オーストラリア・ウランのインドへの輸出計画、その前提ともなる米印原子力協定。これら、核不拡散条約体制が直面する危機に、日本のグループと来日中のIPPNW(核戦争防止国際医師会議)オーストラリア代表、ティルマン・ラフさんが、それぞれ外務省、オーストラリア大使館を訪問、要請文の提出後に議員会館内で報告会を開きました。
外務省では、軍備管理軍縮課長の森野泰成さんなどと対談。「提案されているインドと米国及びオーストラリアとの原子力協力に関して」という首相と外相宛の書簡を手渡しました。森野課長は着任後わずか3週間ほどという事もあり、日本のごく基本的な核軍縮へむけた政策以外に、具体的な方針などを聞くことはできませんでしたが、ラフ博士から、オーストラリア国内で対印ウラン輸出が大きな議論になっている事、経済的にもメリットがなくウラン鉱を持つ大手資源会社も輸出を渋っている事、国民の支持のない政権のきわめて政治的な判断で押し進めているこのウラン輸出計画が、数ヶ月内の選挙で変わる可能性の大きい事などが説明されました。また、米印原子力協定が、インドに核実験や核分裂制物質生産の禁止も求めず、核施設が査察対象となるかどうかの線引きも自由にできるなど、全くNPTの基本ルールを外れている事、この例外を認めれば、パキスタンやイスラエル、その他の核開発疑惑国などに「核兵器を持ってしまえば国際的に優遇される」というような間違ったメッセージをおくることになるなどを再度強調。今後NSGでの議論へ向けての情報交換などを約束して外務省での面談を終了しました。
2007年10月1日
福田康夫総理大臣様
高村正彦外務大臣様提案されているインドと米国及びオーストラリアとの原子力協力に関して
「原子力供給国グループ(NSG)」の影響力を持つメンバーとしての貴政府に対し、提案されている米国からインドへの核物質及び二重目的核技術の移転が、米印両国の2007年8月1日付け協定文において示されているかたちで進むことのないように保証して頂くよう要請するためにこの書簡を書いております。
この協定が実施されれば、現在既に深刻な問題を抱えている国際的不拡散体制を重要なかたちで弱体化することになるしかありません。そして、核不拡散体制の重要な世界の安全保障と健康の問題に対する一貫性のある、公正で、規則に基づくアプローチの展望を脅かすことになります。
私は、特に日本政府に対し、NSGの責任あるメンバーとして、この協定がさまざまなかたちでNSGのガイドラインと矛盾し、NSGの唯一の存在理由である核不拡散の目的達成の基礎を脅かすという点について綿密に検討するよう要請します。
核兵器の使用、実験、製造、輸送、貯蔵及び使用の用意があるとの態度が、ヒトの生命及び健康に対する最も緊急かつ深刻な脅威をなすものであること、そして、核兵器の拡散が世界の安全保障に対する重大な危険を意味することを理解する医師を代表して、私たちは、「核不拡散条約(NPT)」の核軍縮及び不拡散の条項の完全な遵守を支持しています。さらに、私たちは、核兵器禁止条約による核兵器の世界的禁止によってNPTを強化・拡大することを提唱しています。NPTの約束は核兵器禁止条約によってのみ達成されうるからです。私たちは、米印間の「[米国原子力法]セクション123」協定は、これら目的に反するものであり、南アジアのみならず世界の他の地域においても拡散の危険を増大させるものであると考えます。
インドが1974年に核実験を行い、平和目的で移転された核技術が悪用されうることを反論の余地のないかたちで示して見せた後に広がった懸念を基礎としてNSGが設立されたものであるというのは、憂うべき皮肉であります。NSGは、NPTに加盟することを拒否する国々に対する「平和目的の」核技術の移転を防ぐため、そして、非核兵器国への移転が核兵器計画への転用を防ぐかたちでなされるよう規制するために、設立されました。NSGのガイドラインは、NSGの公式な文書によれば、「平和目的のための核貿易が核兵器あるいは他の核爆発装置の拡散に寄与することのないよう保証すること目指す」ものであります。
イスラエル、インド、パキスタンは、NPTの外にいて核兵器を取得しており、従って、それによって条約の義務に違反したわけではありませんが、核兵器国としてのこれらの国々の地位は、国際的核不拡散体制を深刻なかたちで弱体化しております。これら三国全てに対し、その核兵器を放棄し、非核兵器国としてNPTに加盟するようにとの要求が広範になされています。米印協定は、NPTの枠外の核兵器国としてのインドの地位を承認し、これに報酬を与えるものであるだけでなく、核不拡散に反対する世界的規範を弱体化するものでもあります。
協定の下で構想されているインドのための特別な例外措置は、核不拡散体制の差別的性格をさらに悪化させるとともに、必然的に、他の国に対しても核兵器を取得するよう奨励することになります。それは、さらに、インドの核兵器用核分裂性物質製造能力を相当に増大させることによって南アジアで進行中の核軍拡競争を悪化させることになるでしょう。それが、パキスタンによる、そして場合によっては中国その他の国々による、核拡散的対応を呼び起こすだろうことは想像に難くありません。また、その結果原子力計画が劇的に増強されることになれば、風力や太陽を初めとする環境に優しい再生可能エネルギーの開発・展開のために緊急に必要とさえる大規模な投資が、そちらに振り向けられることになります。これは、長期的エネルギー安全保障と気候変動の制限の展望に深刻な影響をもたらすことになります。
要するに、協定は、NPTとNSGの使命との両方を無視し、台無しにするものであります。NSGは、米国がこれらの移転の合法的な実施のために要請している免除措置を拒否するという国際社会に対する責任を果たすことができ、また、そうすべきであります。このような例外主義をイスラエル、パキスタン、その他の将来のさらなる拡散国に対しても適用せよとの圧力がかかる可能性も考慮しなければなりません。
平和と軍縮のために活動している私たち職業的医師の団体は、また、発電のための原子力の利用について警告することが私たちの義務だと考えます。原子力技術は、安全でも経済的でもなく、人々の健康と環境に対するユニークで膨大かつ非常に持続的な危険に満ちています。これらの危険は、最近、柏崎・刈羽原子力発電所が地震による損傷で幾重もの放射能漏れを起こし、運転中止になったことによって再度明らかになりました。さらに、7月に『ガン治療ヨーロピアン・ジャーナル』(2007年16号355-363ページ)で発表された研究は、カナダ、フランス、ドイツ、英国、日本、スペイン、及び米国の原子力施設周辺の子供達の間で白血病の発症率の24%の上昇を示しました。
「社会的責任を考える医師(PSR)」──核戦争防止国際医師会議(IPPNW)」の米国支部──と「平和と開発のためのインドの医師(IDPD)」──IPPNWインド支部──は、IPPNWとともに、インド議会と米国議会に対し、この協定を、国際的平和と安全保障にとって危険であるとして拒否するよう呼びかける同封ようなステートメントを発表しました。この呼びかけは、8月1日の最終的合意文書の発表によって無視されることになりました。
私はまた、オーストラリア政府が、米国に倣い、オーストラリア・ウランのインドへの輸出の道を開くべくインドと原子力協力・保障措置協定を結ぼうとしていることについて深い懸念を表明したいと思います。これまで概説してきた理由全てからいって、これは、極めて遺憾であり、核拡散を推進し、既に問題を抱えているNPT体制を脅かすと同時に、南太平洋非核地帯条約の下におけるオーストラリアの義務に違反することになります。この条約は、各締約国に対し、「原料物質若しくは特殊核分裂性物質、または、平和目的の特殊核分裂性物質の再処理、使用若しくは生産のために特に設計され若しくは作成された設備、若しくは資材を、(i)非核兵器国には、NPTの第3条1で規定された保障措置の適用を受けていない限り(ii)核兵器国には、国際原子力機関(IAEA)との間の適切な保障措置協定の適用を受けていない限り、提供しない」ことを義務づけています。ここで規定されいる保障措置は、フルスコープ(包括的)保障措置であり、これはインドには施されていないものです。
