ニュース声明申し入れ

MOX燃料輸送・再処理工場運転への申し入れ

2013年03月22日

 関西電力は321日、高浜3号機用MOX燃料をフランスから輸送すると発表しました。まだ新安全基準も出来ず原発再稼働のめども立っていないのに、核兵器物質プルトニウムを含んだMOX燃料をリスクの高い海上輸送をしようとしています。これまで、輸送ルートに当たる世界各地から反対の声もあがっています。

現在日本は、約44トンのプルトニウムを保有し、年間約8トンのプルトニウムを分離できる六ヶ所再処理工場を始めとする核燃サイクル政策を進めており、使い道のない核兵器物質がたまり続けています。

  このような事態は、核拡散、核セキュリティーの観点からも許されることではありません。原水爆禁止日本国民会議(原水禁)として、MOX輸送の中止と、再処理政策を改め分離プルトニウムを増やさないよう、内閣総理大臣はじめ、原子力委員会委員長、原子力規制委員会委員長、国土交通大臣、経済産業大臣あてに本日、以下の申し入れをいたしました。

 


 

 

 

2013322

内閣総理大臣 安倍晋三様

原子力委員会委員長 近藤駿介様

原子力規制委員会委員長 田中俊一様

国土交通大臣 太田昭宏様

経済産業大臣 茂木敏充様

原水爆禁止国民会議(原水禁)事務局長 藤本泰成

101-0062 東京都千代田区神田駿河台3--11連合会館1F

 

日本原燃による六ヶ所再処理工場運転開始計画及び

フランスからのMOX燃料輸送計画についての申し入れ

 

 日頃のご活躍に敬意を表します。

核拡散、核セキュリティにとって重要な意味を持つ日本原燃による六ヶ所再処理工場運転開始計画及びフランスからのMOX燃料輸送計画について以下の通り申し入れをしますので、御回答よろしくお願いします。

 

1.201310月の六ヶ所再処理工場竣工を目指している日本原燃は、131日、2013年度下半期に工場の運転を始めるとの計画を原子力規制委員会に届け出ました。日本は、2011年末現在、英仏に約35トン、国内に約9トンのプルトニウムを保有しています。米国のオバマ大統領は、20123月 に核セキュリティ・サミットでソウルを訪れた際、韓国外国語大学校での演説で「プルトニウムのような我々がテロリストの手に渡らぬようにしようと努力して いるまさにその物質を大量に増やし続けることは、絶対にしてはならない」と述べています。原子力規制委員会が核燃料サイクル関連施設の新安全基準の検討を 始めてもいないことからすると、届け通り再処理が始まることにはならないでしょうが、原子力発電所の再稼働の時期の予測も立たない現状で、プルトニウムを さらに分離する計画を出すことは、国際的な懸念を招きます。

 原子力委員会は、20038月 の決定において、核拡散防止面での懸念に応えるためとして、六ヶ所再処理工場でのプルトニウムの分離について次のように定めています。「電気事業者はプル トニウム利用計画を毎年度プルトニウムの分離前に公表」し「原子力委員会は、その利用目的の妥当性について確認」する。「電気事業者は、プルトニウムの所 有者、所有量及び利用目的(利用量、利用場所、利用開始時期、利用に要する期間のめど)を記載した利用計画を毎年度プルトニウムを分離する前に公表す る。」

しかし、電気事業連合会は、2010年以来、六ヶ所再処理工場で分離される予定のプルトニウムの利用計画を更新しておらず、福島事故後の状況を反映した計画が出されていません。

 そもそも、電気事業者がこれまで発表した利用計画は、六ヶ所村で建設中のMOX工場が完成したらMOX燃料を製造し、原子炉で利用するつもりであるとの意志表明に過ぎません。本来、1991年の原子力委員会核燃料専門部会報告書「我が国における核燃料リサイクルについて」にある「必要な量以上のプルトニウムを持たないようにすることを原則とする」との考え方に従うなら、英仏にある35トンのプルトニウムの消費計画が立たない状態で、さらにプルトニウムを分離すべきではありません。

 

2.3月初めの報道によると、フランスのアレバ社は、2011年春に予定されながら福島第一原子力発電所事故を受けて延期されていたMOX燃料の輸送準備について、日本の関係当局と協議しているとのことです。グリーンピース・フランスは、シェルブール港出港時期を4月上旬から中旬としています。2011年の輸送計画は、中部電力浜岡4号炉及び関西電力高浜3号炉用のものでした。関西電力は今年7月に高浜3号炉及び4号炉を再稼働すること想定しており、輸送先は高浜3号と予想されていましたが、関西電力が輸送計画を公表しないため、受け入れ手や輸送日時・ルートの明確でない輸送計画が報道される事態となっていました。同社は、3月21日になってやっと輸送計画が高浜3号炉用だと発表しましたが、輸送の時期及びルートは明らかにしていません。

現在、海外から運び込まれたMOX燃料が次の5つの原子炉で保管されています。柏崎刈羽3号(28205kg)、浜岡4号(28 213kg)、高浜4号(4 184kg)、伊方3号(5 198kg)、玄海3号(4161kg)。柏崎刈羽の場合は、20013月以来、12年間も置かれたままになっています。これらのMOX燃料に含まれるプルトニウムの量は約1トンに達します。利用の目処の立たないMOX輸送は、国際的な懸念を招くとともに、不必要に輸送中及び原子力発電所での核セキュリティ上の問題を増大させることになります。

 

 以上のことから、次のように申し入れます。

 

1. 政府は、これ以上分離済みプルトニウムを増やさぬよう再処理政策を改めること。原子力委員会は、少なくとも、早急に電気事業者に「利用計画」を出させると ともに、英仏にあるプルトニウムを考慮し、「利用目的の妥当性について確認」する際の厳密な基準を明確にすること。また、原子力規制委員会は、六ヶ所再処 理工場他のセキュリティ体制の強化を図るとともに、プルトニウムをこれ以上分離することについて、核セキュリティ上の問題を検討して規制方針を明らかにす ること。

 

2.原子力規制委員会及び国土交通省は、少なくとも、透明性確保のため、 警備計画の概要を明らかにすること。そして、原子力規制委員会は、上記の保管中のMOX燃料のセキュリティ体制の強化を図るとともに、不必要なリスクを伴うMOX輸送を中止させること。

 

 

TOPに戻る