2009年09月24日

米国の核問題専門家ら、オバマ・鳩山両首脳に公開書簡──「核の役割限定を」

オバマ・鳩山両首脳の初会談を控えた9月22日、米国の核問題の専門家らが、核兵器の役割を核攻撃の抑止のみに限り、核以外の攻撃に対しては核による報復をしないと明言する政策の採用とその支持を両首脳に求める公開書簡を発表しました。オバマ政権が進めている「核態勢の見直し」の中で、生物・化学兵器や通常兵器の攻撃にも核で報復するとの脅しを維持して欲しいと願うこれまでの日本の立場が、このような政策の採用の障害になっていることを懸念してのものです。

書簡は、オバマ政権内の現状維持派が、これまでの「政策を変更すれば、日本が自分たちの核兵器を作ることになる恐れがあると主張」していることを指摘し、このような議論が政策変更の障害になってはならないと述べています。

核の役割を限定する政策は、一歩進めると、核を最初に使うことはないとの「先制不使用」宣言になります。書簡は、日本が役割限定政策を支持するのは、非核三原則に沿ったものだと論じ、鳩山・岡田両氏が、これまで先制不使用策を支持・要求する発言をしてきたことを評価しています。これは、一つには、両氏の見解を見れば、米国が政策変更をすると日本が核武装するという議論がいかに根拠がないかを米国側に示す意味を持っています。

書簡は、首相・外相となった鳩山・岡田両氏が、日本政府の政策として、米国による「核の役割限定」策を公式に支持するよう要請しています。

オバマ大統領に対しては、「核態勢の見直し」を官僚任せにしないで、個人的にもっと関わること、そしてそれによって、「核の役割限定」策を「見直し」の結論とするよう要請しています。

下に、書簡についての「憂慮する科学者同盟(UCS)」のプレスリリース(英文)書簡そのもの(英文pdf)の粗訳を載せましたのでご活用ください。

参考




憂慮する科学者同盟(UCS)プレスリリース (2009年9月22日)

UCSプレスリリース
担当Elliott Negin, 202-331-5439

安全保障問題専門家ら、オバマ大統領と鳩山由紀夫総理大臣に、米国の核政策の変更を支持するよう求める公開書簡を送る

ワシントン(2009年9月22日)

米国の安全保障の専門家13人が、オバマ大統領と日本の鳩山由紀夫新首相に対し、米日の同盟を再確認すると同時に、米国の核兵器政策の変更を支持するよう求める公開書簡を公表した。両指導者は、国連における核拡散問題に関する会合に参加するためにニューヨークを訪れ、明日初めて顔を合わせる予定だ。

書簡の署名者には、ジョージ・バン(元米国ジュネーブ軍縮会議大使)、モートン・ハルペリン(元米国国務省政策企画局長)、それに、ケビン・ノブロック(憂慮する科学者同盟(UCS)会長)らが含まれる。

書簡は、特に、核兵器の唯一の役割は、他国による核兵器の使用を抑止し、必要な場合には、これに応じることにあると宣言する米国の政策を支持するよう両指導者に要請している。書簡は、オバマ大統領に対し、彼の政権が現在行っている核政策の見直し(「核態勢の見直し(NPR)」と呼ばれる)に個人的にもっと密に関わり、このような宣言を米国の公式の核政策とするよう要請している。

このような政策は、米国の安全保障戦略における核兵器の役割を減じ、他国にもそうするよう要請するとの先のオバマ大統領のプラハでのステートメントと合致したものだ。

この政策はまた、鳩山首相と岡田克也外相の公のステートメントによっても支持されている。米国がこの政策を採用しても、日本は米国の安全保障の傘に依存し続けることができる。しかし、この新しい米国の政策は、日本自身の核兵器に関する立場により合致したものとなり、また、日本の世論をより反映したものとなる。

「米国の政策におけるこのような変更は、核兵器国が行った核兵器を持たない国には核兵器を使用しないとする「消極的安全保証(NSA=消極的安全保障)」を補強することによって、核不拡散条約(NPT)を強化すること――両国の目標――にもなります」と書簡は述べている。「また、核兵器を取得しようとする国が増える誘因を減らすことにもなります。」

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現在40周年を祝っている「憂慮する科学者同盟(UCS)」は、健康的な環境とより安全な世界のために活動している米国の代表的な科学に基礎を置く非営利団体。UCSは、マサチューセッツ州ケンブリッジに本拠を置いているが、バークレー、シカゴ、ワシントンDCにもオフィスを持つ。詳細は、 www.ucsusa.orgを参照。




オバマ大統領・鳩山首相宛公開書簡 2009年9月22日

2009年9月22日
バラク・オバマ大統領様
鳩山由起夫総理大臣様

オバマ大統領・鳩山首相宛公開書簡

両首脳の初めての会談に当たり、私たちは、米日両国の間の強固な同盟関係を維持しようとのお二人の共通のコミットメントに歓迎の意を表します。お二人の核兵器に関する公のステートメントは、核兵器が今日の世界においてますますマイナス要因となっているとの理解をお二人が持っておられることを表しています。お二人のリーダーシップによって、両国は、米日同盟における核兵器の役割の重要性を減じる未来志向的政策を採用することができます。

