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2002.11.18

米国国防省、核実験再開の利点について検討するよう指示

 米国国防省が10月21日付けの文書で、核兵器研究所の所長らに核実験再開の利点について検討するよう指示していたことが明らかになりました。サンノゼ・マーキュリー紙(ホームページ15日付け)が報じたものです。ワシントンのシンクタンク「軍備管理協会(ACA)」のダリル・キンボール事務局長は、このような検討の指示自体が、実験をすべきだとの結論を出すようにと言うメッセージとして意図されている可能性があり、「ブッシュ政権が核実験再開の正当化の論理を探し求めていることを示すものだ」と警戒しています。

 メモは、米国の核政策を立案する「核兵器委員会(NWC)」に宛てたもので、執筆者は、委員長のE・C・オールドリッジ・ジュニア(取得・技術・兵站担当国防次官)です。「古くなってきているいくつかの核兵器システムを改修しなければならなくなるが、核兵器施設の限界のために元の設計通り完全に再生することはできないだろう。また、将来の新しい核兵器の必要に対応する用意がなければならない。」と述べて、核実験をしないで核兵器を維持することのリスクを検討するよう呼びかけています。また、小規模の核実験をすることの利点に付いても検討を指示しています。[原文へ]

 実際は、これまで行われた核実験の大半は、新しい兵器の開発のためであって、安全性や信頼性が確立されたものを後で爆発させてみて問題が発見されたというケースはありません。

 ローレンス・リバモア国立研究所の核兵器部門の責任者ブルース・グッドウィンは、サンノゼ・マーキュリー紙のインタビューで、核実験をやらずに核兵器を維持することが「できない理由は考えられない。[実験が必要となるかもしれないのは]誰かがやってきて、全く新しい超軽量級の兵器が必要といった場合だ」と述べています。

 11月13日に上下両院協議会を経て通過した国防歳出権限法(H.R.4546)は、核実験の準備態勢を6カ月、12カ月、18カ月、24カ月とした場合のそれぞれのコストについて評価することを定めています。現在は、大統領が核実験再開を決定してから3年以内で核実験が行えるような態勢を維持することになっています。下院を通過した案は、準備態勢を1年とするための計画・コスト評価を提出することをエネルギー省に指示するものでした。下院案は、はっきりと1年態勢を意図するものであるのに対し、最終案は単にいろいろな態勢について検討するものになっているから、反核運動の側から見て「部分的勝利」だとの見方がありますが、そもそも準備態勢の短縮について検討すること自体が問題であるし、おまけに6カ月態勢まで検討されることになってしまったのでは、喜ぶわけにはいきません。

 もっとも、現存の核兵器の問題の解決のための実験を計画するには、6カ月という期間は短すぎます。また、核実験を前提にした新型核の開発が6カ月以内で終わるということもないでしょう。6カ月内の実験は、「政治的実験」であって[科学的実験」にはならないというベテラン核兵器設計者の発言をサンノゼ・マーキュリー紙は引用しています。残念ながら、この「政治的実験」を強行してしまう可能性をブッシュ政権が持っていることは否定できません。米国が核実験を実施すれば、ロシア、中国、インド、パキスタンなどに核実験の連鎖反応が起きてしまうおそれがあります。今回の報道は、米国がすぐに核実験を再開するということを意味するものではありませんが、米国の運動と協力して、核実験反対の声を強める必要があることは間違いありません。

参考: 核実験の再開をほのめかすブッシュ政権
リークされた『核態勢の見直し』─核にしがみつく態勢
新型核の解説(原水禁大会の資料から)