熊本地裁で、国の原爆症認定申請の却下処分を取り消す判決が出ました。「国の審査方法には問題の余地がある」とし、原告の病状と被爆の因果関係を認め、19人の却下処分を取り消しました。大阪、広島の判決にはじまり、この熊本地裁判決で6度目、原爆症認定を巡る集団訴訟で国の認定基準が批判されたことになります。
この判決を受け、原水禁・連合・核禁会議の三団体では、共同アピールを出しました。
現在、被爆者健康管理手帳取得者は約26万人。原爆症に認定されれば医療費特別手当が支給されますが、被爆者のうち原爆症と認定されるのは、全体の被爆者の1%にも満たないわずか約2000人となっています。多くの被爆者が、被爆者個々の実態をみない機械的な現行の認定制度の壁に阻まれてきました。
これまでの判決で原告勝訴が続き、国の違法性が明らかであるにもかかわらず、国は先の5つの判決全てに対して控訴し、争う姿勢を示しています。高齢化する被爆者をますます苦しめ、裁判の途中で亡くなる原告が何人もいます。生きているうちに自分の病気が原爆によるものであることを認めて欲しいという願いは、切実なものです。国に控訴をさせず、被爆者援護行政の抜本的見直しを行い、原爆症認定制度の改善を求めていくことが必要となっています。
2007年7月30日
日本労働組総連合会
原水爆禁止日本国民会議
核兵器禁止平和建設国民会議原爆症認定訴訟、熊本地裁判決についての3団体アピール
本30日、熊本地方裁判所は、原爆症認定訴訟において、原告21人のうち、ほぼ全員の19人の請求を認め、原爆症不認定処分を取り消す判決を言い渡した。
熊本地裁判決は、昨年5月の大阪、8月の広島、本年1月の名古屋、3月の仙台・東京の各地裁判決に続く6度目の被爆者勝利の判決であり、いずれも認定基準を機械的に適用する現行認定制度の過ちを厳しく批判したものである。
国・厚生労働省は、原爆症認定を認めた熊本地裁判決をはじめ、これまでの度重なる国側敗訴の判決を厳粛に受け止めなければならない。その上で、被爆者との協議を行い現行の認定制度を抜本的に改め、本訴訟原告をはじめ原爆症認定申請者に対して、原爆症認定を早急に行うことを求める。
あわせて、国・厚生労働省はこれまでの各地裁判決における控訴を取り下げるとともに、熊本地裁判決に対しても控訴しないことを強く要請します。
私たち連合・原水禁・核禁会議の3団体は、原告、関係者のご努力に敬意を表し、被爆者援護施策の充実・強化とともに世界の核兵器廃絶と恒久平和の実現をめざし、力を合わせて取り組むことをあらためて決意し、アピールとする。
以上
原水禁の活動にも長らく協力いただいているフォト・ジャーナリスト豊崎博光さんの写真展が、下記のように京都で開催されます。4日には講演会もあります。
放射能は目に見えず、味も臭いもしません。放射能はあびていることを感じることはできません。同じように、放射能、放射線にむしばまれる大地の汚染もヒバクシャが心の中に負った傷も目には見えません。放射能、放射線による大地の破壊、ヒバクシャの心の被害は深刻です。
主な著書
豊崎博光さんと語ろう 〜“しょうがない”じゃ、済まされない〜
- 8月4日(土)2時〜 日本キリスト教洛陽教会 地階ホール(先着70人)
- 申し込み・問い合わせ:アジアボランティアセンター 06-6376-3545
7月16日の中越沖地震により、火災や放射能を含んだ水の海への排出、ヨウ素など放射性物質の放出など重大な事態の続いている柏崎刈羽原発。事業者や原子力を推進する国の省庁に都合の良い「想定」の基に建てられた原発の信頼性は、現実の地震の前に崩れ去りました。
地震のゆれは、加速度で想定値の2.5倍を記録。さらに事故情報の公開の遅れも隠蔽体質の変わっていない事を示しています。(右の航空写真はgoogleによる。移動、拡大などが可能)
日本国内で新たに原発を建設することが難しくなった今、原子炉メーカーは海外への原発輸出を狙っています。インドネシアでは、400万kW以上の原発建設の計画が急ピッチで進められています。日本の関与を止めるため、緊急に二人のインドネシアの活動家を招き、現地の実情を報告する集会を開催します。
インドネシア初の原発は、90年代からジャワ中部のムリア半島で計画されました。日本の輸出入銀行(現・国際協力銀行)の融資を受けて、関西電力の子会社ニュージェックが実行可能性調査を実施しました。