インドに対するウランの輸出への道を開くというオーストラリア政府の決定は、NPT締約国以外の国にはウランを売らないとする超党派のオーストラリア政府の過去30年の方針──昨年にもアレクサンダー・ダウナー外務大臣が再表明した方針──を完全に逆転させるものです。この決定は、オーストラリアの非常に広範な市民社会諸団体から反対されています。連邦政府における野党である労働党は、今年中に実施予定の連邦政府選挙で政権を取れば、インドへのオーストラリア・ウランのいかなる輸出にも反対すると明確に述べています。
以上の理由により、私は、貴政府の力によって、NSGが、この分野における国際的規範及び常識の最終的判定者として、米印原子力協力協定を不拡散の目的に反するものとして拒絶するよう保証して頂くよう要請します。私はまた、オーストラリア政府が提案しているインドとの核保障措置協定及びオーストラリア・ウランのインドへの輸出は受け入れられるものではなく、核不拡散についてオーストラリア政府が表明している約束と矛盾するとオーストラリア政府にお伝え頂くよう要請します。
さらに、IAEAその他の関連した場を利用して、NSGガイドラインの一貫性のある適用と、核拡散防止と核軍縮の促進のための国際的な法的規則と制裁措置の強化とを支持するよう要請します。
敬具
ティルマン・A・ラフ
オーストラリア「国際核廃絶キャンペーン(ICAN)」運営委員会議長
「オーストラリア核戦争防止医学協会(MAPW)」前会長
「核戦争防止国際医師会議(IPPNW)」理事
メルボルン大学ノッサル世界保健研究所準教授
原子力資料情報室と原水禁は、経産省(4月26日)と日本原子力研究開発機構(同27日)に、米印原子力協力に関する両者の姿勢を質す公開質問状を送付しました。
核兵器による地球壊滅の時を0時として、残り時間を表示する「終末時計」を表紙にかざることでも有名な核問題専門誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」が、時計の分針を17日に動かすと発表した。
今回針を動かさざるを得ない背景は、世界が「第2の核時代」へ入るのではないかという懸念の増大が大きい。北朝鮮やイランの核開発問題、ロシアのなどの安全管理が不十分な核物質、米国とロシアの核兵器2万5千のうち即時発射態勢にある約2000発の核兵器、テロの増大、気候変動の理由を圧力にした核エネルギー利用増大が核拡散のリスクを高めること、が主な原因に挙げられる。
実際に針を何分進めるのかは、17日にロンドンとワシントンを衛星中継で結んだ催しのなかで世界同時発表する。(アメリカ東部時間9:30、グリニッジ標準時14:30、日本時間23:30)発表の催しには、スティーブン・ホーキング博士など著名な科学者がスピーカーとして参加、ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツのサイト上で中継される。(日本時間18日朝8時より公開)
現在の残り時間「7分」は、米国が弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約から一方的に脱退、9.11後「核テロ」の危険が現実のものとなった02年2月に決められた。
11月22日、原水禁、連合、核禁会議の三団体は、執拗に繰り返される麻生太郎外務大臣の核保有論議について、強く抗議の意志を伝えるための「抗議文」を外務省に手渡しました。外務省からは、芹沢軍備管理軍縮課長が対応し、原水禁の福山事務局長が直接手渡しました。
その後の話し合いの中で芹沢課長は、「首相は非核三原則の堅持としており、政府としては変わりないが、大臣もそれを変えると思ってはいないのではないか」と述べ、芹沢課長の個人的な意見としては、「議論して、知れば知るほど核武装できないことがわかるのではないか」と述べました。
しかし、非核三原則の堅持を政府が主張しているにもかかわらず、それでもなお繰り返される発言は、議論することの「意味」が問題です。核武装に対する外務大臣自身の立場を明確に示すことがまず先決で、「言論の自由」を盾に、「核保有議論」をあおり立てることは外交のトップに立つ者として問題だと指摘しました。さらに「保有論議発言」を繰り返すことによって周辺国や国民に対して「誤ったメッセージ」として受け取られることなども強く指摘しました。
2006年11月22日
外務大臣
麻生太郎 様
日本労働組合総連合会
会長 高木剛
原水爆禁止日本国民会議
議長 岩松繁俊
核兵器禁止平和建設国民会議
議長 大谷恵教麻生外務大臣の核保有論議に強く抗議する
10月9日の朝鮮民主主義人民共和国による核実験以来、貴職は、「隣の国が(核兵器を)持つことになった時に、(日本が核武装の是非を)検討するのもだめ、意見の交換もだめというのは一つの考え方とは思うが、議論しておくのも大事なことだ」と発言し、その後も核保有論議を執拗に繰り返している。
すでに首相自ら「非核三原則の堅持」としているにもかかわらず、貴職は「言論の自由」を持ち出してまで提起にこだわる姿は問題である。我が国は、被爆国として、また国是として「非核三原則」を掲げている。さらにNPTやCTBTなど国際条約の遵守と核軍縮決議を毎年国連総会で提案している。我が国の政策方針からして、外交責任者としての発言は問題であり、周辺諸国に誤ったメッセージを送るものである。日本の外交責任者と政治家としての資質が問われる。
貴職の発言は、被爆者の願いや気持ちを踏みにじるものであり、また、国際的にも核保有議論は危惧されており、これでは世界に向けて核廃絶を訴えるリーダーシップを発揮することはできない。周辺諸国に不快感と警戒感を与え、北東アジア地域を不安定にさらすだけである。
むしろ「非核三原則」の政策方針のもと平和国家としての国際社会の信用を得てきた日本としては、核保有を可能とする議論は止めるべきであり、世界のあらゆる核兵器の廃絶に向け、核軍縮および核拡散防止条約(NPT)体制の推進、包括的核実験禁止条約(CTBT)の発効に全力をあげるべきである。また、北朝鮮の核開発を放棄させるためには、国連の結束と六者協議での対話を中心とした平和的な解決を求めることが重要であり、日本の核保有ではない。
先に、野党4党が共同で、貴職に対して罷免を求めたことは当然で、私たち連合・原水禁・核禁会議は、執拗に核保有論議を起こそうとする貴職に対してあらためて強く抗議するものである。その上で、北東アジアの非核化の実現、世界の核兵器廃絶と恒久平和を求める運動を一層強化していく決意である。
以上
NPTの根幹を揺るがす米国とインドの原子力協力に関しては、9月6日、原水禁は他の多くの団体と主に、日本政府に対して、対印原子力貿易規制撤廃に反対するよう要請しています。16日に米国上院が米印原子力協力法案(pdf)を可決した事を受けた、南アジアの核軍拡競争を防ぐための国際的な運動の呼びかけを紹介します。
11月20日(月)シティプラザ大阪2階で、「北朝鮮核問題を考える〜東北アジアの平和をめぐって」と題した緊急シンポジウムをフォーラム平和・人権・環境、大阪平和人権センター、原水禁の主催で開催。丹羽 雅雄(弁護士、日弁連人権委員長)のコーディネートのもと、パネラーとして、黒澤 満(大阪大学大学院教授)、文 京洙(立命館大学教授)、福山 真劫(平和フォーラム・原水禁事務局長)の三人の講演とディスカッションに質疑をふくめて2時間以上、約200人の熱心な参加を得ました。
黒澤先生からは、核不拡散体制の現状と課題、さらに繰り返される核保有論に関連して、様々な日本核武装論に対する客観的分析。文先生からは、朝鮮半島の文化的背景を含めた南北関係と北の核実験にいたるまでの歴史を、福山事務局長からは、東北アジアの平和を目指す運動の取り組みと課題の報告がなされました。まとめには、参加者一同によって以下の文章を、森みどり大阪府議会議員の朗読の上、集会アピールとして決議しました。
