核情報

2005.12.27

中間貯蔵の基礎知識

  1. 中間貯蔵とは?
  2. なぜ必要なのか?
  3. どのような形で貯蔵するのか?
  4. どこに作られるのか?
  5. むつ市の中間貯蔵施設計画はどのようなものか。
  6. むつ市が貯蔵施設を望む理由は?
  7. むつ市の貯蔵施設に関する報道記事は?
  8. 法律ではどう定められているのか?
  9. 1999年の原子炉等規制法改正の理由は?
  10. 1999年6月の原子炉等規制法改正の政治的背景は?
  11. 三県知事提言の中身は?
  12. 「三県知事提言」後の国の動きをまとめると?
  13. 関連決定・報告書
  14. リサイクル燃料資源とは?
  15. 中間貯蔵したリサイクル資源は、必ずリサイクルされるのか?
  16. 外国の核軍縮・核拡散防止の専門家の間に日本で中間貯蔵計画がでていることを歓迎する声が強いのはなぜか。
  17. 中間貯蔵は、外国の核拡散問題の専門家らが望むように、六ヶ所再処理工場の運転延期をもたらす要素になるのか。
  18. 政府および業界のサイトの全般的解説
  19. 市民団体の解説

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中間貯蔵とは?

原子力発電所からでた使用済み燃料を「中間的」に貯蔵すること。

その後は、

  1. 再処理して、発生した廃棄物は処分場に持っていく。
  2. 再処理しないでそのまま処分場に持っていく。

という二つの道がある。

日本では、全量再処理を前提とした 1. のための中間貯蔵施設ということになっている。

2005年原子力政策大綱参考資料の用語集では次のように定義している。

中間貯蔵

原子力発電所で使い終わった燃料(使用済燃料)を、再処理するまでの間、当該発電所以外の使用済燃料貯蔵施設において貯蔵すること。1999年6月原子炉等規制法の改正により中間貯蔵に関する事業、規制等が定められた。

「中間」期間の長さについての定義はない。

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なぜ必要なのか?

日本全国の原子力発電からは年間約1000トンの使用済燃料が発生しており、年間800トンの処理能力を持つ六ヶ所再処理工場がフル操業したとしても、毎年200トンずつあまりが生じる。

2005年原子力政策大綱は、次のように述べている(38ページ)。

使用済燃料は、当面は、利用可能になる再処理能力の範囲で再処理を行うこととし、これを超えて発生するものは中間貯蔵することとする。

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どのような形で貯蔵するのか?

原子力発電所で通常使われているようなプール方式(湿式)と水を使わない乾式がある。日本では、乾式としては、金属製の輸送容器を使った金属キャスク方式が原子力発電所(東電福島第一原子力発電所と日本原子力発電東海第二発電所)でも使われており、中間貯蔵用にもこの二つの方式が先行して検討されている。

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どこに作られるのか?

原子力発電所の敷地内と敷地外に設ける両方の選択肢がある。

日本では、「中間貯蔵施設」というと、通常、原発敷地外の施設を指す。

第一号として、青森県むつ市に2010年操業開始を目指して東京電力と日本原子力発電両社のための施設を建設する計画が進められている。

2005年原子力政策大綱は、その添付資料(132ページ, pdf)で、全量再処理政策をとっても、「2050年度頃までに順次3〜6か所が必要。」としている。

海外では、「原発敷地内中間貯蔵」という概念もある。

たとえば、ドイツでは、1998年に使用済み燃料輸送用キャスクの汚染が判明した結果、敷地外中間貯蔵施設への輸送が中断したことを受けて、敷地内での中間貯蔵施設の設置もおこなわれるようになった。

 参考:原子力百科事典(文部科学省委託サイト)
ドイツ中間貯蔵許可申請・取得状況(2000年)

 ドイツ中間貯蔵施設の現状

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むつ市の中間貯蔵施設計画はどのようなものか。

青森県およびむつ市と東京電力および日本原子力発電が2005年年10月19日に協定を結んで設置が認められた施設の概要は次の通り。

名称リサイクル燃料備蓄センター
事業者「リサイクル燃料貯蔵株式会社」2005年11月21日東京電力と日本原子力発電が設立
貯蔵量5000トン
 東京電力 約4000トン 日本原子力発電 約1000トン
操業開始 2010年目標
貯蔵期間 搬入後最長50年
搬入量年間200−300トン程度を約4回に分けて行う
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むつ市が貯蔵施設を望む理由は?