この計画は、インドネシアや日本の市民による反対運動や、97年のアジア経済危機の影響で中断されましたが、2003年メガワティ政権下で再燃します。設備容量400万kw以上の原発計画が、08~09年入札、10~11年着工、16~17年運転開始と進められています。ムリア原発が日本政府・企業の資金・技術で建設される可能性は少なくありません。経済産業省や日本貿易機構(JETRO)は原発建設への支援を開始、三菱重工(株)も強い関心を示しています。
インドネシアの原発建設予定地の人びとはどのようにこの動きを受け止めているのか、ヌルディン・アミンさん(ナフダトゥル・ウラマーのジュパラ県代表)とヌル・ヒダヤティさん(グリーンピース東南アジア気候・エネルギー・キャンペーン)に、その実情を聞きます。
詳しい情報についてはムリ無理キャンペーンちらし (pdf)をご覧ください。
米国による原爆投下について「しょうがない」とする、原爆容認発言を行った久間防衛大臣に対し、辞職と罷免(安倍総理大臣に対して)を求める要請文を送りました。
内閣総理大臣 安倍 晋三 様
防衛大臣 久間 章生 様久間章生防衛大臣の原爆容認発言に強く抗議し、防衛大臣の罷免と辞任を求める
6月30日、久間章生防衛大臣は、千葉県にある麗澤大学での講演で、先の大戦での米国の原爆投下について「長崎に落とされ悲惨な目に遭ったが、あれで戦争が終わったんだという頭の整理で、しょうがないなと思っている。それに対して米国を恨むつもりはない」と述べました。その中でさらに久間防衛大臣は、米国が旧ソ連の参戦を食い止めるため原爆を投下した側面があるとの見方を示し、「日本が負けると分かっているのにあえて原爆を広島と長崎に落とし、終戦になった。幸い北海道が占領されずに済んだ」と述べました。
これらの一連の発言に対して、私たちは満身の怒りを持って久間防衛大臣に抗議します。核兵器使用は、戦争中とはいえ民間人に対して行った大量殺戮であり、広島・14万人、長崎・7万人の命を奪いました。いかなる理由があっても人道上も、国際法上も絶対にゆるされるはずはありません。
そのことはすでにオランダの国際司法裁判所が、1996年の勧告的意見の中で「核兵器の威嚇または使用は人道法の原則に一般に違反する」との結論を出しています。久間発言は、この国際的な流れに逆行し、核兵器使用に関する従来の日本政府の見解からも逸脱するものです。現役の防衛大臣が、何らかの理由があれば、核兵器を使えることを容認する発言でもあり、絶対に許せません。
さらに、アメリカの原爆投下が、ソ連参戦を防いだとしていますが、現在の歴史研究では、参戦阻止ではなく、アメリカが戦後政治の中で優位に立つためにソ連(世界)に対してデモンストレーションも兼ねて投下されたという研究も多数なされています。そのことは、広島・長崎を実験台にし、世界に原爆の威力を見せつけたということでもあります。その意味でも、被爆地長崎県選出の国会議員でもある久間防衛相の発言は、被爆者をないがしろにし、歴史を無視する発言でもあります。
その上原爆は、無差別大量殺戮兵器です。被爆国として積極的に核兵器廃絶の声を上げることが求められているにもかかわらず、原爆投下=無差別大量虐殺を正当化する流れの一部の意見を、軽々しく言い放つのでは、現役閣僚という公的な立場にある者としても無神経な発言です。原爆投下を正当化する流れに組みすることは、断じて許す訳にはいきません。
このような軽率かつ危険な発言する者が、このまま閣僚としての任にふさわしくないのは当然で、直ちに辞任することを求めます。
さらに、今回の講演は、「久間防衛大臣が6月30日、講演します!」と案内(麗澤大学研究センター)されているように、防衛大臣の肩書きを持って講演したにもかかわらず、この発言を一個人のものとする発言(自民党中川秀直幹事長)など本質を矮小化する動きもでています。私たちは、現役閣僚という公的責任のある者としての「認識」と「発言」を許すわけにはいきません。政府のこれまでの方針とも違う久間発言は、このまま現職閣僚としてとどまることは不適と考えます。安倍内閣に対しては、早急に罷免をすることを強く求めます。
被爆者の苦しみは、戦後62年が過ぎたいまでも続いています。こうした中での今回の発言対して、被爆者たちが絶対に許さないと怒りの声を、広島や長崎そして全国であげています。私たちは、被爆者の方々と平和団体、労働団体などと連帯をして、久間防衛大臣の即刻の辞任ないし罷免と被爆者に対する謝罪をあらためて強く求めます。さらにまた、日本政府が平和と核軍縮の取り組みの先頭に立つことを強く求めます。
2007年7月1日
原水爆禁止日本国民会議
議長 市川 定夫