「北朝鮮核問題を考える〜東北アジアの平和をめぐって」
集会アピール10月9日、朝鮮民主主義人民共和国(以下北朝鮮)は地下核実験を行った。ヒロシマ、ナガサキの体験をもつ私たちは、北朝鮮が行った核実験に大きな怒りを込めて抗議する。
しかし北朝鮮が行った核実験の責任を、米国もまた負わなくてはならない。アメリカ・ブッシュ政権は、クリントン政権が行った「米朝枠組み合意」を反故にし、強い軍事的圧力を加えた。こうした米国の対応が、北朝鮮を核実験へと動かしたといえる。
さらに核兵器の保有が戦争を抑止するという核保有国の論理が、北朝鮮をして核兵器保有へと決意させたともいえる。しかし「核抑止論」が幻想であることは、これまでの歴史が明らかにしている。
私たちは一刻も早い北朝鮮の核兵器計画の放棄を求める。近く再開される6カ国協議が継続され、05年9月19日の共同声明の内容にそって、具体的に論議が進展することを求める。米朝間では不信感が極度に高まっており、それをほぐすためにも米国、北朝鮮の協議を求める。日本政府がそのために積極的に発言することを求める。私たちは朝鮮半島の非核化を求める。安倍政権の下で語られる独自核武装論の無意味さを訴えなければならない。万一、朝鮮半島の核問題が現状のまま推移するなら、中東をはじめとして世界に核兵器が拡散する恐れがある。そのような世界を私たちは未来に残すことはできない。
被爆国である日本は、世界に対して核兵器被害の悲惨を訴え、核兵器廃絶社会へ向けた積極的な行動が可能である。とくに東北アジアの非核地帯化構想を共に考えるよう訴えていくことが可能であり、また必要である。
しかし日本は朝鮮半島に対する植民地支配や、アジアに対する加害を真摯に反省してこなかったため、東北アジア非核地帯化の必要性もまた全体で共有できなかった。
私たちは改めて戦後補償に真摯に対応するなかで、朝鮮半島非核化を求め、東北アジアの非核地帯化を実現していかなければならない。それはまた世界の核兵器廃絶への道である。
私たちは核兵器による被害はなにをもってもあがなえないことを確認しよう。ヒロシマ・ナガサキの被害者がいまもなお苦しみのなかにあるという事実が、それを示している。
2006年11月20日
「北朝鮮核問題を考える〜東北アジアの平和をめぐって」
シンポジウム参加者一同
21日から3日間にわたって各国からのNGOや市民の参加で開催された、「第3回 核兵器廃絶−地球市民集会ナガサキ」は昨日閉幕し「長崎アピール2006」を採択しました。
北朝鮮による核実験の暴挙を強く非難すると同時に、「核拡散が進む中で、兵器に使用可能な核分裂物質の管理が世界的な関心事となっている。日本政府はこの懸念を踏まえ、プルトニウム生産を含む核燃料サイクルのあり方を再考すべき」とし、また「米国の核の傘に依存する政策から一日も早く脱却」し、さらに「日本政府にたいして非核三原則の厳守を再確認し、それを法制化するよう求め」るという内容も含まれます。
「長崎アピール2006」
被爆60年の2005年、5月にニューヨークで開かれたNPT再検討会議は、実りなく終わった。節目の年への期待が強かっただけに、被爆地における失望は大きかった。また2006年10月9日の北朝鮮による核実験は、これまで核廃絶を訴えてきた世界の人々の心を踏みにじった。
しかし、私たち地球市民は決してあきらめはしない。
会議の直後から提起された具体的事項が、今後への力強い展望を示している。「核兵器の非合法化を目指せ」としたハンス・ブリックス委員長による「大量破壊兵器委員会」の60項目勧告、アジア大陸の中央部に21世紀初めて実現した新しい創意あふれる中央アジア非核兵器地帯、増え続けるモンゴルの非核地帯地位への支持、そして、平和市長会議や核軍縮議員ネットワークなどを通じて強まっている市長や議員たちの活動、中堅国家構想(MPI)による同志国家とNGO が、核軍縮義務を履行させるために開催した「第6条」フォーラム、英国で始まったトライデント核兵器システム更新阻止の力強い市民運動—これらは心ある政府や国連、NGOが連帯し、挫折を糧にして敢然と立ち上がっている何よりの証左である。
一方、被爆者は今なお放射線による後障害に苦しめられながらも、核兵器廃絶運動の先頭に立っている。昨年度のノーベル平和賞受賞は惜しくも逸したが、選考委員会は彼らの行動に対して最大級の讃辞を贈った。被爆の実相を普及させるために、世界の各地で原爆展や被爆者の証言活動が、年を追うごとに活発化してきている。中でも、米国の核爆発実験場があるネバダの博物館において、今年、原爆展が開催された意義は大きい。核兵器の開発を科学の勝利としてのみ捉えがちな人々に対して、きのこ雲の下で繰り広げられた地獄の惨状を知るのに、多くの言葉は要らない。
今年は、核兵器の使用と威嚇は一般的に国際法に違反するとし、すべての国に核兵器の完全軍縮のための交渉を誠実に遂行し完結させる義務があるとした、歴史的な国際司法裁判所(ICJ)勧告から10周年である。
被爆61年目のこの年を、私たちは新たな出発点と位置づけ、第3回地球市民集会ナガサキに集い、3日間の熱のこもった討議を終えた。開会集会の日、ニュージーランド国民から長崎市民への友情の証として平和の彫刻「平和のマント」が贈られた。集会では、高校生、及び大学生など次世代への持続的で広がりのある平和活動を知って強く励まされた。
この活動と議論の成果を踏まえ、私たちは地球市民の名において、次のことを全世界の人々に呼びかける。
- 核兵器はもっとも野蛮で非人道的、かつ卑劣な兵器である。すべての国の政府に対して、私たちはこのことをあらためて強く訴える。いかなる国も、核兵器によって安全保障を求めるという考えを捨てるべきである。
- 私たちは、北朝鮮による核実験の暴挙を強く非難する。これに対するいかなる力の行使にも反対し、6カ国協議、及び2カ国協議への復帰を基礎とした平和的かつ外交的解決を求める。
- 核兵器廃絶のために、被爆国日本が果たすべき役割と責任は極めて大きい。私たちは、日本政府にたいして非核三原則の厳守を再確認し、それを法制化するよう求める。私たちは、米国の核の傘に依存する政策から一日も早く脱却し、核兵器廃絶のための国際条約への支持を要求している日本の市民を支援する。
- 北朝鮮の核実験が行われた今だからこそ、北東アジア非核兵器地帯の設立を求める。日本においては、非核宣言自治体を支援し、この目的に向かって市民と自治体が協力するよう訴える。
- 核拡散が進む中で、兵器に使用可能な核分裂物質の管理が世界的な関心事となっている。日本政府はこの懸念を踏まえ、プルトニウム生産を含む核燃料サイクルのあり方を再考すべきである。
- 「保有核兵器を完全廃棄する明確な約束」をはじめとする2000年NPT再検討会議における合意の大部分は現在も有効である。合意の中には安全保障政策における核兵器の役割の低下、核兵器の高度警戒態勢の解除、核実験禁止条約(CTBT)の批准、核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)の交渉、そして核軍縮の不可逆性の原則などがある。私たちは、すべての政府に対してこれらの誓約の履行を要求する。これらの約束を再確認することが、2010年NPT再検討会議の出発点となるべきである。
- ある国の核計画は受け入れられるが、他の国の核計画は受け入れられないという二重基準は許されない。私たちは、米国とインドの間の新しい核取り引きに反対する。米印両政府のみならず、原子力供給国グループ(NSG)参加国政府すべてに、私たちはこのことを訴える。
- 私たちは、宇宙の兵器化(weaponization of space)につながるものを含むミサイル防衛計画に反対する。ミサイル防衛の推進は、地域のみならず世界における核を含む軍備競争を助長している。
