核兵器北朝鮮
2003.3.12

北朝鮮の核問題のさまざまな面についての米国の専門家28人からなる「米国の朝鮮政策に関するタスク・フォース」が、2月に、報告書を発表しました。「朝鮮における転機――米国にとっての新しい危険と新しい機会」と題された報告書は、米朝交渉を直ちに開始することを含め、米国がとるべき政策について詳細な提案を行っています。

タスク・フォースには、元統合参謀本部議長(ウイリアム・クロウ)、元駐韓大使(ドナルド・グレッグおよびジェイムズ・レイニー)、1994年の合意枠組みの交渉に当たった大使(ロバート・ガルーチ)などが入っています。

タスク・フォースは、シカゴ大学の二つのセンター、「国際政策センター」および「東アジア研究センター」の共同プロジェクトで、「国際政策センター」の「アジア・プログラム」ディレクターのセリグ・ハリソンが議長を務めました。

以下は、報告書の中の「外観:主要な勧告」の仮訳です。 (全文(英語、pdf)がダウンロードできます。)

核危機の解決

 「北朝鮮が1994年の合意枠組みの下でIAEAが監視してきた照射済み燃料を再処理しないとの約束をし、その監視を再開するために最近追放された検査官らが戻るのを認めることを条件に、米国は、北朝鮮の核兵器能力の解体、食料・エネルギーの必要、政治的・経済的関係の完全な正常化などを含め、米朝両国が持つすべての関心事項について北朝鮮と直接交渉をすることを申し出るべきである。」

「事前の調整に従い、コリン・パウエル国務長官と白南淳外務大臣がワシントンか平壌で共同宣言を行う。北朝鮮は、この宣言で、その核活動のすべての側面を検証可能なかたちで解体するよう交渉を行うことを約束する。両国は、解体についての交渉のあいだ互いに対し武力を使わないことを約束する。そして、解体が成功裏に終わった時点で、両国は、それ以後、互いに対する武力の行使を一切行わないことを約束する。米国は、また、北朝鮮の主権を尊重し、その経済的発展を妨げないことを約束する。」(pp.19-21).

合意枠組みの再交渉

 「合意枠組みの再交渉を行い、軽水炉を2基ではなく1基だけ建設し、2基目の原子炉で供給されるはずだった電力については従来型の代替エネルギーを提供するようにすべきである。北朝鮮は、合意にすでに入っている事項の約束を再確認しなければならない。・・・さらに、北朝鮮は、適切な検証措置の下で濃縮ウラン生産の試みを中止するための新しい条項を受け入れなければならない。」(pp.21-22)

ミサイル交渉の再開

 「米国は、北朝鮮が、米国に脅威をもたらしうるミサイル能力の更なる開発と、他国へのミサイルおよびミサイル技術・部品の輸出とを中止するよう、北朝鮮との交渉を再開すべきである。北朝鮮が守っている1999年9月以来のミサイル実験のモラトリアムの延長を優先事項とすべきである。・・・毎年行う食料援助、エネルギー援助、それにその他のミサイル合意のための経済的インセンティブに加え、米国は、既存のミサイル工場で解雇される労働者に雇用を提供できる新しい産業の開発のための多国間資金援助を支持すべきである。」(pp.22-23)

朝鮮戦争の終結

 「朝鮮戦争の終焉から半世紀たったいま、米国は、1953年の休戦協定の他の当事者国である北朝鮮および中国と平和協定を結ぶべきである。ただし、休戦協定に署名しなかった韓国と別の協定を結ぶことに北朝鮮が同意することを条件とする。」(pp.23-24)

休戦機構に代わるもの

 「1953年に設置された軍事休戦委員会に代えて新しい平和維持機構を設置するとともに、国連軍を解体するための諸措置を講じるべきである。米国は、軍事休戦委員会および国連軍に代えて、米国、韓国、北朝鮮の将官からなる相互安全保障委員会の創設に関する北朝鮮の1998年10月9日の提案を検討すべきである。」(p.24)

米国の軍事的イメージの低減

 「米国の軍事的プレゼンスに対する反対が深刻な規模に達し、不関与政策を促す大きな圧力をもたらすようになる前に、米国は、韓国における米国の軍事的イメージを下げ、米国の配備の規模、性格、位置の変更を申しでるなどして、この反対を和らげるようにすべきである。」(24-25)

北朝鮮の経済開発の支援

 「安全保障問題の解決の面での進展に従い、米国は、北朝鮮の経済的再生と成長を支援し、この支援と合わせて、国際的金融機関からの技術的援助によって、北朝鮮の最近の経済改革イニシアチブを進めるよう北朝鮮を奨励すべきである。」(25-26)

中国への移住の低減

 「米国と国際社会は、北朝鮮から中国への移住者の窮状を軽減するために緊急の措置を講じ、北朝鮮に対する人道的・経済的援助によって将来の移住の流れを減らすべきである。」(26-27)

脅威についてバランスの取れた見方を

 「米国の大陸部に核兵器を送り届ける能力を持った長距離ミサイルを開発し配備する・・・北朝鮮の差し迫った能力についての予測は・・・北朝鮮のミサイル計画の技術的制約を無視するものである。」これまで一度だけ行われた1998年のテポドン1の実験では、ミサイルの第3段階が失敗している。テポドン1も、そして、まだ実験されておらず、テポドン1よりさらに大きくて複雑な開発中のテポドン2も、「よく引用されている最長の射程を達成するには、第3段階を含まなければならず、そして、実験に成功しなければならない。」