL-1(潜水艦発射弾道ミサイル)は、完全な配備状態には一度もなっていない。
  • d 10ktから3Mtの間の威力の核爆弾の少量のストックが航空機による投下用に存在していると考えられている。中国の航空機は、核兵器の「運搬」を主要任務としたものではないと考えられている。航空機の数は、核搭載可能なバージョンのみのものである。
  • e 戦術核弾頭の存在は、極めて不確かだが、1970年代の数回の低威力核実験と、1980年代及び90年代の米国政府のステートメントは、幾つかの戦術核弾頭が開発されたことを示唆している。
  • f この他にも、貯蔵中の核弾頭があると考えらる。核弾頭総保有量は、200発程度と考えられる。

出典 

2007年SIPRI年鑑

●説明

核弾頭総保有量は約200発、そのうち配備状態にあるのは、約145発で、残りは予備に保存されているとするのが、SIPRI執筆者らの推測。

カーネギー平和財団の核拡散地図 (pdf)は、総数を410発としている。

ジェフリー・ルイスは、Bulletin of the Atomic Scientists(2005年5-6月号)の論文 (pdf)で配備数を80発程度に過ぎないとしている。

唯一の弾道ミサイル原子力潜水潜水艦である夏型(092型)原子力潜水艦(1980年代製造の1隻のみ存在)は、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)(巨浪1=中距離、固体燃料、短弾頭)を12基搭載と見られるが、夏型原子力潜水艦は、抑止パトロールに出たことがない。

参考:

新型弾道ミサイル原子力潜水艦「ジン(晋)型(094型)」(中国遼寧省大連近郊の小平島海軍基地:2006年末撮影)及び「夏型(092型)」の衛星写真及び分析(米国科学者連合(FAS)ハンズ・クリステンセン)英文

●核兵器国以外への核攻撃について

自衛的核戦略の追求

中国の核戦略は、国の核政策及び軍事戦略に従ったものである。その基本的目標は、他の国が中国に対して核兵器を使うこと、あるいは、使うと威嚇することを抑止することにある。中国は、いついかなる状況においても核兵器を先に使わないという政策[先制不使用政策]を守る立場を固持する。中国は、無条件に非核兵器国あるいは非核兵器地帯に対しては核兵器を使用したり、使用の威嚇をしたりしないと約束するとともに、核兵器の包括的禁止及び廃絶を支持する。中国は、自衛的反撃と核兵器の限定的開発という原則を守り、国家の安全保障の必要を満たすことのできる効率的で贅肉のない核戦力を築くことを目指す。中国は、その核兵器の保安と信頼性の保障に努力し、信頼性のある核抑止力を維持する。中国の核戦力は、中央軍事委員会(CMC)の直接の指揮下にある。中国は、その核戦力の開発において、多大な抑制を行使している。中国は、他のいかなる国とも核軍拡競争に入ったことはないし、これからも決して入らない。

2006年中国国防白書「II 国防政策」2006年国防白書目次

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インドの核戦力 2007年1月

種類射程(km)a有効搭載量(kg)現状
陸上配備弾道ミサイル
プリトビ I(P-I)1508001994年就役 核運搬の役割を持つと信じられている。
アグニ Ib>70010002004年インド陸軍に就役
アグニ II>200010002004年インド陸軍に就役c
海上配備弾道ミサイルd
ダヌーシュ40010002006年就役
航空機e
ミラージュ2000H ヴァジュラ18506300自由落下核爆弾運搬用に認証との報道
ジャガーISシャムシャー140047604飛行中隊の一部は核運搬の役割を負っているかもしれない。
原注
  • a ミサイルの有効搭載量は、射程を最大にするために減らさなければならないかもしれない。航空機の「射程」は、参考として挙げられているに過ぎない。実際のミッションは、飛行形態や搭載兵器によって異なる。
  • b もともとのアグニI(現在はアグニとして知られる)は、技術実証プログラムで、1996年に終了。
  • c 米国空軍は、2006年3月に、アグニIIは「未配備」と報告している。
  • d インド政府は、2006年に、潜水艦発射弾道ミサイル(サガリカ)を開発していないと言明。
  • e インド空軍の所有機で核の役割を担うのに適したものとしては、ミグ27(バハドゥール)とSu-30MKIがある。Su-30MKIは、空中給油機IL-78で給油可能。
出典