- 私たちは「大量破壊兵器委員会」の勧告の実施を要求する。各国政府に、議会に、自治体に、そして市民社会に勧告の内容を広めることを訴える。米ロがさらに大幅な核兵器削減を加速しなければならないのはもちろんだが、すべての核保有国が核兵器への依存を大幅に削減するべきである。すべての核兵器国は、新しい核兵器、あるいは代替核兵器を開発しないことを誓約すべきである。
- 私たちは、議会や自治体への働きかけの強化を呼びかけるとともに、世界中で幅広い民衆運動を組織することを呼びかける。平和市長会議の緊急行動(2020ビジョン)、核兵器廃絶のための地球ネットワーク「アボリッション2000」、核戦争防止国際医師会議の核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)など、世界規模で核兵器廃絶を促進する運動が起こっている。
- 私たちは、トライデント核兵器システムの更新を阻止し、ヨーロッパの非核化を促進するために立ち上がった英国市民を中心とする運動と抵抗に賛同し支援する。また、私たちは、信頼性代替弾頭(RRW)開発などの核兵器の無期限保有やグローバル・ストライク(地球規模の攻撃)能力の開発をもくろむ米政策に反対する米国市民の運動を激励し支援する。さらに、私たちは、新しい核弾頭やミサイルの開発阻止に取り組むフランスの市民運動を激励し支援する。
- 非核兵器地帯条約に加盟している国の数は、すべての国の数の3分の2にも達している。私たちは、これらの加盟国を激励し支援するとともに、核軍縮と不拡散を推進するためにさらに積極的な役割を果たすよう訴える。私たちは、一国非核兵器地帯や他の地域的非核兵器地帯の設立を奨励するとともに、とりわけ中東諸国政府が非核兵器・非大量破壊兵器地帯の早期・無条件の設立について交渉を開始するよう求める。
- 平和教育および平和学習を推進するため、私たちは「軍縮・不拡散教育に関する国連研究」の勧告を取り入れた公教育システムの確立を訴える。その場合、青少年、大学生、一般市民、及び政策決定者など社会のさまざまな対象層に適合した多様な教育方法や内容を用いる必要がある。
- 私たちは、核兵器がもたらす危険を分かりやすく劇的に描き出し、市民啓発に役立てるよう、世界中のメディアや芸術家、また娯楽産業の代表たちに訴える。
- 核兵器が町を、国を、そして文明を破壊する前に、私たちは被爆者と声を合わせ世界中の市民とともに核兵器廃絶を求めていこう。
2006年10月23日
第3回 核兵器廃絶—地球市民集会ナガサキ
中央アジアの5か国:カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、トルクメニスタンとウズベキスタンは8日、非核地帯条約に調印した。地政学的に重要な、イラン、アフガン、パキスタン、中国、ロシアなどに囲まれた地域。世界の非核地帯拡大への重要な一歩となる。
条約は9月8日にカザフスタンのセミパラチンスクで調印された。1996年に閉鎖された旧ソ連の核実験場があった場所だ。5カ国が中央アジアの非核地帯創設をうたったアルマトイ宣言を支持した1997年以来、ほぼ10年間の会談を経て、調印に至った。
旧ソ連からの独立国を含むものとして、また全域が北半球にある非核地帯条約としては、最初のものだ。
ラテンアメリカ、南太平洋、東南アジア、アフリカにつづき世界では5番目の非核地帯となる。核爆発装置の開発、製造、備蓄、所有が禁止され、一方、補強されたIAEA保障措置の下では、核の平和利用が許されている。
また、南極は、核爆発、放射性廃棄物の処分が1959年の南極条約で禁止されており、モンゴルも、1992年の国連総会で非核地帯化宣言、1998年、国連総会での歓迎決議によって国際的に認められている。
参考
また、同日発表されたウズベキスタン大使館プレスリリースをうけて、原水禁事務局長は以下の手紙をウズベキスタン大使館に送りました。
2006年9月14日 (邦訳・原文英語)
ウズベキスタン共和国大使館
私たちは、1965年に設立された、議員・被爆者・労働組合・研究者・他の市民団体と協力する、日本の主要平和団体である原水禁です。
原水禁は、2006年9月8日の中央アジア非核兵器地帯の設立を大いに歓迎します。これは、世界的、地域的な、核不拡散と軍縮、平和と安全保障に多いに寄与します。
さらに、中央アジア非核兵器地帯の批准と発効が一刻も早く達成されることを願っています。
私たちは、日本政府に対して、中央アジア諸国がなされたご努力と同じくらい日本政府が、東北アジア非核兵器地帯を設立し、この地域の政治的・軍事的緊張を減少させるよう、努力を払うことを要請し続けます。
再度、私たちは中央アジア5ケ国(ウズベキスタン、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、トルクメニスタン)の長期に及ぶ骨の折れるご努力に深く感謝致します。
敬具
2006年9月13日 ウズベキスタン大使館プレスリリース
中央アジア非核地帯の署名
(要約)9月8日、カザフスタンのセミパラチンスクで中央アジア5カ国が中央アジア非核兵器地帯条約への署名を行った。ウズベキスタン、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、トルクメニスタン5ヶ国外相などのほか、石栗勉・国連アジア太平洋平和軍縮センター所長、ユーリ・ソコロフ・IAEA事務総長第一代理、外交官、NGO、マスメディアなどが署名式に参加した。
中央アジア非核地帯は1993年9月28日に第48回国連総会でイスラム・ カリモフ大統領によって最初に提案された。1997年に開催された国際会議「中央アジア 非核兵器地帯」がその最初の重要なステップとなり、関連する条約を作成するための地域専門グループ(REG)が設立された。
「私達は約9年間の集中的な作業に関わった」とカスィムジョマルト・トカエフ・カザフスタン外相は語る。
1997〜2002年、国連軍縮局とIAEA専門家の活発な支援により、ジュネーブ、アシガバット、タシケント、札幌、サマルカンドなどの都市で数多くの作業会合が開催された。2002年9月27日、サマルカンドにおける最終会合でセミパラチンスクにて署名式を行うことが合意された。
2005年2月7〜9日、第7回専門グループがタシケントで開催され、参加者間で、「核兵器5ヶ国」ならびにIAEA、国連法務局側の提案やコメントを考慮しつつ、中央アジアの条約に関する共通のスタンスについて合意した。
条約の署名については世界中で広く呼びかけがなされた。コフィ・アナン国連事務総長は、非核兵器地帯の設立は核不拡散体制の強化に資するものであり、また核兵器のない世界を実現するための措置を補強し、地域の平和と安定を強化するものであるとの特別なメッセージを呼びかけた。
条約署名式では、初めて直接的に国連機関が非核兵器地帯の設立に関わったことが参加者の注目を集めた。中央アジア諸国の専門家とともに、国連軍縮局とIAEAが共に条約の条文を作成したのである。
中央アジア非核兵器地帯を設立するイニシアティブは、国連決議やNPT再検討会議の枠組みの中で支持を得てきた。
「専門家による公式会合の一方で、公式交渉の土台作りのため約60もの非公式会合を開催した」と石栗勉・国連アジア太平洋平和軍縮センター所長は述べる。
石栗所長は、中央アジア諸国が幾つかの困難に遭ったにもかかわらず設立に成功したのは、この5ヶ国間の相互信頼が鍵となっていることを強調した。
「ロシアはこの地域における非核兵器地帯の設立を歓迎する。セミパラチンスクでの文書の署名は、安全保障における不拡散グローバルシステムを強化するための中央アジア諸国による真の貢献であり、地域安全保障の効率的なシステムを形成し、地域の国々の立場を補強する重要なステップとなるだろう」と、ムハメトシン・ロシア連邦ウズベキスタン特別全権大使は述べる。
米国モントレー国際研究所核不拡散研究所長であるウィリアム・ポッター教授は中央アジア諸国が「この地域における非核兵器地帯を生み出す歴史的な新たな条約に署名した」ことを歓迎した。
