2009年10月14日

長崎の被爆者団体、先制不使用支持を要請──川口順子国際委共同議長に

10月13日、長崎を訪れた「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会(ICNND)」の共同議長川口順子元外相に対し、長崎の被爆者5団体が、核の先制不使用策に反対する立場を改めるよう強く求める要請書を手渡しました。川口元外相は、記者会見で直ちに先制不使用と言える状況にはないと主張しました。5団体は、この発言を受け、鳩山首相と岡田外相に対し、政権が変わった今、委員会の人選を見直すと共に、旧政権の発言を取り消し、日本が核廃絶の先頭に立つとの発信をするよう求める書簡を郵送しました。

参考




被爆者らは、核兵器の廃絶を唱えながら通常兵器や生物・化学兵器の攻撃に対しても核を使って欲しいとする歴代政権の方針に固執する川口共同議長を批判し、このような旧態依然とした発言は許されないと訴えました。

要請書は、次のように述べています。

[委員会において日本側が]歴代政権の「核の傘」堅持に固執し、また、「先制不使用」問題でも強く抵抗され、他国から「日本は核廃絶の障害」、「日本は核廃絶を訴えながら一方で核が大好きと言っている」と揶揄されていると聞き及んでいます。・・・18日の広島会議では、これまでの各国から潮笑されるような意見を全面的に取り消し、「世界で唯一の被爆国・日本」こそが世界の核兵器廃絶の先頭に立つとの決意のもと、長崎、広島の心を高らかに表明されることをここに強く要望します。

川口元外相は、つぎのように応じました。

核の先制不使用というのは、早く言えれば言うほど超したことはないけれども、それによって世界の安全が危機に曝されるようなそういう状況がないようにしながらそれを言っていかなきゃいけない。直ちに先制不使用と言える国際社会の状況にあるということは、直ちには難しい。

2月15日にワシントンで開かれた記者会見では、ICNNDの委員らが米国政府要人を訪問し、「ノーファーストユース(先制不使用)を言ってくれないか」と求めたと述べていました。これはどういう意味だったのでしょうか。他の委員らは求めたが、自分は反対していたということでしょうか。

川口元外相は、委員会での発言は公表しないルールになっていると被爆者らに告げていますが、それは他国の代表らの発言についてのことでしょう。外務省出身者として日本側の諮問委員を務める佐藤行雄元国連大使や阿部信泰国際問題研究所軍縮・不拡散促進センター所長は、公の場で、先制不使用反対の立場を明らかにしています。今回の発言から川口元外相の立場も明らかです。「直ちには難しい」というのは、どのような条件が整えば「言える」ということでしょうか。世界から核兵器以外の兵器がなくなったときでしょうか。北朝鮮、中国、ロシアがなくなったときでしょうか。

日本の歴代政権の主張は、単に嘲笑の的となっているというだけではありません。オバマ・鳩山両首脳の初会談を控えた9月22日に米国の核問題の専門家らが両首脳に宛てて出した書簡にあるとおり、オバマ政権内の現状維持派が、米国のこれまでの「政策を変更すれば、日本が自分たちの核兵器を作ることになる恐れがあると主張」しているのです。

鳩山・岡田両氏は、川口元外相や、日本側諮問委員の発言に影響を与えることはできないかもしれませんが、もっと直接的に米国政府の政策に影響を与える方法があります。それは、通常兵器及び生物・化学兵器による攻撃の抑止にも核兵器が必要とするこれまでの日本の立場を新政権はとらないとする明確なメッセージを米国に直ちに発すること、そして、さらに一歩進めて、先制不使用宣言をするよう米国に働きかけることです。




2009年10月13日

内閣総理大臣 鳩山由紀夫 様

外務大臣   岡田 克也 様

謹啓

政権交代により、我が国の政治はこれまでの市場原理主義から憲法の精神に基づく国民生活重視という大転換となりました。

皆様方におかれましては、大変ご多忙のことと存じます。

ご承知のとおり、先日は嬉しいニュースが世界各地を駆けめぐりました。オバマ米国大統領、ノーベル平和賞受賞のニュースです。プラハでの世界の核兵器廃絶を訴えた演説と地球環境保護及び各国との協調主義への転換などが評価され、今後のオバマ大統領に大きな期待がかけられたものと思われますし、また、この受賞により、核兵器の廃絶がより促進することを望みます。

私たちは、先の国連総会等でオバマ大統領とともに鳩山総理が、核兵器の廃絶、地球環境問題を我が国の果たす役割を明確にし、世界各国に呼びかけられたことを高く評価しています。