赤字解消のため。

2004年度末までの累積赤字が22億8000万円。(2005年度末で30億3900万円に達する見込み。)赤字比率19.1%と財政再建団体転落ラインの20%に迫る。

市の試算によると、中間貯蔵の終了までの60年間に入ってくる電源三法交付金は、1200億円と毎日新聞(2005年10月20日)が報じている。

2006年から2年間むつ市に交付される9億8000万円/年の交付金のうち2億円が2005年度内に前倒し交付されることが2005年12月22日決まった。

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むつ市の貯蔵施設に関する報道記事は?

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法律ではどう定められているのか?

1999年6月に原子炉等規制法が改正され、「第四章の二 貯蔵の事業に関する規制」 において、原発敷地外中間貯蔵施設を作る事業が行えるように定められた。原発敷地内での貯蔵とは別に、敷地外に貯蔵施設を作る事業者について規定したものである。

ただし、この法律では、「中間貯蔵施設」という言葉は登場せず、「使用済燃料貯蔵施設」、「使用済燃料貯蔵事業者」という言葉しか使われていない。

使用済燃料(実用発電用原子炉その他その運転に伴い原子炉施設内の貯蔵設備の貯蔵能力を超える使用済燃料が生ずるおそれがある原子炉として政令で定めるものに係るものに限る。以下この章並びに第六十条第一項、第六十六条第三項及び第七十七条第六号の二において同じ。)の貯蔵(原子炉設置者、外国原子力船運航者、再処理事業者及び第五十二条第一項の許可を受けた者が原子炉施設、再処理施設又は同条第二項第七号に規定する使用施設に付随する同項第八号に規定する貯蔵施設において行うものを除くものとし、その貯蔵能力が政令で定める貯蔵能力以上である貯蔵設備(以下「使用済燃料貯蔵設備」という。)において行うものに限る。以下単に「使用済燃料の貯蔵」という。)の事業を行おうとする者は、政令で定めるところにより、経済産業大臣の許可を受けなければならない。

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1999年の原子炉等規制法改正の理由は?

英仏への海外委託再処理(7100トン:軽水炉約5600トン、ガス炉=東海原発約1500トン)用の輸送が終わる一方、六ヶ所再処理工場の建設が遅れていたため、各地の原発の使用済燃料の行き場がなくなりそうだということで、原発敷地外中間貯蔵施設設置の道を開くために法改正が行われた。

経産省による「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(原子炉等規制法)の一部を改正する法律の概要」(pdf)は、

「海外再処理への使用済燃料の搬出終了、六ヶ所村再処理施設の操業の遅れ等から、原子力発電所内における使用済燃料の貯蔵状況は逼迫傾向にある。今後、発電量の増加に伴う使用済燃料の発生量の増加、再処理施設の再処理能力等を総合的に勘案すると、発電所外において使用済燃料を中間的に貯蔵することを目的とする施設(中間貯蔵施設)を整備することが必要。」

との判断で、

「中間貯蔵施設を設置して貯蔵の事業を行う者を、原子炉等規制法上の他の事業と同様に許可制」

として、基準・規定を定めたと説明している。

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1999年6月の原子炉等規制法改正の政治的背景は?