2007年SIPRI年鑑

●説明

2005年末のプルトニウム推定保有量の上限520kgに基づくと、インドは100発以上の核兵器を持つ能力を持つことになり、約50発保有とする推定は、控えものものだとSIPRI年鑑は、説明。

インドの核弾頭は、運搬手段には搭載されておらず、核弾頭の一部は組み立てられないままで貯蔵されている可能性もあると見られている。

参考

● 先制不使用問題

「インドは、核攻撃を先にかけることはしないが、抑止が働かなかった場合には、厳しい報復措置で応じる。」

「核兵器の先制不使用(no-first use)がインドの基本的コミットメントであるから、核兵器を所有する他の国々に先制使用を禁止する国際条約に参加するよう説得するためにあらゆる努力がなされるものとする。」

『インドの核ドクトリンに関する安全保障諮問委員会報告書草案』1999年8月17日 (英文

「生物兵器または化学兵器による大規模な攻撃が、インドに対して、あるいは、どこであれインド軍に対してかけられた場合には、インドは、核兵器による報復のオプションを留保する。」

2003年1月4日「安全保障内閣委員会(CCS」プレスリリース (英文

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パキスタン核戦力 2007年1月

種類射程(km)a有効搭載量(kg)現状
短距離弾道ミサイル
アブダリ(ハトフ2)180−200250−4502006年2月19日実験
ガズナビ(ハトフ3)90b500−7002004年就役。配備発射台数は50以下。
シャヒーンI(ハトフ4)>450c750−10002003年就役。配備発射台数は50以下。
中距離弾道ミサイル
ガウリI(ハトフ5)~1300700-10002003年陸軍就役。配備発射台数は50以下。
航空機
F-16A/B1600450034機が3飛行中隊に配備。おそらくは核運搬の役割を持つ。
原注
  • a ミサイルの有効搭載量は、射程を最大にするために減らさなければならないかもしれない。航空機の「射程」は、参考として挙げられているに過ぎない。実際のミッションは、飛行形態や搭載兵器によって異なる。
  • b 米国国家航空宇宙情報センター(NASIC)は、最大射程を400kmとしている。
  • c 非公式情報源の一部は、射程を600〜1500kmとしている。
出典

2007年SIPRI年鑑

●説明

パキスタンの高濃縮ウランと分離済みプルトニウムの保有量に関する最近の推定からすると、理論的には、70−100発の核弾頭を持てることになり、約60発と推定は控えめのものだとSIPRI年鑑は説明。

参考

●先制使用問題

インドの通常兵器の圧倒的優位を理由にパキスタンは、先制不使用の立場をとっていないが、核兵器を持たない国に対しては、核の使用も核による威嚇もしないとしている。

「我が国は、非核兵器国に対して核兵器を使用したり、使用するとの威嚇をしたりしないと誓言してきています。」

2006年8月3日 ジュネーブの軍縮会議(CD)でのマスード・カーン・パキスタン代表の演説 (消極的安全保障に関する議論において) (英文 pdf

●参考 巡航ミサイル ハトフ7

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イスラエル核戦力 2007年1月

種類射程(km)a有効搭載量(kg)現状
航空機b
F-16A/B/C/ D/I Falcon1600540205機。一部は核運搬に認証と考えられている。
弾道ミサイルc
ジェリコII1500−1800750−1000約50基。1990年配備開始。2001年6月27発射実験。
潜水艦
ドルフィン型(800型)  核搭載可能巡航ミサイルを搭載との噂があるがイスラエル当局関係者はこれを否定。
原注:
  • a ミサイルの有効搭載量は、射程を最大にするために減らさなければならないかもしれない。航空機の「射程」は、参考として挙げられているに過ぎない。実際のミッションは、飛行形態や搭載兵器によって異なる。
  • b イスラエルの25機のF-15Iの一部も長距離核運搬の役割を担っているかもしれない。
  • c 打ち上げロケット「シャヴィト」も、弾道ミサイルに改造すれば、775kgの搭載物を4000kmの距離まで運ぶことができる。1973年配備開始のジェリコIは、もう現役状態にはないと考えられている。
出典

2007年SIPRI年鑑

●説明

イスラエルの保有量は、100−200発とするのが一般的。

SIPRI年鑑によるイスラエルのプルトニウム保有量の推定(0.56t)を使うと、1発5kgとして、約110発。この一部しか使っていない可能性もある。1999年の米国国防情報局の推定は、60−80発。

イスラエルの核兵器は、すぐには使用できないかたちで貯蔵されているとするのが一般的な見方。


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