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Gensuikin原子力

2005年11月29日

国民保護実動訓練に抗議と監視行動を取り組む

11月27日、福井県の美浜原発2号機が「原子力発電所が国籍不明のテロリストに攻撃」されたことを想定し、国民保護法に基づく全国初の実動訓練が行われました。政府と県などの主催で、自衛隊や警察、電力会社を含めた約百四十機関から計千三百人が参加し、地元から70名ほど参加したと言われています。この行動に対して、原水禁国民会議や原子力資料情報室、地元の福井県平和環境人権センター、原子力発電に反対する福井県民会議の4団体で、抗議集会と監視行動を行い、共同声明を発しました。

異議あり!国民保護実動訓練 抗議集会
異議あり!国民保護実動訓練

11月26日は、「異議あり!国民保護実動訓練」として敦賀市勤労福祉センター大ホールで北海道や鹿児島など全国各地から200名を集めて抗議集会を開催しました。集会では、もんじゅ弁護団をつとめる島田広弁護士から「原発へのテロ攻撃は、今回の実動訓練では対応できない」と指摘され、原子力資料情報室の西尾漠さんからは、「ご都合主義のシナリオで脅威を煽っている。核管理社会の強化であり、脱原発へ転換していくことが必要」と訴えられました。

海上保安庁の巡視艇
海上保安庁の巡視艇

翌27日は、11カ所・60人で実動訓練の監視行動を行いました。その中で実動訓練は全体的に緊張感の欠けた訓練で、いねむりやメールにふける自衛隊員がいたことなどが報告されました。さらに地元では関心が薄かったことも印象的でした。

放射線量の測定を受ける住民
放射線量の測定を受ける住民

原子力発電所が国籍不明のテロリストに攻撃されたことを想定し緊張感に欠け、実効性そのものも疑問視された初の実動訓練ではありましたが、自衛隊が市民の日常生活に具体的にかかわる動きに今後も警戒と監視を強めなければなりません。



美浜原発の国民保護実動訓練についての共同声明

11月27日、政府や県などは、福井県の美浜原発2号炉がテログループによる攻撃を受け、同施設の一部が損傷を受けたことにより、放射性物質が放出されるおそれが生じる事を前提に、国民保護法に基づく初めての国民保護実動訓練を行おうとしている。

しかし防衛庁ですら「見通し得る将来において、わが国に対する本格的な侵略事態が発生する可能性は低下していると判断される」(2004年防衛白書)という状況下において、脅威だけを煽り、国民統合や自衛隊の市民社会への組み込み、管理・監視社会の到来などを招く「国民保護法」の実動訓練に、私たちは強く抗議する。この動きの延長線上に戦争のできる国へと改編し、憲法改悪の道が待っていることは確かであり、そのことにも強く抗議する。

さらに、テロをはじめとした武力攻撃は、アメリカの先制予防攻撃戦略による極東有事などアメリカの世界戦略とリンクして起こることの可能性が高い。米軍の戦争協力につながる「国民保護」でもあり、その面からも許すことはできない。

実際の想定では、美浜原発を攻撃したテロリストは、山間部、海上に逃亡し、原発は、外部電源喪失や炉心冷却機能喪失、炉心損傷の可能性、原発内での被爆患者発生などが想定されるなど、原発の安全にかかわる大きな問題が想定されている。

この間原子力安全委員会は、「外部からの武力攻撃」は、「一般に想定されうる事象の範囲からから外れる」としている。しかし、国がテログループの攻撃などを想定し、有事関連法が成立され、国民保護法も整備されてきた。そのことを考えれば、原発への攻撃は「想定外」でいいということにはならない。それにどのように対処するのか問われるが、それをまったく放棄している。さらに原発が攻撃対象にもされ、危険があることさえこれまで説明がなされていない。私たちは、あらためて武力攻撃も含め原子力施設の安全審査や安全確保の見直しを早急にすることを求める。

私たちは、このような乱暴極まりない想定の上、武力で原子力施設を守ろうとすればするほど、厳重な管理体制を敷くしかなく、ますます原子力施設の密室化につながり、住民や市民そして労働者の管理統制へと結びついていくことを指摘する。かねてから危惧してきた核管理社会を具体化させる一連の規制強化が、有事法制とともに進み、民主主義社会を掘り崩すものと危惧される。

私たちは、有事体制を作って原子力施設を守り日本の安全保障を確保するのではなく、周辺諸国に対して、信頼醸成や予防外交などの非軍事化のアプローチや地域協力によって安全を確保することが本来目指されるべきであると考える。ましてや、原子力施設そのもののもっている潜在的危険性は、有事の際にますますその本質を表す。だからこそ私たちの命を守るためにも、脱原発に移行していかなければならないことをあらためて確認する。さらに、人権や自由が制限され、国民を戦時体制に組み込むような有事社会を作ることは、憲法の理念から大きく外れる。テロも戦争もない社会を目指すためにも、国民保護実動訓練を中止し、非軍事のアプローチに転換することを強く求めるものである。

2005年11月26日

原子力資料情報室
原水爆禁止日本国民会議
原子力発電に反対する福井県民会議
福井県平和環境人権センター


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