核情報

2005.3.7〜

核兵器用プルトニウムの生産に適した重水炉の建設を進めるイラン

3月1日、国際原子力機関(IAEA)のピエール・ゴールドシュミット副事務局長(保障措置部担当)は、IAEA理事会への報告 において、「イランの政府関係者は、重水研究炉(IR−40)プロジェクトが進行しているのと発言をしている」と述べました。米国の「科学・国際安全保障研究所(ISIS)」がそれを裏付ける衛星写真を同研究所のサイトに載せています。同一の場所の2004年2月29日、2005年2月17日、2月27日の写真を並べており、建設中の重水炉の隣には、ほぼ完成した重水製造工場が写っています。

イランの核開発疑惑で最大の焦点となっているのは、IAEAに申告せずにウラン濃縮設備の建設をイランが進めていたこと、そして、実際にウラン濃縮の作業を行った可能性を示す微量の濃縮ウランが関連施設で検出されていることです。しかし、核兵器用にプルトニウムを生産するのに適した重水炉の建設の進行は重要な意味を持っています。IAEA理事会は、2004年9月18日に採択した決議(pdf)において、ウラン濃縮及びプルトニウム分離関連施設の建設停止の約束を遵守することを要求すると同時に、その第4項において、

「さらなる信頼醸成措置として、重水減速の研究炉の建設開始の決定を自主的に再検討するようにイランに再度要請する」

と述べています。またイランに対する強硬な措置を主張する米国との間に入って調整をはかろうとしているヨーロッパ諸国も、重水炉計画の中止を求めています。

アラクで建設が進められているこの炉(重水減速・冷却原子炉)は、運転が始まれば年間8−10kgのプルトニウム(最高で核兵器2個分)が生産されることになります。

運転に必要な重水は、炉に隣接して建設されている重水製造工場で作られることになっています。このプラントは、ほぼ完成しており、2005年2月7日、イランのロウハニ最高安全保障委員会事務局長は、同工場での生産が数週間内に可能になるかもしれないとテレビで述べています。

ただし、再処理施設がなければ、炉でできたプルトニウムを分離して取り出すことはできません。ISISは、再処理工場の建設を示す衛星写真はないと分析しています。

ゴールドシュミット副事務局長の報告は、また、イランが少なくとも1987年には核兵器開発のについて話し合っていたことを明らかにしています。

「2005年1月12日のテヘランでの会合において、イランは、外国の仲介者が1987年にイランに対して出したオファーを示すとされる手書きの1枚の文書をIAEAに提示した。文書からは、オファーが正確に何をもたらすものであったかは、はっきりしないが、イランは、オファーは遠心分離技術の取得に関するものだったと述べている。この文書は、オファーが次のものの提供を含むものであったことを示唆している。
  • 分解された遠心分離器のサンプル1基(設計図、説明、生産の仕様)
  • 『完全なプラント』の設計図、仕様、及び計算
  • 遠心分離器2000基分の材料
 文書はまた、補助真空・電気駆動機器、ウラン再転換及び鋳造能力を提供するとのオファーも示している。イランは、実際に提供されたのはこれらの項目の一部だけであり、それらの項目は全てIAEAに申告されていると述べている。この情報は、まだ分析途中である。IAEAは、オファーに関連した全ての文書をIAEAの検討に供するように要請した。」

エルバラダイ事務局長は、2月28日、記者会見において、「これらの問題については、まだ作業を進めているところ」と述べています。

参考

イラン核開発データ


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