1995年12月の高速増殖炉原型炉「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故・事実隠ぺい事件のあと、翌96年1月に、新潟県、福島、福井の知事が「三県知事提言」を行い、その中で「プルサーマル計画やバックエンド対策等の将来的な全体像を、具体的に明確にし、関係地方自治体に提示すること」を求めたことが背景にある。

さらにその背景として、東京電力福島第一原子力発電所共用プール設置の事前了解を巡る福島県の不満がある。1993年、福島県は、同計画の事前了解の際、「福島第一原子力発電所の使用済燃料貯蔵量が一時的に漸増するが、2010年頃予定されている第二再処理工場の操業開始後漸減する」との確認を当時の通産省担当課長から得ていた。(当時民間第一再処理工場の六ヶ所再処理工場は2000年に操業開始予定だった。)ところが、1994年に発表された原子力長期計画は、「民間第二再処理工場は、……、2010年頃に再処理能力、利用技術などについて方針を決定する」と、計画を遅らせた。短期貯蔵の約束が長期貯蔵になるじゃないかという不満が福島県の側にあったのである。

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三県知事提言の中身は?

福島県は、次のようにまとめている。

  1. 核燃料リサイクルのあり方など今後の原子力政策の基本的な方向について、改めて国民各界各層の幅広い議論、対話を行い、その合意形成を図ること。
    このため、原子力委員会に国民や地域の意見を十分反映させることのできる権威ある体制を整備すること。
  2. 合意形成に当たっては、検討の段階から十分な情報公開を行うとともに、安全性の問題を含め、国民が様々な意見を交わすことのできる機会を、主務官庁主導のもと各地で積極的に企画、開催すること。
  3. 必要な場合には、次の改定時期にこだわることなく、原子力長期計画を見直すこと。
    核燃料リサイクルについて改めて国民合意が図られる場合には、プルサーマル計画やバックエンド対策等の将来的な全体像を、具体的に明確にし、関係地方自治体に提示すること。

出典:福島県2001年5月に始めた「エネルギー政策検討会」の設置経緯説明(pdf)

この提言は、「国民的合意形成を目指した」原子力政策円卓会議の設置にもつながった。
 経産省サイトの円卓会議の説明

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「三県知事提言」後の国の動きをまとめると?

国の主な動き

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関連決定・報告書

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リサイクル燃料資源とは?

1998年6月11日 総合エネルギー調査会原子力部会中間報告−リサイクル燃料資源中間貯蔵の実現に向けて(pdf)において、使用済燃料を「リサイクル燃料資源」と呼ぶことにした。

リサイクル燃料資源中間貯蔵の意義

原子力発電に用いられているウラン燃料は、燃えるウラン235を約3%に濃縮して利用しているが、発電後の使用済燃料には、燃え残ったウラン235が約1%含まれるほか、新たな燃料であるプルトニウムも約1%含まれている。使用済燃料は、再処理することにより、含有されるプルトニウム等を再度原子力発電の燃料として利用することが可能な資源であることから、「リサイクル燃料資源」と呼ぶことがふさわしい。

それで、青森県むつ市に計画中の施設も「リサイクル燃料備蓄センター」と呼ばれるのである。

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中間貯蔵したリサイクル資源は、必ずリサイクルされるのか?

そうとはかぎらない。

2005年原子力政策大綱は、中間貯蔵した使用済燃料を再処理しないでそのまま処分する可能性を残している(38ページ)。

中間貯蔵及びその後の処理の方策

使用済燃料は、当面は、利用可能になる再処理能力の範囲で再処理を行うこととし、これを超えて発生するものは中間貯蔵することとする。中間貯蔵された使用済燃料及びプルサーマルに伴って発生する軽水炉使用済MOX燃料の処理の方策は、六ヶ所再処理工場の運転実績、高速増殖炉及び再処理技術に関する研究開発の進捗状況、核不拡散を巡る国際的な動向等を踏まえて2010年頃から検討を開始する。この検討は使用済燃料を再処理し、回収されるプルトニウム、ウラン等を有効利用するという基本的方針を踏まえ、柔軟性にも配慮して進めるものとし、その結果を踏まえて建設が進められるその処理のための施設の操業が六ヶ所再処理工場の操業終了に十分に間に合う時期までに結論を得ることとする。