このように核兵器廃絶の世論が高まる中、「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」の報告書草案の議論が最終局面を迎えようとしています。

同委員会は豪州のラッド首相の提案で、エバンズ元豪州外務大臣と我が国の川口順子元外務大臣が共同代表を務め、オバマ大統領の「核なき世界]の実現に向け、両国が主導的な役割を果たすことを期待し、つくられました。

しかし、残念ながら、シドニーを皮切りにワシントン、モスクワで開かれた同会合では、川口順子代表をはじめ外務省幹部が、歴代政権の「核の傘」堅持に固執し、また、「先制不使用」問題でも強く抵抗し、他国から「日本は核廃絶の障害」、「日本は核廃絶を訴えながら一方で核が大好きと言っている」と揶揄されていると聞き及んでいます。

政権は交代しました。核兵器廃絶に対する政策は、国連総会等に於ける鳩山総理の演説を見ても、これまでの自公政権とは明確に違います。

このような旧態依然とした川口共同代表をはじめ外務省の委員等の発言が許されるはずがありません。

早急に共同代表並びに委員等の人選見直しを行って下さい。

そして、18日の広島会議では、これまでの各国から潮笑されるような不名誉な発言を全面的に取り消し、「世界で唯一の被爆国・日本」こそが世界の核兵器廃絶の先頭に立つとの発信をされると同時に、長崎、広島の心を高らかに表明されることを切望します。末筆ながら健康に十分注意され、今後のご活躍を祈念致します。

敬具

長崎県平和運動センター被爆者連絡協議会議長 川野 浩一
長崎県被爆者手帳友愛会会長 中島 正徳
財団法人長崎原爆被災者協議会会長 谷口 稜曄
長崎原爆遺族会会長 正林 克記
長崎県被爆者手帳友の会会長 井原東洋一




2009年10月13日

参議院議員 川口順子 様

拝啓

政権交代により、我が国の政治はこれまでの市場原理主義から憲法の精神に基づく国民生活重視という大転換となりました。

川口議員におかれましては、政権の違いはあれ、政務ご多忙のことと存じます。また、この度は広島で開かれる「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」開催に先立ち、自ら長崎を訪れ、被爆者から直接被爆体験を聞かれたり、原爆資料館を訪問されるなど、ご配慮頂いていることに感謝し、お礼申し上げます。

ご承知のとおり、先日は嬉しいニュースが世界各地を駆けめぐりました。オバマ米国大統領、ノーベル平和賞受賞のニュースです。プラハでの世界の核兵器廃絶を訴えた演説と地球環境保護及び各国との協調主義への転換などが評価され、今後のオバマ大統領に大きな期待がかけられたものと思われますし、また、この受賞により、核兵器の廃絶がより促進することを期待したいと思います。

私たちは、先の国連総会等でオバマ大統領とともに鳩山総理が、核兵器の廃絶、地球環境問題を我が国の果たす役割を明確にし、世界各国に呼びかけられたことを高く評価しています。

このように核兵器廃絶の世論が高まる中、「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」の報告書草案の議論が最終局面を迎えようとしています。

しかし、残念ながら、シドニーを皮切りにワシントン、モスクワで開かれた会合で、川口順子代表をはじめ外務省幹部が、歴代政権の「核の傘」堅持に固執し、また、「先制不使用」問題でも強く抵抗され、他国から「日本は核廃絶の障害」、「日本は核廃絶を訴えながら一方で核が大好きと言っている」と揶揄されていると聞き及んでいます。

政権は交代しました。核兵器廃絶に対する政策は国連総会等に於ける鳩山総理の演説を見ても、これまでの自公政権とは明確に違いますし、川口共同代表をはじめ外務省の委員等は、当然、この総理の考えを国民の総意と踏まえるべきです。

このような旧態依然とした川口共同代表をはじめ外務省の委員等の発言が許されるはずがありません。18日の広島会議では、これまでの各国から潮笑されるような意見を全面的に取り消し、「世界で唯一の被爆国・日本」こそが世界の核兵器廃絶の先頭に立つとの決意のもと、長崎、広島の心を高らかに表明されることをここに強く要望します。末筆ながら健康に十分注意され、今後のご活躍を祈念致します。

敬具

長崎県平和運動センター被爆者連絡協議会議長 川野 浩一
長崎県被爆者手帳友愛会会長 中島 正徳
財団法人長崎原爆被災者協議会会長 谷口 稜曄
長崎原爆遺族会会長 正林 克記
長崎県被爆者手帳友の会会長 井原東洋一

投稿者 kano : 2009年10月14日 14:34
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