中央アジア諸国の党首たち、特にカリモフ・ウズベキスタン大統領とナザルバイェフ・カザフスタン大統領は署名の呼びかけにこの10年間を費やしてきた。
イギリスBBC放送は、国連の支援とともに、9年間の努力によって今回の成功がもたらされたことを強調した。AP通信は、中央アジア非核兵器地帯がエネルギー資源の豊富な戦略的に重要な地域において設立されたことを強調した。「条約に署名することによって、中央アジア諸国は、領域内における核兵器の製造、購買、配備を行わないという責任を担った。これにより国々は核の脅威から保証される」と米国の通信社も記した。
署名式にて条約関係国は、核兵器保有国と関連する議定書の準備作業を続ける準備ができていることを表明した。
以上
余剰プルトニウムを持たない国際公約を守るには、最低限、核拡散防止面での懸念に応えるため原子力委員会が自ら決めた、電気事業者がプルトニウム利用計画を毎年度プルトニウムの分離前に公表し、原子力委員会がその利用目的の妥当性について確認する、ということが確実になされなければなりません。
1月6日、電力各社が発表した2005ー6年度に六ヶ所再処理工場の試運転で分離されるプルトニウムの「利用計画」は、日本が既に保有している43トン以上のプルトニウムについては全くふれずに、プルトニウムの発生量1.6トンとその割当量を示しただけの全く形式的なものです。
原子力委員会がこの空論を認めるようなことがあれば、委員会自身の存在理由すら疑われます。核拡散防止に関する日本の外交的立場も無くなるでしょう。
原水禁は12月27日のアクティブ試験中止要望書の提出や、昨日の「プルトニウム利用計画」についての見解の発表を多くの市民団体と共同で行っています。決定前の今、原子力委員会に働きかけてください。
12月9日、福井県敦賀市で「もんじゅを廃炉へ!全国集会」が、全国各地から800名の参加で開かれました。
高速増殖炉もんじゅ事故から10周年を迎える今年、5月には名古屋高裁判決を不当にも覆す最高裁判決が出されました。その後、改造工事にもGOサインが出され、2年後の運転開始を目指して工事が進められています。13年(運転再開時点)も止まり続けたもんじゅを動かすことによってどんなトラブルが起こるか想定できないうえ、今後も巨額な費用がかかることも大きな問題です。
前日の8日には、原水禁として学習交流会を約50名で行い、先に発表された原子力大綱の中でのもんじゅの位置づけや今後の行方などを学びました。
9日は、もんじゅの目の前の白木の浜での屋外集会。小雨が降る中で市川定夫・原水禁副議長が挨拶を行い、もんじゅへの申し入れを行いました。
午後、敦賀のプラザ万象の大ホールで「もんじゅを廃炉へ!全国集会」が行われ、反原発県民会議の小木曽美和子さんから「もんじゅ最高裁判決と再開をめぐる情勢」が報告され、もんじゅ弁護団の海渡雄一弁護士からは「法律違反の最高裁判決と闘う」と題して講演が行われました。その中で海渡弁護士は、これまでの裁判の論点となった「蒸気発生器の伝熱管の問題」や「床ライナー問題」、「炉心崩壊事故の問題」などを説明し、「最高裁が民事訴訟法321条が規定している高裁で確定した事実は最高裁を拘束し、最高裁は法律論での誤りがあるかどうかを審議すべきところを、事実認定まで歪めている」と指摘されました。もんじゅ監視委員会の小林圭二さんからは、「13年も止まっていてそれを再開しても、どんなトラブルが起こるかわからない」との指摘がなされました。その後、今後の運動提起や六ヶ所再処理工場問題、玄海プルサーマル計画の問題、浜岡原発の原発震災問題など各地の報告が行われました。最後に集会声明を採択し、敦賀駅までデモを行い「もんじゅを廃炉に!」の声を市内に響かせました。
11月27日、福井県の美浜原発2号機が「原子力発電所が国籍不明のテロリストに攻撃」されたことを想定し、国民保護法に基づく全国初の実動訓練が行われました。政府と県などの主催で、自衛隊や警察、電力会社を含めた約百四十機関から計千三百人が参加し、地元から70名ほど参加したと言われています。この行動に対して、原水禁国民会議や原子力資料情報室、地元の福井県平和環境人権センター、原子力発電に反対する福井県民会議の4団体で、抗議集会と監視行動を行い、共同声明を発しました。
11月26日は、「異議あり!国民保護実動訓練」として敦賀市勤労福祉センター大ホールで北海道や鹿児島など全国各地から200名を集めて抗議集会を開催しました。集会では、もんじゅ弁護団をつとめる島田広弁護士から「原発へのテロ攻撃は、今回の実動訓練では対応できない」と指摘され、原子力資料情報室の西尾漠さんからは、「ご都合主義のシナリオで脅威を煽っている。核管理社会の強化であり、脱原発へ転換していくことが必要」と訴えられました。
翌27日は、11カ所・60人で実動訓練の監視行動を行いました。その中で実動訓練は全体的に緊張感の欠けた訓練で、いねむりやメールにふける自衛隊員がいたことなどが報告されました。さらに地元では関心が薄かったことも印象的でした。
原子力発電所が国籍不明のテロリストに攻撃されたことを想定し緊張感に欠け、実効性そのものも疑問視された初の実動訓練ではありましたが、自衛隊が市民の日常生活に具体的にかかわる動きに今後も警戒と監視を強めなければなりません。
美浜原発の国民保護実動訓練についての共同声明
11月27日、政府や県などは、福井県の美浜原発2号炉がテログループによる攻撃を受け、同施設の一部が損傷を受けたことにより、放射性物質が放出されるおそれが生じる事を前提に、国民保護法に基づく初めての国民保護実動訓練を行おうとしている。
しかし防衛庁ですら「見通し得る将来において、わが国に対する本格的な侵略事態が発生する可能性は低下していると判断される」(2004年防衛白書)という状況下において、脅威だけを煽り、国民統合や自衛隊の市民社会への組み込み、管理・監視社会の到来などを招く「国民保護法」の実動訓練に、私たちは強く抗議する。この動きの延長線上に戦争のできる国へと改編し、憲法改悪の道が待っていることは確かであり、そのことにも強く抗議する。
さらに、テロをはじめとした武力攻撃は、アメリカの先制予防攻撃戦略による極東有事などアメリカの世界戦略とリンクして起こることの可能性が高い。米軍の戦争協力につながる「国民保護」でもあり、その面からも許すことはできない。
実際の想定では、美浜原発を攻撃したテロリストは、山間部、海上に逃亡し、原発は、外部電源喪失や炉心冷却機能喪失、炉心損傷の可能性、原発内での被爆患者発生などが想定されるなど、原発の安全にかかわる大きな問題が想定されている。
この間原子力安全委員会は、「外部からの武力攻撃」は、「一般に想定されうる事象の範囲からから外れる」としている。しかし、国がテログループの攻撃などを想定し、有事関連法が成立され、国民保護法も整備されてきた。そのことを考えれば、原発への攻撃は「想定外」でいいということにはならない。それにどのように対処するのか問われるが、それをまったく放棄している。さらに原発が攻撃対象にもされ、危険があることさえこれまで説明がなされていない。私たちは、あらためて武力攻撃も含め原子力施設の安全審査や安全確保の見直しを早急にすることを求める。
私たちは、このような乱暴極まりない想定の上、武力で原子力施設を守ろうとすればするほど、厳重な管理体制を敷くしかなく、ますます原子力施設の密室化につながり、住民や市民そして労働者の管理統制へと結びついていくことを指摘する。かねてから危惧してきた核管理社会を具体化させる一連の規制強化が、有事法制とともに進み、民主主義社会を掘り崩すものと危惧される。
私たちは、有事体制を作って原子力施設を守り日本の安全保障を確保するのではなく、周辺諸国に対して、信頼醸成や予防外交などの非軍事化のアプローチや地域協力によって安全を確保することが本来目指されるべきであると考える。ましてや、原子力施設そのもののもっている潜在的危険性は、有事の際にますますその本質を表す。だからこそ私たちの命を守るためにも、脱原発に移行していかなければならないことをあらためて確認する。さらに、人権や自由が制限され、国民を戦時体制に組み込むような有事社会を作ることは、憲法の理念から大きく外れる。テロも戦争もない社会を目指すためにも、国民保護実動訓練を中止し、非軍事のアプローチに転換することを強く求めるものである。