大綱が全量再処理路線を決めたと解釈する者と、上の部分に「第2再処理工場」の表現がないから、「全量再処理」は実質的になくなったと解釈する者とがいる。後者だとわざわざリ「サイクル資源」と呼んだモノを捨てることになる。

「50年」の選択/むつ・中間貯蔵施設立地へ (下)建前論議/「第二再処理」は不透明 (東奥日報2005年10月21日)は、次のように解説する。

中間貯蔵は、時間的な余裕を持たせ、使用済み核燃料を再処理するか、直接処分するか、政策に柔軟性を持たせるのが本来の役割。貯蔵期間中に高速増殖炉が実用化され、再処理技術が進んでいれば、再処理すればいいし、そうでなければ直接処分すればいい−という考え方だ。・・・・

 「再処理しない使用済み核燃料は持ち去れ−というのが青森県の基本方針であることを考えると、貯蔵後の使用済み核燃料は再処理しない、とはさすがに言えない。本当はわれわれも再処理されるとは思っていないのだが…」と東京電力社員。

  参考:東電の反論

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外国の核軍縮・核拡散防止の専門家の間に日本で中間貯蔵計画がでていることを歓迎する声が強いのはなぜか。

中間貯蔵が六ヶ所再処理工場運転開始を要求する圧力を軽減できると考えているからである。外国の専門家らは、六ヶ所再処理工場を政府や電力会社が動かそうとしている本当の理由は、使用済燃料の中にあるプルトニウムやウランの有効利用のためなどではなく、各地の原発で満杯になっている使用済燃料貯蔵プールから使用済燃料を六ヶ所再処理工場に運び出したいためだと見ている。再処理すれば、廃棄物がでてきて、それはしばらく六ヶ所再処理工場に置かれることになる。その後処分しなければならないが、各地の原発からすれば問題を先送りすることができる。「敷地内中間貯蔵」か、「敷地外中間貯蔵」のどちらかかが行われなければ、原発は早晩停止しなければならない。

実は、再処理推進派の鈴木篤之東大教授も、1994年4月にワシントンで開かれた会合で「日本の再処理計画の正当性を、主として使用済燃料の置き場がないことに求めていた」と、同じ会合で議論した故高木仁三郎原子力資料情報室代表(当時)が『高木仁三郎が語るプルトニウムのすべて』(1994年 原子力資料情報室刊)(79ページ)で述べている。

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中間貯蔵は、外国の核拡散問題の専門家らが望むように、六ヶ所再処理工場の運転延期をもたらす要素になるのか。

今のままではなりそうにない。それどころか、第二再処理工場建設への圧力になってしまう可能性もある。現在の政策は、2005年原子力政策大綱にあるとおり、六ヶ所再処理工場の運転は前提で、その能力を超えて発生するものは中間貯蔵することとするというものである。

中間貯蔵の受け入れ同意を2005年10月19日に表明した三村申吾知事は、同日の記者会見で、第二再処理工場の検討に向けた技術研究開発への取り組みを関係閣僚から確認できたことを同意の理由の一つに挙げ、「なんと言っても全量再処理が(事業の)前提であることが重要。むつ市に使用済燃料が永久に置かれることがあってはならない。」と述べている。

知事は、10月7日以降、細田博之内閣官房長官、中川昭一経済産業相、中山成彬文部科学相、棚橋泰文科学技術IT担当相、近藤駿介原子力委員会委員長らに会って上のような確約を得たという。

外国の専門家らが望むように事態が展開するためには、政府や電力会社が一度立ち止まって、六ヶ所の再処理を延期するとの決断をすることが先決となる。その上で、中間貯蔵された使用済燃料を直接処分することを本気で検討しなければならない。

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政府および業界のサイトの全般的解説

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市民団体の解説

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