従って、私たちは、お二人に、核兵器の唯一の役割は、他国による核兵器の使用を抑止し、必要な場合には、これに応じることにあると確認するよう要請します。鳩山首相と岡田克也外相がこの立場を公に支持されていることに敬意を表します。この政策は、米国の安全保障戦略における核兵器の役割を減じ、他国にもそうするよう要請するとのオバマ大統領のプラハでの演説と合致したものとなります。

米国の政策におけるこのような変更は、核兵器国が行った核兵器を持たない国には核兵器を使用しないとする「消極的安全保証(NSA=消極的安全保障)」を補強することによって、核不拡散条約(NPT)を強化すること――両国の目標――にもなります。また、核兵器を取得しようとする国が増える誘因を減らすことにもなります。

日本は、米国の傘に依存し続けることになりますが、この新しい米国の政策は、核兵器に関する日本自身の政策、そして日本の人々の考えにより合致したものとなります。日本国民は、日本の非核三原則を圧倒的に支持しています。佐藤栄作元首相(ノーベル平和賞受賞者)が言明し、1971年に日本の国会で採択されたこれらの三原則は、日本は核兵器を作らない、持たない、持ち込ませないと述べています。

米国政府は、現在、米国の核政策について包括的な見直し作業を行っていますが、その中でこの問題に関する日本の見解が重要な要因となっています。一部の日本の官僚は、現状維持を望み、米国の核政策におけるこのような変化は、米国による安全の保証についての日本の確信を損なうことになると主張しています。一部の米国人もまた、冷戦的思考にとらわれたままで、このような日本側の懸念を引き合いに出して、米国の政策を変えることに反対し、政策を変更すれば、日本が自分たちの核兵器を作ることになる恐れがあると主張しています。これらのインサイダーの考えが、両国を、そして、世界をより安全にする変化の障害になってはなりません。

私たちは、鳩山首相に対し、米国の核兵器の唯一の目的は他国によるこれらの兵器の使用を抑止することにあるとする米国の新しい政策に対する支持を再確認するよう求めます。私たちは、オバマ大統領に対し、オバマ政権における核政策の見直しに個人的に関わり、この立場を米国の公式の政策とするよう求めます。

バリー・M・ブレックマン
ヘンリー・スティムソン・センター特別研究員

ジョージ・バン(元大使)
元米国ジュネーブ軍縮会議大使
元米国軍備管理・軍縮庁法務責任者

デイビッド・カルプ
連邦立法問題フレンズ委員会立法問題代表

モートン・ハルペリン
ワシントンDCオープン・ソサイエティ研究所シニア・アドバイザー
元米国国務省政策企画局長

ジョン・アイザクス
軍備管理・不拡散センター事務局長

ダリル・キンボール
軍備管理協会(ACA)事務局長

ケビン・ノブロック
憂慮する科学者同盟(UCS)会長

ジェフリー・ルイス
ニュー・アメリカ財団核戦略イニシアチブ・ディレクター

イバン・エルリッチ
米国科学者同盟(FAS)会長代行

クリストファー・ペイン
天然資源防護協議会(NRDC)核プログラム・ディレクター

スコット・セイガン
スタンフォード大学フリーマン・スポグリ国際教育研究所国際安全保障・協力センター(CISAC)共同ディレクター

トム・シェリング
メリーランド大学公共政策学部特別教授(2005年ノーベル経済学賞受賞)

ジョン・スタインブラナー
メリーランド大学国際・安全保障問題研究センター所長




第171回国会 予算委員会 第27号

○麻生内閣総理大臣 これは基本的にはおっしゃるとおりなんですが、現実の今、国際社会の中においては、いまだに核戦力というのを含む大規模な軍事力というものが存在しているという大前提をちょっとまず忘れず、我々は直視せにゃいかぬところだと思っております。
 その上で、核兵器だけを他の兵器と切り離して取り扱おうとしてもこれはちょっと現実的ではありませんので、抑止のバランスを崩すことになりかねませんので、一国の安全保障を考えたときにおいては、これは結構大事なところだと思っております。
 もう一点は、当事国の意図、考え方というものに関しては、これは岡田さん、何の保証もない先制不使用というのは、これは検証の方策が全然ありませんから、言うだけ。うちも先制不使用ですとみんな言うだけで、その方策がありませんので、先制不使用という言葉だけに頼るというのは、安全保障上はこれは十分を期するということにはならないということになろうと思います。
 これを持っておりますのは、アメリカ以外の国、NPT等々に参加していない国というのは幾つかあるので、こういったものも含めて考えにゃいかぬというところが最も難しいところだと思いますが、基本的な流れとしてはそのとおりだと存じます。
○岡田委員 もう終わりますけれども、やはり核兵器というのは特別だからこそ、オバマ大統領もプラハでわざわざ演説をし、そして世界も議論しているわけです。
 例えば、ほかの大量破壊兵器、生物化学兵器については、禁止をするということはもう確立しているわけです。残された核兵器について、少なくとも先制使用は認めない、あるいは、核を持っていない国に対して核兵器を使用することは即違法である、そういう規範をきちんと確立する。日本がリーダーとしてその先頭に立つ。そのぐらいのことがなければ、単にアメリカの大統領がオバマ大統領にかわって、核軍縮あるいは核不拡散に熱心な大統領が出てきたからそれに対して調子を合わせているだけではないかというふうに見られかねない。
 やはり、核の傘にあるといっても、今申し上げたようなことはきちんとできることだというふうに私は申し上げておきたいと思います。
 また引き続き議論したいと思います。ありがとうございました。

投稿者 kano : 2009年09月24日 17:14
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