2005年11月26日
原子力資料情報室
原水爆禁止日本国民会議
原子力発電に反対する福井県民会議
福井県平和環境人権センター
東海村でJCOが臨界事故を起こしてから6周年をむかえる9月30日を前に、25日、茨城県水戸市で全国から400人が参加して集会を開催した。吉岡斉さん(九州大学・科学史)が記念講演、新たな「原子力政策大綱」を決める原子力委員会の新計画策定会議に自から関わってきた経験から「大綱」の中身を「原子党宣言」と呼ぶ批判を展開。
六ヶ所再処理工場の稼働を目前にする青森、もんじゅの再稼働問題と美浜原発での原子力災害を想定して行なわれる国民保護実働訓練を控える福井等からの現地報告に続き、JCO事故後の東海村の動向報告、この秋にむけて様々な行動提起、さらに集会アピールを採択した。その後、会場「びよんど」隣の水戸芸術館前から水戸駅まで市の中心部をデモ行進した。
5月30日、最高裁の出した、高速増殖炉原型炉もんじゅの設置許可をめぐる行政訴訟に対する判決は、2003年1月、設置許可は違法で無効とした名古屋高裁金沢支部の二審判決の事実認定を無視したきわめて異例のものです。もんじゅ訴訟原告団は今日1時過ぎ、最高裁に再審請求の訴状を提出しました。
最高裁は本来、原判決の事実認定をもとにして、法律的評価を下す法律審です。ところが、5月30日の判決は、高裁の事実認定を,根拠も不明な独自の判断で書き直すという暴挙におよびました。これは、民事訴訟法321条に違反し、憲法第32条に定める、国民の裁判を受ける権利を踏みにじるものです。
ナトリウム漏れ、蒸気発生機の高温ラプチャ、炉心崩壊事故などについての事実認定を国の主張書面だけに基づいてやり直したのみならず、これは、国の安全審査が違法でないという結論へ無理矢理導くため、おざなりに作ったとしか思えない、行政に追随し、司法の分立の意味を無くすような残念な判決です。再審訴状を受理した最高裁は、ぜひ,判決を取り消し、再審を行なうよう求めます。
再審訴状の全文が原子力資料情報室のサイトに掲載されています。参照してください。



政府は6月14日、国民保護法に基づいて、美浜原発の武力攻撃を想定した実働訓練を実施すると発表。これについて、原子力安全委員会に対して公開質問状を原子力資料情報室と共同で送りました。
原子力安全委員会 委員長 松浦洋次郎殿
政府は6月14日、国民保護法に基づく実働訓練を11月に福井県で実施する旨発表しました。関西電力美浜原子力発電所において「武力攻撃に伴って放射性物質又は放射線が原子力施設外へ放出されることにより、人の生命、身体又は財産に対する危険が生ずるおそれがあると認めるとき」の対応を訓練するものです。
このことは、原子力発電所あるいは再処理や使用済燃料貯蔵等の原子力施設に対する武力攻撃が、他の施設に対する攻撃と違って「核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染されたもの又は原子炉に係る武力攻撃災害」を発生させ得ることを示しています。また、それ故に国民保護法は、武力攻撃災害の「発生又はその拡大を防止する」ため、原子炉等規制法にある「危険時の措置」の適用を定めています。
そうであるならば「核燃料物質、核燃料物質によって汚染された物又は原子炉による災害の防止上支障がないものであること」を求めた原子炉設置許可や再処理事業指定などの際の安全審査にあっても、武力攻撃に伴う原子力災害の防止上支障のないものであることの審査が必要だと考えられます。
そこで以下の点につき質問紙、早急な回答(文書)をお願い致します。
2005年6月17日
原子力資料情報室
共同代表 西尾漠、伴英幸、山口幸夫
原水爆禁止日本国民会議
議 長 岩松繁俊
回答先: 原水爆禁止日本国民会議
千代田区神田駿河台3‐2‐11総評会館1F
FAX 03‐5289‐8223
5月30日出された、高速増殖炉「もんじゅ」の設置許可処分の無効確認を住民が求めた行政訴訟の最高裁判決は20年にも渡る裁判の経過を無視するような不当判決でした。原水禁の声明を掲載します。
5月30日、最高裁は、1985年にもんじゅの設置許可処分の無効確認を求めて提訴し、2003年に名古屋高裁金沢支部が「放射性物質の放出や炉心崩壊の危険性を否定できず、安全審査は全面的やり直しが必要」と下した判決を破棄し、原告の控訴を棄却するという許し難い不当な判決を下した。私たちは、この不当判決に対して、怒りとともに強く抗議する。
今回の判決は、二審判決が安全審査に重大な違法があったと指摘した「ナトリウム漏えい事故の対策」や「蒸気発生器の伝熱管破損事故」、「炉心崩壊事故」に対する論点に関して十分な論争を経ないで、事実調べもなしに、訴訟記録等に対する事実誤認を重ねて判断を下していることが問題である。許可処分に重大な違法性があったかどうか、行政の言い分をそのまま鵜呑みにし、二審判決が切り開いた安全審査の実態に踏み込む判断を回避したことは、司法の使命を放棄した、行政追随の判決である。このような司法行政の下では、原子力訴訟そのものが成り立たなくなってしまう。薬害や公害訴訟の場で、科学論争が焦点になった場合は、現在の司法は「行政追随」から脱する動きにウエートを移しつつあるという。しかし、今回の訴訟をはじめ原発関連の問題は、いまだ聖域化されている。
この判決で地元住民が感じている安全性に対する不信感が解決した訳ではない。むしろ原発に関する問題に、裁判の壁がいかに高く、住民にとってそれを訴えることがいかに長く、たいへんな闘いであることがあらためて認識された。しかし、私たちは、今回の不当判決に屈することなく、原告をはじめ全国の仲間と共にもんじゅ廃炉まで一層の努力を重ねるものである。
高速増殖炉は、「将来の原子力の主流」から「選択肢の一つ」にまで後退し、実用化時期も2050年ごろとあやふやな目標となり、原型炉・もんじゅ以降の実証炉も目途がたっていない。経済性も安全性にも問題がある高速増殖炉に未来はないことは明らかである。先進国はすでに撤退しており、これ以上多額の資金を投入することは、許されない。私たちは、あらためて、もんじゅ廃炉に向けて運動を力強く進めていくものである。
2005年5月31日
フォーラム平和・人権・環境
原水爆禁止日本国民会議
議 長 岩松 繁俊
「もんじゅ」の原子炉設置許可処分の無効確認を求める行政訴訟に、最高裁第一小法廷(泉徳治裁判長)は30日午後3時過ぎ、原判決破棄、控訴棄却の不当判決を出した。
「国の安全審査では、ナトリウム漏れ事故対策など三つの点について重大なミスがあり、放射性物質が環境に放出される具体的な危険性が否定できない」と、設置許可は違法で無効とした名古屋高裁金沢支部の二審判決─住民側勝訴を逆転させ、国側の勝訴が確定した。写真は社会文化会館であった集会の後、傍聴券を求めて列を作る人々、判決判明後に抗議する様子。
4月14日、青森県の三村申吾知事は、青森県六ヶ所村に日本原燃が計画しているMOX(プルトニウム・ウラン混合酸化物)加工工場の立地について合意を表明しました。そして19日は立地協定調印するとの事です。これにより日本原燃は、協定締結後、国に事業許可申請を提出し、提出から5年後の2010年ごろの操業開始を目指しています。
しかし、今回の立地同意は、再処理工場に対する80%をこえる県民の不安の声が示される中で、新たな核燃料サイクル施設の建設はさらに県民の不安を高めるものです。さらにMOX燃料を利用するプルサーマル計画そのものが不透明な状況にあります。東電では、事故隠しや住民投票などにより福島や新潟での計画の目途もたっていません。関電はデータ改ざんや美浜原発事故で、これまた目途がたっていません。玄海原発や伊方原発のプルサーマル計画についても、地元をはじめ多くの反対の声が挙がっています。またそこで使用される燃料そのものは海外でのものを使うことになっており、六ヶ所のMOX燃料を利用する原発の目途もいまだ明確になっていません。
たとえ六ヶ所再処理工場がフル稼働して年間800トンの使用済み核燃料を再処理し、約5トンのプルトニウムを回収したとして、国際公約の余剰を持たないという立場のもと、電気事業連合会はこれらを消費するために2010年には16基~18基の軽水炉でプルサーマル計画を実施するといいます。しかし、再処理工場の建設もプルサーマル計画そのものも予定取り進捗する保障はどこにもありません。むしろ現時点で考えてもプルサーマル計画の実施は破綻していることは明らかで、プルトニウム需給バランスが崩れることは必至です。使用目的のないプルトニウムの分離・抽出は、核拡散の点からも国際世論の反発を必ず受けるものです。
さらに、国際原子力機関のエルバラダイ事務局長が打ち出したウラン濃縮・再処理施設の新規建設5年間凍結の提案では、「六ヶ所再処理工場は対象外となっても、MOX燃料工場やウラン濃縮施設の再開、また第二再処理工場はとうなるかわからない」(外務省参与・遠藤哲也)と言われるように、国際的な動きも不透明です。
その上、今回のMOX工場建設という既成事実を優先することにより県と六ヶ所村は2006年から2年間に9億8000万円の電源三法交付金を受け取ることをになり、原発関連の交付金依存の財政体質をますます強めることになります。そのことは地方財政を破綻に追いやるものでしかありません。
青森県民にとって、長期的な観点に立てばたつほど、利益のないMOX加工工場の立地同意に私たちは強く反対するものです。
2005年4月15日
フォーラム平和・人権・環境
原水爆禁止日本国民会議
議 長 岩松繁俊
止めよう再処理!全国実行委員会と青森県反核実行委員会の呼びかけで、4月9日、「4・9反核燃の日全国集会」が久々に現地六ヶ所村尾駮の大石総合体育館で2000名を集め行われた。現地での全国集会は実に15年ぶり。
集会は、核燃料廃棄物搬入阻止実行委員会の平野良一さんや核燃サイクル1万人訴訟原告団の浅石紘爾さんらの挨拶の後、主催者を代表して原水爆禁止日本国民会議事務局長の福山真劫さんから「いまの世界に流れからも核燃料サイクルは自然淘汰される。これを機会にその速度を早くしよう」との決意が語られました。引き続き原子力資料情報室の共同代表の伴英幸さんから「再処理工場の操業を許すな!」の講演がなされ、核燃料サイクル施設の建設構想を発表してから20年がたち、再処理をめぐる情勢が変化し、危険性や経済性、核拡散などの問題が出てきたことが指摘され、県民の80%を超えて不安が拡がっている中で、再処理を推進する意義が無くなっていることが指摘された。その後、再処理工場の現状報告がなされたあとアピールを採択して、再処理工場正門までの約5キロをデモを行いました。
翌日は、青森市内で原水禁主催の「反核燃の日」全国交流集会が開かれ、420名が集まりました。集会は、原子力資料情報室の西尾漠さんから「新原子力長計と再処理・プルトニウム利用」という演題で講演が行われ、その中で新原子力長計の中間とりまとめの中での再処理についての論点の解説がなされ、再処理をとりまくこの間の環境の変化は、再処理を止める条件が整っている事を明らかにしました。その後、各地報告として、「もんじゅの最高裁」の動きと取り組みの報告、「原子力二法案」、「NPT再検討会議と再処理工場」、「原子力空母の横須賀母港化」のそれぞれ問題について発言と報告がさなされました。
3月23日、雨の中、東京・霞ヶ関の資源エネルギー庁前で、原水禁、日本山妙法寺、日本消費者連盟、たんぽぽ舎、ストップ・ザ・もんじゅ東京、ふぇみんなど「再処理とめたい!首都圏市民のつどい」のメンバー十数名が、毎月定例のビラ撒き、申し入れ行動を行いました。
雨の降る肌寒い中、道行く人はみなポケットに手をいれて、ビラにはなかなか手が伸びませんでしたが、
1時間近く資源エネルギー庁の門前でアピールしました。最後に、それぞれの団体が用意した申し入れ文を、担当者の前で読み上げ手渡しました。
(申し入れ文)
経済産業大臣
中川昭一 様
青森県六ケ所村の再処理工場で実施されているウラン試験は、昨年12月21日に強行されました。その後今年に入って1月1日の放射能測定器の故障、14日には高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)施設の設計のミスなどにより欠陥工場であることが次々と明るみになりました。そして、ついに再処理工場建設を進める日本原年燃は、たび重なる事故やトラブルなどで六ヶ所再処理工場の本格操業の開始時期を06年7月から07年5月へと延期することになりました。操業延期はこれで8回目で、計画そのものも破綻しつつあります。
また、再処理工場から作り出されるプルトニウムの使い道も、いまだ不透明な点も問題です。プルトニウム利用の柱となる高速増殖炉の実現の目途もたたず、プルサーマル計画も各地で頓挫しています。日本は余剰プルトニウムを持たないという国際公約がありながら、すでに40トンを超す莫大な量のプルトニウムを抱えています。その上、六ヶ所再処理工場の稼働は、さらにそれに拍車をかけることとなり、周辺諸国からも危機感と不信感を増幅させています。このような中でプルトニウムを作り出す意義はすでに失われています。
さらに経済性についても、全量再処理の総コストが43兆円という莫大な費用がかかることが言われています。しかし、あくまで計画通り進むことが前提で、事故や老朽化などのトラブルに見舞われれば、さらに多くのコスト増が予想され、それらがみな国民の負担に回されます。今回の07年5月へ操業延期により、あらたに総工事費が500億円増加するという事態を招いています。推進側のコスト計算には、はやくもほころびがでています。さらに延期されるような事態になれば、巨額の資金投入が予想されます。これ以上、巨額の費用をかけるほどの価値がないのはあきらかです。
私たちは、さまざまな問題を抱えた再処理工場をこのまま稼働に向けて突き進むことは、本当の意味で国益や県民益となることとは考えられません。なんらの国民的合意もなく、「国策」の名のもとに一部の推進論者の意見で多額の費用負担や危険を国民に求めることは、絶対に認めるわけにはいきません。あらためて私たちは、現在進められている六ヶ所再処理工場のウラン試験の中止と再処理工場の放棄を強く求めます。
2005年3月23日
再処理とめたい!首都圏市民のつどい
呼びかけ団体:ストップ・ザ・もんじゅ東京(03-5225-7213)/原水禁国民会議(03-5289-8224)/大地を守る会/福島原発老朽化問題を考える会/たんぽぽ舎/日本山妙法寺/日本消費者連盟/ふぇみん/グリーンピース・ジャパン/原子力資料情報室
高速増殖原型炉「もんじゅ」には、2003年1月に、原子炉設置許可自体をを無効とした高裁判決が出ています。これを不服として国が上告、口頭弁論が17日最高裁で開かれました。20年以上にわたって続けられた行政訴訟に、いよいよ最高裁の判断が示されます。
これに会わせて、「もんじゅを廃炉に!最高裁でも勝利を!!全国集会」が開催されました。
当日、地元福井を始め全国から集まった人々の行動は朝から始まり、午前10時からの学習会のあと、最高裁第一小法廷に傍聴に入れなかった人を中心に、午後2時からの文部科学省前の街頭宣伝には400人が集まりました。
国側の口頭弁論では、 審査基準に不適合があったにしても、現実に原子炉災害が起こる可能性が高いという認定がなければ、原子炉等規制法第24条1項4号に言う「...災害の防止上支障がない」には違反しない、というのが上告理由の第一。これ自体、法の求めている根幹的要件、規制法の目的に反する暴論です。第2に、仮に違反していたとしても重大違法にはあたらないというもの。これも、原子炉等規制法の目的がそもそも、周辺住民や作業員、周辺環境への放射能の影響を規制することであるのに、その中核的要件に反する違反が重大違法ではないということはあり得ません。
また、このような国側の口頭弁論は、最高裁に提出されている上告理由書と矛盾しています。上告理由書では、 基準不適合の他に原子炉災害が起こる可能性を認定した高裁が、法令解釈上の誤りだとしています。その同じ、基準不適合の他の原子炉災害が起こる可能性自体を上告理由の第1にあげたのです。まさに、語るに落ちたと言うべき、論理矛盾に陥っている上告です。
このような国の主張を、裁判官は、行政訴訟の大家、泉徳治裁判長をはじめ、大変真剣に聞いていました。
判決について、日時は追って指定するというのは、重要な問題をじっくりと考えて判断しようという意味合いが強いものと思われます。
また、最高裁が弁論を開く場合、重大事件や重要な法令について最高裁として初めての判断を下す時などには口頭弁論が開かれており、2審の結論を変更することが多いというような見方は、必ずしもあたりません。
現在、慎重な審議が行なわれている最高裁に向けて、人々の命を代弁する声を届けようと言う、はがきキャンペーンが行なわれています。チラシのはがきをそのままでなく、ぜひご自分の言葉でお書きになって、またそのチラシを他の人に廻すようにお願いします。
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日本消費者連盟、グリーンピース・ジャパン、原子力資料情報室、ストップ・ザ・もんじゅ東京などの団体と共同でウラン試験を強行する経済産業省への抗議行動を行いました。
夕方6時半から経済産業省別館前に集まった20人ほどが署名集めやチラシまきをしながら横断幕を広げ、道行く人々にアピール。経済産業省/資源エネルギー庁の担当者に抗議文を渡しました。 
経済産業大臣
中川 昭一 様
青森県六ケ所村の再処理工場で実施されているウラン試験が、昨年12月21日に強行されました。私たちは、何ら国民的合意もなく、安全性や経済性などを置き去りして進められているウラン試験やそれに続く再処理工場稼働に向けた動きに対して断固抗議するとともに、ウラン試験の中止を求めるものです。
再処理工場から作り出されるプルトニウムの使い道はいまだ不透明です。日本は、余剰プルトニウムを持たないという国際公約がありながらすでに40トンを超す莫大な量のプルトニウムを抱えています。その上、六ヶ所再処理工場の稼働は、さらにそれに拍車をかけることとなり、周辺諸国からも危機感と不信感を増幅させるものです。プルトニウム利用の柱となる高速増殖炉は実現の目途もたたず、プルサーマル計画も各地で頓挫しています。このような中でプルトニウムを作り出す意義はすでに失われています。
また、安全性についても、世論調査では青森県民の8割もが、安全性に対して不安を持っています。これまでの手抜き工事や管理能力の問題などが指摘されるなか、県民はもとより全国の多くの市民が不信と不安を持つのは当然です。それに対して納得いく説明すらなされていないのが現状です。今年に入って1月1日の放射能測定器の故障、14日には、高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)施設の設計のミスなど欠陥工場であることが次々と明るみにでています。
経済性についても、この間明らかにされてきた中で、全量再処理の総コストが43兆円という莫大な費用がかかることが言われています。しかし、あくまで計画通り進むことが前提で、事故や老朽化などのトラブルに見舞われれば、さらに多くのコスト増が予想され、それらがみな国民の負担に回されることも十分予想されます。
さらに再処理工場の中に断層が走っていることも指摘されています。この数ヶ月間で起こった中越地震やスマトラ沖地震は、阪神淡路の震災に続きあらためて地震の脅威をまざまざと私たちに実感させるものでした。大量の放射能を抱え込む再処理工場が、地震による大事故を起こせば、それは取り返しのつかいない大惨事を引き起こします。
このような問題を抱えた再処理工場をこのまま運転に突き進むことは、本当の意味で国益や県民益となることとは考えられません。なんらの国民的合意もなく、「国策」の名のもとに一部の推進論者の意見で多額の費用負担や危険を国民に負わすことは、絶対に認めるわけにはいきません。
あらためて私たちは、現在進められている六ヶ所再処理工場のウラン試験の中止と再処理工場の放棄を求めます。
2005年1月26日
再処理とめたい!首都圏市民のつどい
呼びかけ団体:ストップ・ザ・もんじゅ東京(03-5225-7213)/原水禁国民会議(03-5289-8224)/大地を守る会/福島原発老朽化問題を考える会/たんぽぽ舎/日本山妙法寺/日本消費者連盟/ふぇみん/グリーンピース・ジャパン/原子力資料情報室
つかえないプルトニウムを取り出すために、六ヶ所再処理工場とMOX工場だけでも約12兆円という膨大な資金をかけ、なぜ巨大な核のゴミを作り出し、放射能をまき散らすのか?
しかし、この根本的疑問は、日本原燃、電事連、原子力委、経産省、政府、責任者たちの誰も、何も答えないせいか、あまり多くの人々に関心を持たれていません。世論を喚起するために20日に青森県紙、東奥日報に掲載した広告です(pdf, 1.2Mb)。
日本原燃株式会社
社長 兒島 伊佐美 様
六ヶ所再処理工場ウラン試験強行に断固抗議する
貴社の六ケ所再処理工場で実施するウラン試験(稼働試験)に使う劣化ウラン約31トンが、茨城県東海村から12月20日に六ケ所村のむつ小川原港に到着し、陸揚げを始めました。そして本日、ウラン試験を開始した。私たちは、何ら国民的合意もなく、安全性や経済性などを置き去りして進められるウラン試験やそれに続く再処理工場稼働に向けた動きに対して断固抗議するものです。
貴社が進める再処理工場から作り出されるプルトニウムの使い道さえいまだ不透明です。余剰を持たないという国際公約がありながらすでに40トンを超す莫大なプルトニウムを抱える中にあって、六ヶ所再処理工場の稼働はさらにそれに拍車をかけることとなり、周辺諸国からも危機感と不信感を増幅するものとなっています。プルトニウム利用の柱となる高速増殖炉は実現の目途もたたず、プルサーマル計画も各地で頓挫しています。このような中でプルトニウムを作り出す意義が失われています。
また、安全性に対しても、世論調査では青森県民の8割もが、安全性に対して不安を持っています。これまでの手抜き工事や管理能力の問題などが指摘されるなか、県民はもとより多くの市民が不信と不安を持つのは当然です。それに対して納得いく説明すらなされていないのが現状です。
経済性についても、この間明らかにされてきた中で、全量再処理の総コストが43兆円という莫大な費用がかかることが言われています。しかし、あくまで計画通り進むことが前提で、事故や老朽化などのトラブルに見舞われれば、さらに多くのコスト増が予想され、それらがみな国民の負担に回されることも十分予想されます。
さらに再処理工場の中に活断層が走っていることも指摘されています。10月23日に起きた中越地震は、阪神淡路の震災に続きあらためて地震の脅威をまざまざと私たちに実感させるものでした。大量の放射能を抱え込む再処理工場が大事故を起こせば、それは取り返しのつかいない大惨事を引き起こします。
このような問題を抱えた再処理工場をこのまま建設することは、本当の意味で国益や県民益となることとは考えられません。なんらの国民的合意もなく、「国策」の名のもとに一部の推進論者の意見で多額の費用負担や危険を国民に負わすことは、絶対に認めるわけにはいきません。
あらためて私たちは、現在進められている六ヶ所再処理工場のウラン試験の中止と再処理工場の放棄を求めるものです。
2005年12月21日
原水爆禁止日本国民会議
議長 岩松 繁俊
日本の原子力史上最悪の事故です。同じ若狭湾にある高速増殖炉もんじゅは事故を起こしてから10年を迎え、名古屋高裁でその安全性に問題があることが明確にされました。12月4日から5日にかけて「もんじゅを廃炉へ!全国集会−私たちは美浜事故を許さない」が同実行委員会によって開催されました。